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第1章
第35話:展覧試合予選
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「大納言様、大納言様主催の剣術や槍術の試合を行って尚武の気風を育てましょう。
見所のある武芸の士を取立てて、大納言様の側近に育てましょう」
長谷川平蔵の言葉に徳川家基は大喜びした。
「大納言様、剣術や槍術だけでは幕臣の才能を引き出せません。
旗本たるもの、騎乗にての武芸が劣っていては恥でございます。
流鏑馬、笠懸、犬追物の騎射三物を大納言様の主催で行いましょう」
勝三郎の言葉に徳川家基は歓喜して、西之丸付きの老中と若年寄を呼び出した。
「豊後守、飛騨守、有徳院殿に見倣って尚武の気風を育てたい。
父上と幕閣に、余が主催の武芸大会を開きたいと言って来てくれ。
余の小姓や小納戸は、武芸大会で活躍した者を取立てたい」
「承りました、御許可頂けるかどうかは分かりませんが、聞いて参ります」
西之丸若年寄の酒井飛騨守が即座に本丸に向かってくれた。
しかし、何かあれば主催する徳川家基の面目を潰す事になる。
将軍も幕閣も、言われて直ぐに何も考えずに行う訳にはいかない。
何より、大々的に展覧試合をするとなると多くの費えが必要になる。
勝三郎の活躍で思ってもいなかった大金を得られたが、余計な費えは使いたくないのが幕閣の本音だった。
「勝三郎、幕府の勝手向きが苦しいのは知っているであろう。
尚武の気風を育てるのは大切だが、剣術や槍術だけで良かったのではないか。
何故騎射三物まで大納言様に勧めたのだ?」
勝三郎を屋敷に呼び出した田沼意次が聞く。
「長谷川殿に言われて気が付いたのですが、大納言様が危険です」
「薩摩の事か、それとも一ツ橋や田安の事を言っているのか?」
「全員です、将軍の地位を手に入れられるなら、誰が何をするか分かりません」
「それは分かっているが、武芸に秀でた側近を選ぶだけなら剣と槍で十分だ、騎射三物までは不要であろう」
「鎌倉殿は落馬して亡くなられたと言われております。
大納言様が鷹狩に向かわれる際には騎乗されます。
騎乗時に教われ、馬を傷つけられたら危険です。
騎乗していても大納言様を御守りできる者が必要でございます」
「そうかもしれぬが、費えの事で頭が痛い」
「費えなど幕臣や民から集めれば良いではありませんか」
「幕臣や民から集める、どうやって集めるのだ?」
「寺社の修築費を富籤で賄っているのです。
展覧試合の費えも富籤や博打で賄えばよいではありませんか」
「なんと、神聖な展覧試合を賭け事にすると申すのか?!」
大納言様に聞かれたら、寵愛を失ってしまうぞ!」
「某の献策だからと言って、幕府の勝手向きを無視して展覧試合を行いたいと申される方からの寵愛など、どれほど大きくても不要でございます。
大納言様には、己で考え判断できるようになって頂かなければなりません。
天覧試合を行うにはどれだけの費えが必要で、それを補う為には何をしなければいけないのか、某から伝えさせていただきます」
「本当に良いのか、このままいけば立身出世が約束されているのだぞ?」
「構いません、某は立身出世がしたい訳ではありません。
幕臣として、将軍家と幕府に忠誠を尽くして繁栄させたいだけです。
民百姓が飢えないように、幸せに暮らせるようにしたいだけです」
「勝三郎にそこまでの覚悟があるのなら、好きにするがよい。
大納言様の寵愛を失っても、余が引き立ててやる。
御料巡見使としてあれだけの功を立てているのだ、普通の出世はできる」
「それで十分でございます、成り上がりたいとは思っていません。
元々どれだけ手柄を立てても立身出世ができない町奉行所与力家に生まれました。
民百姓を守れないのなら、野に下る覚悟です」
「そこまで頑なになる事はない、純粋すぎる所はあるが、大納言様は御優しい。
真摯に伝えれば分かってくださる、ただ、大納言様の前に余に伝えよ。
勝三郎の事だから間違いはないと思うが、念の為に詳細を知りたい」
「まずは無役の者達に立身出世の機会を与えます。
展覧の剣術と槍術、騎射三物で良き成績を残した者を御役に付けます。
次に今番方の御役に付いている者で、武芸が見劣りする者を御役から外します」
「役方と地方にはさせないのか?」
「役方は武勇でお役に付いたわけではありませんから、武芸は不要です。
地方の場合は、御府内を離れている者を呼び戻す訳にはいきません」
「御役を奪われるかもしれない名門旗本は反対するであろうな」
「反対をされようと、断固としてやらなければなりません。
番方なのに武芸に劣るなど、絶対に許されません」
「確かにその通りだが、希望する無役の者だけでなく、全ての無役と番方に武芸を競わせるとなると、とんでもない費えが必要になるぞ。
少々富籤をやっても、それだけの費えは補えないぞ。
先ほど言っていた、試合ごとの賭博とは、どういう仕組みなのだ?」
「剣術や槍術だけでなく、流鏑馬と笠懸も一対一で行います。
勝つと思う方に賭けさせて、一割を幕府の費えとして取ります。
残った九割を勝った者に分け与えます」
「賽子博打では丁半で賭ける額を揃えると言っていたな?
展覧試合の博打も勝ち負けで賭ける額を揃えるのか?」
「いえ、勝ち負けの賭け金を揃えるのは面倒です。
人気のある方に賭けて勝ったら、利が少なくなります。
逆に人気のない方に賭けて勝ったら、利が多くなります。
そうすれば勝敗の賭け金を揃える面倒がなくなります」
「確かに簡単な方が賭ける者が多くなるであろう、主催する者も楽だ。
とはいえ、富籤のように一分や二分で百両千両が当たる訳でないのだな?」
「人気伯仲の試合に百文賭けても勝っても、百九十文にしかなりません。
人気が大きい方に賭けたら、百文が百十文にしかならないかもしれません。
ただ、富籤と違って月に一回や年に一回ではありません。
徒組同士が戦うなら、二十八回の賭けができます。
一度の戦いで賭け金の総額が金一両、今の相場で銭五千文しかなかったとしても、幕府に五百文の利があります。
二十八回で一万四千文、三両弱の利が幕府に入ります。
月で九十両、年で千八十両の利が幕府に入ります。
ひと試合で二両なら倍の二千両、三両なら三千両です」
「うむ、徒組同士の戦いではなく、先手組なら与力同心を合わせれば倍の利か。
百人組なら与力同心合わせて五倍の利になると申すのだな?」
「はい、それに、何も一日一組と限らなくてもよいのです。
場所も一カ所に限らなくてもよいのです。
幕府の馬場がある町、組屋敷がある町で鍛錬がてら賭けさせても構いません。
人の多い門前町で日に十組やらせれば、年一万両は運上金が入ります。
それだけの賭けを管理する役が増えますから、無役の者が減ります」
「一万両あれば、全幕臣に武芸を競わせる費えは確保できるであろう。
幕府の勝手向きが苦しいのは大納言様も御存じだ、分かってくださるだろう」
田沼意次の言う通りだった。
最初は激しく拒否していた徳川家基も、勝三郎が真摯に説得すると徐々に試してみようという気になり、最初に無役の者達を競わせた。
老齢や弱年で戦えない者を含めれば、旗本の総数約五千五百家に対して、無役の家が約二千二百六十家もあるのだ。
更に幕臣は旗本だけではなく、御目見え以下の御家人もいる。
御家人の総数約一万七千家に対して、無役の家が約六千八百家もあるのだ
全員を一度だけ競わせても四千五百三十回も賭けが成立する。
二回戦を行えば二千二百六十五回も賭けが成立するのだ。
人の多い盛り場で賭け試合をすれば、試合ごとに十両くらいは集まった。
「なんと、これほど簡単に運上金が集まるとは思ってもなかった!」
御忍びで展覧試合の小普請予選を見に来ていた田沼意次が感嘆の声を上げる。
同じく御忍びで見に来ていた徳川家基が、普段冷静な田沼意次が感嘆の声を上げるのを見聞きして、少し驚いた表情を浮かべる。
御役を賭けた激しい戦いに、集まった平民達が激しい声援をあげる。
啖呵売の得意な香具師が、対戦者の曰く因縁を語って聴衆を煽り賭けさせる。
赤穂浅野と吉良に所縁のある対戦には、総額百両も賭けられた。
江戸時代は現代と違って娯楽がとても少ない。
江戸で日に千両、時に万両近い巨額の金が動く場所は三カ所しかない。
日本橋の魚河岸、木挽町の江戸三座、吉原の遊廓だけである。
そんな所に、幕臣が御役を賭けて命懸けの試合をすると言うのだ。
滅多にない果し合いや敵討ちに近い武士の戦いが見られるのだ。
物見高い江戸っ子が集まるのは当然だった。
賭場や岡場所が徹底的に取り締まられ娯楽が減った状態では、宵越しの金を持たない江戸っ子が試合に賭けるのも当然だった。
「賭ける者達も、幕府最強の武芸者を決める費えの足しになると聞けば、自分への言い訳になり、財布の紐もゆるくなります」
対戦ごとに一両二両三両と幕府の取り分が集まって来る。
日が暮れるまでに百の対戦があるので、一日に三百両は集まる。
幕府にとっては金のなる木を手に入れたも同然の福音だった。
「勝三郎、天晴れである、その方こそ勘定奉行に相応しい」
田沼意次が思わず口にしたのだが……
「何を申すのだ、勝三郎は余の小姓だぞ、勝手に勘定奉行にはさせん!」
見所のある武芸の士を取立てて、大納言様の側近に育てましょう」
長谷川平蔵の言葉に徳川家基は大喜びした。
「大納言様、剣術や槍術だけでは幕臣の才能を引き出せません。
旗本たるもの、騎乗にての武芸が劣っていては恥でございます。
流鏑馬、笠懸、犬追物の騎射三物を大納言様の主催で行いましょう」
勝三郎の言葉に徳川家基は歓喜して、西之丸付きの老中と若年寄を呼び出した。
「豊後守、飛騨守、有徳院殿に見倣って尚武の気風を育てたい。
父上と幕閣に、余が主催の武芸大会を開きたいと言って来てくれ。
余の小姓や小納戸は、武芸大会で活躍した者を取立てたい」
「承りました、御許可頂けるかどうかは分かりませんが、聞いて参ります」
西之丸若年寄の酒井飛騨守が即座に本丸に向かってくれた。
しかし、何かあれば主催する徳川家基の面目を潰す事になる。
将軍も幕閣も、言われて直ぐに何も考えずに行う訳にはいかない。
何より、大々的に展覧試合をするとなると多くの費えが必要になる。
勝三郎の活躍で思ってもいなかった大金を得られたが、余計な費えは使いたくないのが幕閣の本音だった。
「勝三郎、幕府の勝手向きが苦しいのは知っているであろう。
尚武の気風を育てるのは大切だが、剣術や槍術だけで良かったのではないか。
何故騎射三物まで大納言様に勧めたのだ?」
勝三郎を屋敷に呼び出した田沼意次が聞く。
「長谷川殿に言われて気が付いたのですが、大納言様が危険です」
「薩摩の事か、それとも一ツ橋や田安の事を言っているのか?」
「全員です、将軍の地位を手に入れられるなら、誰が何をするか分かりません」
「それは分かっているが、武芸に秀でた側近を選ぶだけなら剣と槍で十分だ、騎射三物までは不要であろう」
「鎌倉殿は落馬して亡くなられたと言われております。
大納言様が鷹狩に向かわれる際には騎乗されます。
騎乗時に教われ、馬を傷つけられたら危険です。
騎乗していても大納言様を御守りできる者が必要でございます」
「そうかもしれぬが、費えの事で頭が痛い」
「費えなど幕臣や民から集めれば良いではありませんか」
「幕臣や民から集める、どうやって集めるのだ?」
「寺社の修築費を富籤で賄っているのです。
展覧試合の費えも富籤や博打で賄えばよいではありませんか」
「なんと、神聖な展覧試合を賭け事にすると申すのか?!」
大納言様に聞かれたら、寵愛を失ってしまうぞ!」
「某の献策だからと言って、幕府の勝手向きを無視して展覧試合を行いたいと申される方からの寵愛など、どれほど大きくても不要でございます。
大納言様には、己で考え判断できるようになって頂かなければなりません。
天覧試合を行うにはどれだけの費えが必要で、それを補う為には何をしなければいけないのか、某から伝えさせていただきます」
「本当に良いのか、このままいけば立身出世が約束されているのだぞ?」
「構いません、某は立身出世がしたい訳ではありません。
幕臣として、将軍家と幕府に忠誠を尽くして繁栄させたいだけです。
民百姓が飢えないように、幸せに暮らせるようにしたいだけです」
「勝三郎にそこまでの覚悟があるのなら、好きにするがよい。
大納言様の寵愛を失っても、余が引き立ててやる。
御料巡見使としてあれだけの功を立てているのだ、普通の出世はできる」
「それで十分でございます、成り上がりたいとは思っていません。
元々どれだけ手柄を立てても立身出世ができない町奉行所与力家に生まれました。
民百姓を守れないのなら、野に下る覚悟です」
「そこまで頑なになる事はない、純粋すぎる所はあるが、大納言様は御優しい。
真摯に伝えれば分かってくださる、ただ、大納言様の前に余に伝えよ。
勝三郎の事だから間違いはないと思うが、念の為に詳細を知りたい」
「まずは無役の者達に立身出世の機会を与えます。
展覧の剣術と槍術、騎射三物で良き成績を残した者を御役に付けます。
次に今番方の御役に付いている者で、武芸が見劣りする者を御役から外します」
「役方と地方にはさせないのか?」
「役方は武勇でお役に付いたわけではありませんから、武芸は不要です。
地方の場合は、御府内を離れている者を呼び戻す訳にはいきません」
「御役を奪われるかもしれない名門旗本は反対するであろうな」
「反対をされようと、断固としてやらなければなりません。
番方なのに武芸に劣るなど、絶対に許されません」
「確かにその通りだが、希望する無役の者だけでなく、全ての無役と番方に武芸を競わせるとなると、とんでもない費えが必要になるぞ。
少々富籤をやっても、それだけの費えは補えないぞ。
先ほど言っていた、試合ごとの賭博とは、どういう仕組みなのだ?」
「剣術や槍術だけでなく、流鏑馬と笠懸も一対一で行います。
勝つと思う方に賭けさせて、一割を幕府の費えとして取ります。
残った九割を勝った者に分け与えます」
「賽子博打では丁半で賭ける額を揃えると言っていたな?
展覧試合の博打も勝ち負けで賭ける額を揃えるのか?」
「いえ、勝ち負けの賭け金を揃えるのは面倒です。
人気のある方に賭けて勝ったら、利が少なくなります。
逆に人気のない方に賭けて勝ったら、利が多くなります。
そうすれば勝敗の賭け金を揃える面倒がなくなります」
「確かに簡単な方が賭ける者が多くなるであろう、主催する者も楽だ。
とはいえ、富籤のように一分や二分で百両千両が当たる訳でないのだな?」
「人気伯仲の試合に百文賭けても勝っても、百九十文にしかなりません。
人気が大きい方に賭けたら、百文が百十文にしかならないかもしれません。
ただ、富籤と違って月に一回や年に一回ではありません。
徒組同士が戦うなら、二十八回の賭けができます。
一度の戦いで賭け金の総額が金一両、今の相場で銭五千文しかなかったとしても、幕府に五百文の利があります。
二十八回で一万四千文、三両弱の利が幕府に入ります。
月で九十両、年で千八十両の利が幕府に入ります。
ひと試合で二両なら倍の二千両、三両なら三千両です」
「うむ、徒組同士の戦いではなく、先手組なら与力同心を合わせれば倍の利か。
百人組なら与力同心合わせて五倍の利になると申すのだな?」
「はい、それに、何も一日一組と限らなくてもよいのです。
場所も一カ所に限らなくてもよいのです。
幕府の馬場がある町、組屋敷がある町で鍛錬がてら賭けさせても構いません。
人の多い門前町で日に十組やらせれば、年一万両は運上金が入ります。
それだけの賭けを管理する役が増えますから、無役の者が減ります」
「一万両あれば、全幕臣に武芸を競わせる費えは確保できるであろう。
幕府の勝手向きが苦しいのは大納言様も御存じだ、分かってくださるだろう」
田沼意次の言う通りだった。
最初は激しく拒否していた徳川家基も、勝三郎が真摯に説得すると徐々に試してみようという気になり、最初に無役の者達を競わせた。
老齢や弱年で戦えない者を含めれば、旗本の総数約五千五百家に対して、無役の家が約二千二百六十家もあるのだ。
更に幕臣は旗本だけではなく、御目見え以下の御家人もいる。
御家人の総数約一万七千家に対して、無役の家が約六千八百家もあるのだ
全員を一度だけ競わせても四千五百三十回も賭けが成立する。
二回戦を行えば二千二百六十五回も賭けが成立するのだ。
人の多い盛り場で賭け試合をすれば、試合ごとに十両くらいは集まった。
「なんと、これほど簡単に運上金が集まるとは思ってもなかった!」
御忍びで展覧試合の小普請予選を見に来ていた田沼意次が感嘆の声を上げる。
同じく御忍びで見に来ていた徳川家基が、普段冷静な田沼意次が感嘆の声を上げるのを見聞きして、少し驚いた表情を浮かべる。
御役を賭けた激しい戦いに、集まった平民達が激しい声援をあげる。
啖呵売の得意な香具師が、対戦者の曰く因縁を語って聴衆を煽り賭けさせる。
赤穂浅野と吉良に所縁のある対戦には、総額百両も賭けられた。
江戸時代は現代と違って娯楽がとても少ない。
江戸で日に千両、時に万両近い巨額の金が動く場所は三カ所しかない。
日本橋の魚河岸、木挽町の江戸三座、吉原の遊廓だけである。
そんな所に、幕臣が御役を賭けて命懸けの試合をすると言うのだ。
滅多にない果し合いや敵討ちに近い武士の戦いが見られるのだ。
物見高い江戸っ子が集まるのは当然だった。
賭場や岡場所が徹底的に取り締まられ娯楽が減った状態では、宵越しの金を持たない江戸っ子が試合に賭けるのも当然だった。
「賭ける者達も、幕府最強の武芸者を決める費えの足しになると聞けば、自分への言い訳になり、財布の紐もゆるくなります」
対戦ごとに一両二両三両と幕府の取り分が集まって来る。
日が暮れるまでに百の対戦があるので、一日に三百両は集まる。
幕府にとっては金のなる木を手に入れたも同然の福音だった。
「勝三郎、天晴れである、その方こそ勘定奉行に相応しい」
田沼意次が思わず口にしたのだが……
「何を申すのだ、勝三郎は余の小姓だぞ、勝手に勘定奉行にはさせん!」
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