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第9章:幼児遺棄
第35話:ご飯1・文野綾子視点
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「フソウ、ごはんだよ」
「ウォン」
鈴音は毎日早起きして、フソウの朝ご飯を自分で出そうとします。
フソウのお世話は何でも自分でしたがるのです。
フソウのご飯は、鈴音と私の朝ご飯と一緒に、前の日に子ども食堂でもらいます。
鈴音と私の朝ご飯は、温め直しても美味しい唐揚げと温野菜とチキンスープ、少なくなったらもらって帰る親鶏モツの甘辛煮とピクルスと糠漬けです。
生活保護を頂けるうえに、食費がかからない状況です。
フソウの朝ご飯は、親鶏のモツを水煮にしたものです。
これなら鈴音も怖がらずに食べさせてあげられます。
子ども食堂では使わない手羽先なんかも入っています。
「鈴音も食べてしまいなさい、朝から遊ぶのでしょう?」
「うん、早めに行ってジャングルジムで遊ぶの!」
もともと私と鈴音は八尾市の古い文化住宅に住んでしました。
毎日のように暴力を振るう男から逃れて、柏原市に引っ越してきました。
だから鈴音には幼馴染の友達がいません。
初めての小学校で好い友達ができるのか、とても心配していたのですが、白子さんたちが一時里親をしている施設の子がいて助かりました。
子ども食堂で一緒に食事をした事もあり、白髪稲荷神社の境内で一緒に遊んだ事もあるので、直ぐに仲良くなって一緒に遊ぶようになりました。
今日も早めに小学校に行って遊ぶと言っています。
地元の子とも仲良くなって欲しいですが、欲張り過ぎですかね。
「あ、鈴音ちゃんとフソウだ、おはよう!」
「鈴音ちゃん、おはよう!」
「いいなぁ~、今日もフソウに送ってもらえるのか」
「僕も乗ってみたいなぁ」
徐々に地元の子とも仲良くなれているようで、一緒に登校する子が増えています。
集団登下校を強制されている訳ではありませんが、近所の仲の好い子、友達同士で登下校する事が多いのです。
これもフソウのお陰です、フソウに乗って登下校する鈴音が珍しいのです。
そんな鈴音とフソウが見たくて、子供たちが集まってくるのです。
白子さんたちは、フソウに乗る鈴音が危なくないように色々してくださいました。
フソウの首輪には、鈴音が乗りやすいように手綱がついています。
それどころか、白子さんたちが手作りしてくださった布製の鞍まであるのです。
「すずねちゃ~ん、あはよ~う」
「かおりちゃん、おはよう!」
小学校に行く途中で、遊ぶ約束をしていた施設の子と出会いました。
小学生の子たちが、中学校の子たちに引率されています。
中学生の子たちの手には、ボディーガード犬の手綱が握られています。
全部で4頭のボディーガード犬がいます。
中学生から小学生まで、全員合わせて23人が仲良く歩いてきます。
1番小さな小学1年生に合わせて、ゆっくりと歩いてきます。
今日は誰も乗っていませんが、疲れた子やケガをした子がいたら、ボディーガード犬が背中に乗せてくれます。
鈴音と施設の小学生たちが校舎に入っていくのを見届けてから、施設の中学生たちと一緒に中学校の正門に向かいます。
「迎えに来ました」
四郎さんが中学校の正門まで迎えに来てくれます。
四郎さんが迎えに来てくれるまで、施設の子が連れて来たボディーガード犬も預かるのです。
白子さんたちの話では、数年後にはボディーガード犬を小学校や中学校に放って、不審者が入って来ても大丈夫にする予定だそうです。
ですが今はまだ許可が得られず、下校の時にもう1度連れてこないといけません。
だから、四郎さんがボディーガード犬を迎えに来て白髪稲荷神社に戻るのです。
私は四郎さんの車に便乗させてもらって、平飼い親鶏料理専門のテイクアウト店に働きに行きます。
平飼い親鶏専門料理のテイクアウト店は物凄く人気で、朝早くから夜遅くまでひっきりなしにお客さんが来ます。
いえ、基本24時間営業なので、深夜にもたくさんの人が買いに来られます。
私は鈴音が学校に行っている間しか働きませんので、他の時間の事はあまり知らないのですが、新しく来た男の人たちが深夜を担当しているようです。
動画やネットでも取り上げられてバズッたそうなので、日本中どころか世界中からたくさん買いに来られます。
中にはお土産も含めて大量に買われる人がいるのですが、売る切れごめんで良いと言われているので、無理に作る必要がありません。
後ろ暗い所にありそうな男の人が来た時はちょっと怖いですが、テイクアウト店の前にはボディーガード犬がいてくれるので、不安はありません。
他に行くところのない地元の子供たちは白子さんたちの子ども食堂に行きますし、堂々と白子さんに会える大人も子ども食堂に行きます。
テイクアウト店に来られる地元の人は、家でお酒を飲みながら食べたい人か、白子さんたちが怖くて子ども食堂に行けない人たちになります。
「交代するからお昼食べてきて」
白子さんたちは働いている人に無理をさせません。
通常は3人、人のやりくりが大変な時でも必ず2人はテイクアウト店にいます。
私も含めて、みんな負担なく楽しく働けています。
お昼ご飯は直ぐ近くにある子ども食堂でたべます。
子供たちと同じ、栄養バランスのとれた美味しい料理をお腹一杯食べられます。
むしろお腹一杯食べないと怒られてしまいます。
常連さんの話では、最近のお昼ご飯は麺類が多くなったそうです。
スパゲッティ、やきそば、うどんが多くなったそうです。
近くの製麺所が寄付してくれたり原価で売ってくれたりするそうです。
使われる肉のほとんどが親鶏なのは当然の事ですが、子供たちが飽きないように手を変え品を変えて、おいしく食べられるように工夫しています。
トマトケチャップ味、ソース味、塩味、味噌味、カレー味、シチュー味などを、焼いて揚げて煮て蒸して、毎日毎食美味しく食べられるようにしてくださいます。
今日のお昼は、鶏肉と野菜がたくさん入ったソース味のやきそばでした。
白御飯と鶏モツの甘辛煮、ピクルスと糠漬けはいつものように食べ放題でした。
とても美味しかったですが、カレーうどんの日が待ち遠しいです。
お昼ご飯をいただいたら、そのまま子ども食堂で勉強する日と、テイクアウト店に戻って働く日が有ります。
鈴音の為にもお金を稼げる資格をとり、実際に使える技術を身につけたいので、子ども食堂で勉強するお母さんや子供たちと一緒に頑張っています。
頭の良い20代の若いお母さんは、看護師や薬剤師、公認会計士や税理士などを目指して猛勉強していますが、頭の良くない41歳の私はできる事が限られます。
もし資格を取れたとしても、年齢の割に実務経験がなくて役に立ちません。
会社やオーナーが雇いたくない、実務で使えない資格持ちになってしまいます。
だから、41歳から資格を取っても現場で働ける勉強をしています。
代表的なのは簿記、医療事務認定実務者、登録販売者、保育士、介護福祉士、介護支援専門員などですが、堅実に介護福祉士から取るつもりです。
体力的にも精神的にも大変な仕事だそうですが、比較的合格率の高い簡単な資格で、勤務先も多いそうです。
ただそこで終わらず、一般的にはケアマネジャーと呼ばれている、介護支援専門員の資格まで取る方がいいそうです。
介護福祉士よりも介護支援専門員の方が体力的に楽で、給料も良くなるそうです。
長く務められるそうで、歳を取っても鈴音を助けてあげられます。
実務経験先も、白子さんたちが好い所を紹介してくれるそうです。
「綾子さん、鈴音を迎えに行くよ」
「ウォン」
鈴音は毎日早起きして、フソウの朝ご飯を自分で出そうとします。
フソウのお世話は何でも自分でしたがるのです。
フソウのご飯は、鈴音と私の朝ご飯と一緒に、前の日に子ども食堂でもらいます。
鈴音と私の朝ご飯は、温め直しても美味しい唐揚げと温野菜とチキンスープ、少なくなったらもらって帰る親鶏モツの甘辛煮とピクルスと糠漬けです。
生活保護を頂けるうえに、食費がかからない状況です。
フソウの朝ご飯は、親鶏のモツを水煮にしたものです。
これなら鈴音も怖がらずに食べさせてあげられます。
子ども食堂では使わない手羽先なんかも入っています。
「鈴音も食べてしまいなさい、朝から遊ぶのでしょう?」
「うん、早めに行ってジャングルジムで遊ぶの!」
もともと私と鈴音は八尾市の古い文化住宅に住んでしました。
毎日のように暴力を振るう男から逃れて、柏原市に引っ越してきました。
だから鈴音には幼馴染の友達がいません。
初めての小学校で好い友達ができるのか、とても心配していたのですが、白子さんたちが一時里親をしている施設の子がいて助かりました。
子ども食堂で一緒に食事をした事もあり、白髪稲荷神社の境内で一緒に遊んだ事もあるので、直ぐに仲良くなって一緒に遊ぶようになりました。
今日も早めに小学校に行って遊ぶと言っています。
地元の子とも仲良くなって欲しいですが、欲張り過ぎですかね。
「あ、鈴音ちゃんとフソウだ、おはよう!」
「鈴音ちゃん、おはよう!」
「いいなぁ~、今日もフソウに送ってもらえるのか」
「僕も乗ってみたいなぁ」
徐々に地元の子とも仲良くなれているようで、一緒に登校する子が増えています。
集団登下校を強制されている訳ではありませんが、近所の仲の好い子、友達同士で登下校する事が多いのです。
これもフソウのお陰です、フソウに乗って登下校する鈴音が珍しいのです。
そんな鈴音とフソウが見たくて、子供たちが集まってくるのです。
白子さんたちは、フソウに乗る鈴音が危なくないように色々してくださいました。
フソウの首輪には、鈴音が乗りやすいように手綱がついています。
それどころか、白子さんたちが手作りしてくださった布製の鞍まであるのです。
「すずねちゃ~ん、あはよ~う」
「かおりちゃん、おはよう!」
小学校に行く途中で、遊ぶ約束をしていた施設の子と出会いました。
小学生の子たちが、中学校の子たちに引率されています。
中学生の子たちの手には、ボディーガード犬の手綱が握られています。
全部で4頭のボディーガード犬がいます。
中学生から小学生まで、全員合わせて23人が仲良く歩いてきます。
1番小さな小学1年生に合わせて、ゆっくりと歩いてきます。
今日は誰も乗っていませんが、疲れた子やケガをした子がいたら、ボディーガード犬が背中に乗せてくれます。
鈴音と施設の小学生たちが校舎に入っていくのを見届けてから、施設の中学生たちと一緒に中学校の正門に向かいます。
「迎えに来ました」
四郎さんが中学校の正門まで迎えに来てくれます。
四郎さんが迎えに来てくれるまで、施設の子が連れて来たボディーガード犬も預かるのです。
白子さんたちの話では、数年後にはボディーガード犬を小学校や中学校に放って、不審者が入って来ても大丈夫にする予定だそうです。
ですが今はまだ許可が得られず、下校の時にもう1度連れてこないといけません。
だから、四郎さんがボディーガード犬を迎えに来て白髪稲荷神社に戻るのです。
私は四郎さんの車に便乗させてもらって、平飼い親鶏料理専門のテイクアウト店に働きに行きます。
平飼い親鶏専門料理のテイクアウト店は物凄く人気で、朝早くから夜遅くまでひっきりなしにお客さんが来ます。
いえ、基本24時間営業なので、深夜にもたくさんの人が買いに来られます。
私は鈴音が学校に行っている間しか働きませんので、他の時間の事はあまり知らないのですが、新しく来た男の人たちが深夜を担当しているようです。
動画やネットでも取り上げられてバズッたそうなので、日本中どころか世界中からたくさん買いに来られます。
中にはお土産も含めて大量に買われる人がいるのですが、売る切れごめんで良いと言われているので、無理に作る必要がありません。
後ろ暗い所にありそうな男の人が来た時はちょっと怖いですが、テイクアウト店の前にはボディーガード犬がいてくれるので、不安はありません。
他に行くところのない地元の子供たちは白子さんたちの子ども食堂に行きますし、堂々と白子さんに会える大人も子ども食堂に行きます。
テイクアウト店に来られる地元の人は、家でお酒を飲みながら食べたい人か、白子さんたちが怖くて子ども食堂に行けない人たちになります。
「交代するからお昼食べてきて」
白子さんたちは働いている人に無理をさせません。
通常は3人、人のやりくりが大変な時でも必ず2人はテイクアウト店にいます。
私も含めて、みんな負担なく楽しく働けています。
お昼ご飯は直ぐ近くにある子ども食堂でたべます。
子供たちと同じ、栄養バランスのとれた美味しい料理をお腹一杯食べられます。
むしろお腹一杯食べないと怒られてしまいます。
常連さんの話では、最近のお昼ご飯は麺類が多くなったそうです。
スパゲッティ、やきそば、うどんが多くなったそうです。
近くの製麺所が寄付してくれたり原価で売ってくれたりするそうです。
使われる肉のほとんどが親鶏なのは当然の事ですが、子供たちが飽きないように手を変え品を変えて、おいしく食べられるように工夫しています。
トマトケチャップ味、ソース味、塩味、味噌味、カレー味、シチュー味などを、焼いて揚げて煮て蒸して、毎日毎食美味しく食べられるようにしてくださいます。
今日のお昼は、鶏肉と野菜がたくさん入ったソース味のやきそばでした。
白御飯と鶏モツの甘辛煮、ピクルスと糠漬けはいつものように食べ放題でした。
とても美味しかったですが、カレーうどんの日が待ち遠しいです。
お昼ご飯をいただいたら、そのまま子ども食堂で勉強する日と、テイクアウト店に戻って働く日が有ります。
鈴音の為にもお金を稼げる資格をとり、実際に使える技術を身につけたいので、子ども食堂で勉強するお母さんや子供たちと一緒に頑張っています。
頭の良い20代の若いお母さんは、看護師や薬剤師、公認会計士や税理士などを目指して猛勉強していますが、頭の良くない41歳の私はできる事が限られます。
もし資格を取れたとしても、年齢の割に実務経験がなくて役に立ちません。
会社やオーナーが雇いたくない、実務で使えない資格持ちになってしまいます。
だから、41歳から資格を取っても現場で働ける勉強をしています。
代表的なのは簿記、医療事務認定実務者、登録販売者、保育士、介護福祉士、介護支援専門員などですが、堅実に介護福祉士から取るつもりです。
体力的にも精神的にも大変な仕事だそうですが、比較的合格率の高い簡単な資格で、勤務先も多いそうです。
ただそこで終わらず、一般的にはケアマネジャーと呼ばれている、介護支援専門員の資格まで取る方がいいそうです。
介護福祉士よりも介護支援専門員の方が体力的に楽で、給料も良くなるそうです。
長く務められるそうで、歳を取っても鈴音を助けてあげられます。
実務経験先も、白子さんたちが好い所を紹介してくれるそうです。
「綾子さん、鈴音を迎えに行くよ」
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