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第1章
第11話:牢破り
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「あの男を特に厳重に見張れ」
常御用徒目付の息子として、伝馬町の牢屋敷だけでなく全ての仮牢を見廻っていた勝三郎は、囚人の中に紛れようとした男に目を付けた。
「へい、御任せ下さい」
打てば響く太鼓のように亥之助が答える。
だが実際に見張るのは亥之助ではない、亥之助よりも経験豊富な密偵達だ。
まだ密偵の経験が浅い亥之助の役目は囮なのだ。
密偵達は比較的牢破りが簡単な寺社奉行屋敷の仮牢を見張る事になった。
勝三郎が目を付けた男が、寺社奉行の屋敷に捕らえられていたからだ。
寺社奉行が家臣の罪を挽回しようと頑張ったので、罪人の数が多過ぎて、伝馬町の牢屋敷や各仮牢に移送する事ができず、寺社奉行の屋敷に捕らえられていた。
寺社奉行の役宅に使っている上屋敷だけでは罪人を収容しきれず、中屋敷や下屋敷まで使っていた。
中屋敷や下屋敷は藩士の数が少ないので、見張りをする人手が足りない。
だが藩の浮沈がかかっているので、取り締まりに手を抜く事もできない。
捕えた者を逃がす訳には行かないので家中を総動員していたが、限界だった。
上屋敷には逃げる恐れが高い者を閉じ込めて、多数の藩士で厳重に見張っていた。
中屋敷には比較的従順な者を閉じ込めて、少数の藩士を使って見張っていた。
下屋敷は特に藩士が少ないので、逃げそうにない従順な罪人を集めて、人宿組合から雇った者達を使って見張っていた。
寺社奉行土屋能登守の下屋敷をでた勝三郎と亥之助は直ぐに分かれた。
下屋敷に入る時から、下屋敷を見張っている男がいるのに気が付いていた。
だからこそ、捕えている罪人の中に大物がいると事前に分かったのだ。
亥之助から大身槍を受け取った勝三郎は、船宿鯛仙の方に向かって歩く。
一方亥之助は全く反対の方向に歩く。
勝三郎と亥之助をつけようとしていた男が一瞬だけ迷って亥之助の跡をつける。
亥之助は跡をつける男を江戸中引き連れ回すのが役目だった。
一方尾行の無くなった勝三郎は悠々と船宿鯛仙に入った。
鯛仙に入った勝三郎は槍と剣の鍛錬を繰り返す。
単に鍛錬するだけでなく、川にいる鯉や鮒、鰡や鱸を突いて生け捕りにする。
丸々と太った適度な鯉は、鯛の一匹金三両ほどではないが一匹銀百五十匁はする。
全ての鯉がこれほど高いわけではない。
鮮度の悪い鯉や瘠せた鯉は銀二十五匁程度にしかならない。
勝三郎が厳選して生け捕りにする鯉だから銀百五十匁もするのだ。
「急いで届けろ」
「へい!」
鯛仙を預かる弁慶の喜八に命じられた密偵が鯉を売りに走る。
銀で売り買いされるような高級魚は、庶民には高嶺の花だ。
買い取れる店も限られるので、早く売りに行かないと他の者に先を越される。
扱う店は違うが、出世魚である鰡や鱸も一匹銀百五十匁前後はする。
槍で突いて生け捕りにできる魚は限られているが、鰡や鱸は生け捕れる。
勝三郎が生け捕りにした魚が次々と運ばれて行く。
槍を縦横無尽に振るい、剣の型稽古を真剣に行った勝三郎は、次に包丁を持った。
鯛などの薄造りを昆布じめにして名物の芋膾を仕込む。
鯛仙で出す鯉こくや鯉の甘露煮を作って気分を一新する。
「愉しまれましたか?」
弁慶の喜八が勝三郎が訪ねる。
「ああ、朝からの疲れが吹き飛んだ」
調理する時の前掛けを取った勝三郎が晴れ晴れと答える。
勝三郎の憂さ晴らしが終わるのを待っていたかのように密偵が駆けこんで来た。
「若旦那、先ほどの奴が隠れ家に戻りました」
密偵の一人が嬉しさを隠しきれない表情で報告する。
勝三郎の策が上手く行って、寺社奉行の下屋敷を見張っていた男が、隠れ家に戻って善後策を相談しようとした事で、隠れ家の場所を見つけられた。
「父上には報告したのか?」
勝三郎が密偵に聞く。
「はい、信用できる密偵だけで見張るようにと申されました」
「喜八、振売は他の者にやらせて密偵を総動員しろ」
「はっ」
密偵に代わって、町奉行所で鑑札を出す振売に魚を売らせた。
手の空いた優秀で信頼できる密偵を中心に蟻も逃さぬ網を敷いた。
喜八は火付け盗賊を捕らえるために広く張り巡らせていた探索網を、見つけた隠れ家と寺社奉行下屋敷を中心に集中した。
直ぐに押し入らないのは、火付け盗賊の隠れ家という確信がなかったからだ。
もし火付け盗賊の隠れ家だったとしても、頭目がいるとは限らない。
頭目を逃がしたら、一時的には追い払えても必ず戻って来る。
それが分かっていたから、念には念を入れて調べさせていた。
だが火付け盗賊の動きが早すぎた、密偵達が隠れ家に頭目がいるという確証を得る前に、火付け盗賊が寺社奉行の下屋敷に押し入って仲間を助けようとした。
それも、昼の間に周囲の大名屋敷に潜んで、夜になってから火を放とうとした。
「これ以上は待てない、捕えよ!」
佐久間源太郎見習与力が密偵達に命じる。
「「「「「おう!」」」」」
佐久間家の密偵達が一斉に盗賊達を捕らえようとする。
信頼できる与力同心が限られるので、佐久間家だけで捕り手を編成したのだ。
捕物を始めれば町奉行所の人員も使えるが、内偵段階では誰が盗賊に通じるか分からないので、町奉行所の与力同心と言えども無条件では使えないのだ。
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいい
密偵の一人が呼子笛で捕物が始まった事を知らせる。
遠く離れて広く見張っていた密偵の一人が、敵の隠れ家に向かって走る。
下屋敷の捕り物と同時に隠れ家にも押し入る手はずになっていたのだ。
「若旦那、下屋敷で捕物が始まりやした」
必死で駆けて来た密偵の言葉を聞いて勝三郎が命じる。
「誰一人逃すな、かかれ!」
「「「「「おう!」」」」」
勝三郎の命を受けて密偵達が一斉に隠れ家に押し入る。
隠れ家と言っても御府内から出た野中の一軒家ではない。
事も有ろうに、柴愛宕下にある学寮の一つを隠れ家にしていたのだ。
寺社は町奉行所の支配違いなので、賭場も開かずに盗人宿にだけ使っていたら、よほどの事がないと見つからない。
しかも金杉川の直ぐ側にあるので、船を使って御府内のどこにでも押し入れる。
「てめえ、何奴!」
「火付け盗賊改め方与力、佐久間啓次郎源蔵である、神妙にしろ!」
勝三郎は親戚の家に養子入りした次兄の名を名乗った。
火付け盗賊の隠れ家が学寮だと分かったので、勝三郎は手を打ったのだ。
老中田沼意次に報告して、次兄の義父が与力を務める御先手組を、火付け盗賊改め当分加役とし、勝三郎が啓次郎の振りをして寺社地に押し入れるようにした。
当然手柄は次兄の啓次郎が立てた事になってしまうのだが、勝三郎は悪人さえ捕えられれば良かった。
「しゃらくさい、捕えられるものなら捕えてみやがれ!」
隠れ家に残っていた盗賊達が大脇差を振るって襲い掛かって来た。
用心棒なのか、浪人盗賊なのか、二本差しの浪人も大刀で斬りかかって来た。
全員人殺しに慣れているのか、全く躊躇なく殺しにかかって来た。
勝三郎は大身槍の石突を使って、殺さないように盗賊達を無力化する。
佐久間家の密偵達は、鉄芯の入った木刀で盗賊達を叩き伏せる。
中には鯛仙から持ち出した刺股、突棒、袖搦を使う者もいる。
「ちぇすとぉお!」
身ぎれいない浪人が大上段から大刀を振り下ろして来た。
他の浪人を叩き伏せていた勝三郎に素早い足捌きで近づいて間合いに入り込み、脳天唐竹割の勢いで大刀を振り下ろして来た。
勝三郎が並の剣客なら、避ける事も受ける事もできなかっただろう。
槍が間に合って敵の刀を受けられたと思っても、大上段から渾身の一撃は勢いを殺しきれず、額を割られて絶命していただろう。
だが、勝三郎は渾身の一撃を受けようともしなかった。
敵の足裁きを上回る素早さで避け、雷光の早さで水月に石突を叩き込んだ。
「うっ!」
敵の使い手は呻き声を上げてその場に崩れ落ちた。
「捕えた者には縄を打て、自害できないように猿轡を咬ませろ」
「「「「「はっ!」」」」」
この火付け盗賊には裏があると感じた勝三郎は、盗賊達、特に浪人達が自害できないようにしろと命じた。
盗賊達に縄を打った勝三郎達は、火付け盗賊改めの当分加役となった、島田政弥の屋敷に連れて行った。
勝三郎は火付け盗賊改与力佐久間家の家人を名乗り、次兄啓次郎の義父を呼び出してもらい、義父立ち合いの下で盗賊達の取り調べを行った。
常御用徒目付の息子として、伝馬町の牢屋敷だけでなく全ての仮牢を見廻っていた勝三郎は、囚人の中に紛れようとした男に目を付けた。
「へい、御任せ下さい」
打てば響く太鼓のように亥之助が答える。
だが実際に見張るのは亥之助ではない、亥之助よりも経験豊富な密偵達だ。
まだ密偵の経験が浅い亥之助の役目は囮なのだ。
密偵達は比較的牢破りが簡単な寺社奉行屋敷の仮牢を見張る事になった。
勝三郎が目を付けた男が、寺社奉行の屋敷に捕らえられていたからだ。
寺社奉行が家臣の罪を挽回しようと頑張ったので、罪人の数が多過ぎて、伝馬町の牢屋敷や各仮牢に移送する事ができず、寺社奉行の屋敷に捕らえられていた。
寺社奉行の役宅に使っている上屋敷だけでは罪人を収容しきれず、中屋敷や下屋敷まで使っていた。
中屋敷や下屋敷は藩士の数が少ないので、見張りをする人手が足りない。
だが藩の浮沈がかかっているので、取り締まりに手を抜く事もできない。
捕えた者を逃がす訳には行かないので家中を総動員していたが、限界だった。
上屋敷には逃げる恐れが高い者を閉じ込めて、多数の藩士で厳重に見張っていた。
中屋敷には比較的従順な者を閉じ込めて、少数の藩士を使って見張っていた。
下屋敷は特に藩士が少ないので、逃げそうにない従順な罪人を集めて、人宿組合から雇った者達を使って見張っていた。
寺社奉行土屋能登守の下屋敷をでた勝三郎と亥之助は直ぐに分かれた。
下屋敷に入る時から、下屋敷を見張っている男がいるのに気が付いていた。
だからこそ、捕えている罪人の中に大物がいると事前に分かったのだ。
亥之助から大身槍を受け取った勝三郎は、船宿鯛仙の方に向かって歩く。
一方亥之助は全く反対の方向に歩く。
勝三郎と亥之助をつけようとしていた男が一瞬だけ迷って亥之助の跡をつける。
亥之助は跡をつける男を江戸中引き連れ回すのが役目だった。
一方尾行の無くなった勝三郎は悠々と船宿鯛仙に入った。
鯛仙に入った勝三郎は槍と剣の鍛錬を繰り返す。
単に鍛錬するだけでなく、川にいる鯉や鮒、鰡や鱸を突いて生け捕りにする。
丸々と太った適度な鯉は、鯛の一匹金三両ほどではないが一匹銀百五十匁はする。
全ての鯉がこれほど高いわけではない。
鮮度の悪い鯉や瘠せた鯉は銀二十五匁程度にしかならない。
勝三郎が厳選して生け捕りにする鯉だから銀百五十匁もするのだ。
「急いで届けろ」
「へい!」
鯛仙を預かる弁慶の喜八に命じられた密偵が鯉を売りに走る。
銀で売り買いされるような高級魚は、庶民には高嶺の花だ。
買い取れる店も限られるので、早く売りに行かないと他の者に先を越される。
扱う店は違うが、出世魚である鰡や鱸も一匹銀百五十匁前後はする。
槍で突いて生け捕りにできる魚は限られているが、鰡や鱸は生け捕れる。
勝三郎が生け捕りにした魚が次々と運ばれて行く。
槍を縦横無尽に振るい、剣の型稽古を真剣に行った勝三郎は、次に包丁を持った。
鯛などの薄造りを昆布じめにして名物の芋膾を仕込む。
鯛仙で出す鯉こくや鯉の甘露煮を作って気分を一新する。
「愉しまれましたか?」
弁慶の喜八が勝三郎が訪ねる。
「ああ、朝からの疲れが吹き飛んだ」
調理する時の前掛けを取った勝三郎が晴れ晴れと答える。
勝三郎の憂さ晴らしが終わるのを待っていたかのように密偵が駆けこんで来た。
「若旦那、先ほどの奴が隠れ家に戻りました」
密偵の一人が嬉しさを隠しきれない表情で報告する。
勝三郎の策が上手く行って、寺社奉行の下屋敷を見張っていた男が、隠れ家に戻って善後策を相談しようとした事で、隠れ家の場所を見つけられた。
「父上には報告したのか?」
勝三郎が密偵に聞く。
「はい、信用できる密偵だけで見張るようにと申されました」
「喜八、振売は他の者にやらせて密偵を総動員しろ」
「はっ」
密偵に代わって、町奉行所で鑑札を出す振売に魚を売らせた。
手の空いた優秀で信頼できる密偵を中心に蟻も逃さぬ網を敷いた。
喜八は火付け盗賊を捕らえるために広く張り巡らせていた探索網を、見つけた隠れ家と寺社奉行下屋敷を中心に集中した。
直ぐに押し入らないのは、火付け盗賊の隠れ家という確信がなかったからだ。
もし火付け盗賊の隠れ家だったとしても、頭目がいるとは限らない。
頭目を逃がしたら、一時的には追い払えても必ず戻って来る。
それが分かっていたから、念には念を入れて調べさせていた。
だが火付け盗賊の動きが早すぎた、密偵達が隠れ家に頭目がいるという確証を得る前に、火付け盗賊が寺社奉行の下屋敷に押し入って仲間を助けようとした。
それも、昼の間に周囲の大名屋敷に潜んで、夜になってから火を放とうとした。
「これ以上は待てない、捕えよ!」
佐久間源太郎見習与力が密偵達に命じる。
「「「「「おう!」」」」」
佐久間家の密偵達が一斉に盗賊達を捕らえようとする。
信頼できる与力同心が限られるので、佐久間家だけで捕り手を編成したのだ。
捕物を始めれば町奉行所の人員も使えるが、内偵段階では誰が盗賊に通じるか分からないので、町奉行所の与力同心と言えども無条件では使えないのだ。
ぴぃいいいいい、ぴぃいいいいい、ぴぃいいいい
密偵の一人が呼子笛で捕物が始まった事を知らせる。
遠く離れて広く見張っていた密偵の一人が、敵の隠れ家に向かって走る。
下屋敷の捕り物と同時に隠れ家にも押し入る手はずになっていたのだ。
「若旦那、下屋敷で捕物が始まりやした」
必死で駆けて来た密偵の言葉を聞いて勝三郎が命じる。
「誰一人逃すな、かかれ!」
「「「「「おう!」」」」」
勝三郎の命を受けて密偵達が一斉に隠れ家に押し入る。
隠れ家と言っても御府内から出た野中の一軒家ではない。
事も有ろうに、柴愛宕下にある学寮の一つを隠れ家にしていたのだ。
寺社は町奉行所の支配違いなので、賭場も開かずに盗人宿にだけ使っていたら、よほどの事がないと見つからない。
しかも金杉川の直ぐ側にあるので、船を使って御府内のどこにでも押し入れる。
「てめえ、何奴!」
「火付け盗賊改め方与力、佐久間啓次郎源蔵である、神妙にしろ!」
勝三郎は親戚の家に養子入りした次兄の名を名乗った。
火付け盗賊の隠れ家が学寮だと分かったので、勝三郎は手を打ったのだ。
老中田沼意次に報告して、次兄の義父が与力を務める御先手組を、火付け盗賊改め当分加役とし、勝三郎が啓次郎の振りをして寺社地に押し入れるようにした。
当然手柄は次兄の啓次郎が立てた事になってしまうのだが、勝三郎は悪人さえ捕えられれば良かった。
「しゃらくさい、捕えられるものなら捕えてみやがれ!」
隠れ家に残っていた盗賊達が大脇差を振るって襲い掛かって来た。
用心棒なのか、浪人盗賊なのか、二本差しの浪人も大刀で斬りかかって来た。
全員人殺しに慣れているのか、全く躊躇なく殺しにかかって来た。
勝三郎は大身槍の石突を使って、殺さないように盗賊達を無力化する。
佐久間家の密偵達は、鉄芯の入った木刀で盗賊達を叩き伏せる。
中には鯛仙から持ち出した刺股、突棒、袖搦を使う者もいる。
「ちぇすとぉお!」
身ぎれいない浪人が大上段から大刀を振り下ろして来た。
他の浪人を叩き伏せていた勝三郎に素早い足捌きで近づいて間合いに入り込み、脳天唐竹割の勢いで大刀を振り下ろして来た。
勝三郎が並の剣客なら、避ける事も受ける事もできなかっただろう。
槍が間に合って敵の刀を受けられたと思っても、大上段から渾身の一撃は勢いを殺しきれず、額を割られて絶命していただろう。
だが、勝三郎は渾身の一撃を受けようともしなかった。
敵の足裁きを上回る素早さで避け、雷光の早さで水月に石突を叩き込んだ。
「うっ!」
敵の使い手は呻き声を上げてその場に崩れ落ちた。
「捕えた者には縄を打て、自害できないように猿轡を咬ませろ」
「「「「「はっ!」」」」」
この火付け盗賊には裏があると感じた勝三郎は、盗賊達、特に浪人達が自害できないようにしろと命じた。
盗賊達に縄を打った勝三郎達は、火付け盗賊改めの当分加役となった、島田政弥の屋敷に連れて行った。
勝三郎は火付け盗賊改与力佐久間家の家人を名乗り、次兄啓次郎の義父を呼び出してもらい、義父立ち合いの下で盗賊達の取り調べを行った。
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