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召喚
交渉
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「儂がこの開拓村で村長を務めるアベラルドだ、ホーンラビットを20羽持っていると言うのは本当か?」
なかなか迫力のある村長で、辺境の開拓村を纏めるだけの経験と実力があるのだろう。俺の全てを見通そうとするように、眼光鋭く見つめてくる。
「はい、ここに」
俺はアイテムボックスから20羽分のホーンラビットを取り出したが、村長と一緒に立ちあっている村の幹部が生唾を飲んでいる。
この村の人は餓えているようだが、セイはどう思う?
(我の威圧で逃げたようだが、この村を囲むようにモンスターの気配がしていた。大したレベルのモンスターではないが、この大きさの人族の開拓村なら全滅させるくらいの力はあるだろう)
では村に籠城してモンスターに対抗していたから、食糧が不足しているのかな?
(恐らくそんな事だろう)
「これを解体すれば、割増料金を支払ってくれるのだな?」
「はい、肉の部分以外は不要なので、毛皮や角で料金を支払いたいのですが」
(意地悪な事を言うのだな)
駆け引きだよ、それに正直に話してくれれば喜んで肉を分けてあげるよ
「ふむ、それでは引き受けられんな」
「それはなぜですか?」
「正直に話そう、この村はオークリーダに率いられた群れに囲まれているのだ。懸命に防衛して村に入り込ませないようにはしているが、そのせいで多くの者が死傷しているうえに、食糧を狩りに村を出る事ができないのだ。だからあなたが持っているホーンラビットの肉が必要なのだ!」
「では解体手数料を肉で支払うと言う事でどうでしょう?」
「そうしてくれれば助かるし、村に入る税金と宿泊料も肉で支払ってもらいたい!」
村長の目は真剣そのもので、断れば俺を殺して肉を奪う覚悟を決めていると思われる。ここは無駄な争いを引き起こしたり、意地悪をしていい場面じゃない。
「分かりました、実は狩ったホーンラビットは20羽では無く、200羽以上狩っているんです。1度にアイテムボックスから出すと鮮度が落ちてしまうので、1羽解体が終わったら次を出す形でいいですか?」
「なに?! 200羽も持っているのか? 本当だろうな!」
「ええ、そんな嘘を付いてもすぐバレてしまいます、解体料は1割5分の約束でしたね? 100羽解体したら15羽を村に納めると言う形でいいですか?」
「毛皮や角は不要だ、他の村や冒険者ギルドで売却してくれ。村は出来るだけ肉が欲しい、だから5羽解体したら2羽分の肉を貰いたい」
「肉だけを4割分欲しいと言う事ですね?」
「そうだ、それと入村料として荷物の2割を納めてもらう」
「随分と強欲な条件ですね」
「強引なのは分かっている、だが村が滅ぶかどうかの瀬戸際だ、恨まれようが罵られようが取れるとこから取らねばならぬ!
「200羽のホーンラビットを持っていますから、村に入った以上40羽を渡せと言う事ですね」
「そうだ、それとさっき言ったように解体手数料で肉を4割だ」
「まずこちらの条件は、出入りの自由を保証してもらいます」
「命の保証をしろと言う事か?」
俺が謀殺を恐れていると思っているのかな?
「いえ、1度外に出て再び戻って来た時にもう1度税を取らないと誓って欲しいのです」
「オークに囲まれたこの村を出て、再び生きて戻ってこれると言うのか?」
「そのオークに囲まれた村に入ることができたのです、もう1度生きて戻れないとは言えないでしょう。俺の強さを計れないから、村長も俺を襲うのを躊躇しているのでしょ?」
「ああ、村の者を飢え死にさせない為なら、よそ者を殺す事に躊躇はせんよ」
「俺も村人が襲ってきたら、生き残るために人殺しもやってのけますよ」
ふむ、夢の所為かセイが護ってくれると言う安心感がある所為か、現実の俺より勇気があり堂々と交渉出来ている。やはり物語の世界は最高だ!
「御互い最悪の事態は避けたいと言う事でいいのだな」
「そうですね、オークの為に人間同士が殺し合うなど酷い話ですからね。でもここまで言い成りになったのですから、入村税はホーンラビットの肉だけ40羽分として、宿泊料も無料にして欲しいですね」
「食糧不足だから、飯は出ないぞ」
「ホーンラビットを解体してくれるなら、料理は自分でやりますよ」
「そうか、ならその条件でいい」
俺と村長たちが交渉している間に、俺が大量のホーンラビットを持っており、肉を対価に解体を依頼すると言う話が村中に広まったのだろう。交渉場所となった村長宅の周りに、餓えた村民がたくさん集まって来ていた。特に実際解体を請け負う猟師や女たちは、出来るだけ多くの依頼を受けようと、互いにけん制し合っていた。
「村長、肉をちょろまかしたリ下手な解体をする者は除外して欲しい、ここに集まっている者にはまず1羽解体してもらい、合格した者だけに2羽目を依頼したい」
「それでは村人全員に肉を公平に渡せない」
「それは村長が自分の責任でやってくれ、大切な食料を無駄にされたり盗まれたりするのは我慢できない」
「分かった何とかしよう」
村長の厳命と下手に解体したら2羽目が貰えないことを知り、村人全員が丁寧に解体を始めた。1羽1羽と肉が集まって来たので、順番に料理を始めることにした。
なかなか迫力のある村長で、辺境の開拓村を纏めるだけの経験と実力があるのだろう。俺の全てを見通そうとするように、眼光鋭く見つめてくる。
「はい、ここに」
俺はアイテムボックスから20羽分のホーンラビットを取り出したが、村長と一緒に立ちあっている村の幹部が生唾を飲んでいる。
この村の人は餓えているようだが、セイはどう思う?
(我の威圧で逃げたようだが、この村を囲むようにモンスターの気配がしていた。大したレベルのモンスターではないが、この大きさの人族の開拓村なら全滅させるくらいの力はあるだろう)
では村に籠城してモンスターに対抗していたから、食糧が不足しているのかな?
(恐らくそんな事だろう)
「これを解体すれば、割増料金を支払ってくれるのだな?」
「はい、肉の部分以外は不要なので、毛皮や角で料金を支払いたいのですが」
(意地悪な事を言うのだな)
駆け引きだよ、それに正直に話してくれれば喜んで肉を分けてあげるよ
「ふむ、それでは引き受けられんな」
「それはなぜですか?」
「正直に話そう、この村はオークリーダに率いられた群れに囲まれているのだ。懸命に防衛して村に入り込ませないようにはしているが、そのせいで多くの者が死傷しているうえに、食糧を狩りに村を出る事ができないのだ。だからあなたが持っているホーンラビットの肉が必要なのだ!」
「では解体手数料を肉で支払うと言う事でどうでしょう?」
「そうしてくれれば助かるし、村に入る税金と宿泊料も肉で支払ってもらいたい!」
村長の目は真剣そのもので、断れば俺を殺して肉を奪う覚悟を決めていると思われる。ここは無駄な争いを引き起こしたり、意地悪をしていい場面じゃない。
「分かりました、実は狩ったホーンラビットは20羽では無く、200羽以上狩っているんです。1度にアイテムボックスから出すと鮮度が落ちてしまうので、1羽解体が終わったら次を出す形でいいですか?」
「なに?! 200羽も持っているのか? 本当だろうな!」
「ええ、そんな嘘を付いてもすぐバレてしまいます、解体料は1割5分の約束でしたね? 100羽解体したら15羽を村に納めると言う形でいいですか?」
「毛皮や角は不要だ、他の村や冒険者ギルドで売却してくれ。村は出来るだけ肉が欲しい、だから5羽解体したら2羽分の肉を貰いたい」
「肉だけを4割分欲しいと言う事ですね?」
「そうだ、それと入村料として荷物の2割を納めてもらう」
「随分と強欲な条件ですね」
「強引なのは分かっている、だが村が滅ぶかどうかの瀬戸際だ、恨まれようが罵られようが取れるとこから取らねばならぬ!
「200羽のホーンラビットを持っていますから、村に入った以上40羽を渡せと言う事ですね」
「そうだ、それとさっき言ったように解体手数料で肉を4割だ」
「まずこちらの条件は、出入りの自由を保証してもらいます」
「命の保証をしろと言う事か?」
俺が謀殺を恐れていると思っているのかな?
「いえ、1度外に出て再び戻って来た時にもう1度税を取らないと誓って欲しいのです」
「オークに囲まれたこの村を出て、再び生きて戻ってこれると言うのか?」
「そのオークに囲まれた村に入ることができたのです、もう1度生きて戻れないとは言えないでしょう。俺の強さを計れないから、村長も俺を襲うのを躊躇しているのでしょ?」
「ああ、村の者を飢え死にさせない為なら、よそ者を殺す事に躊躇はせんよ」
「俺も村人が襲ってきたら、生き残るために人殺しもやってのけますよ」
ふむ、夢の所為かセイが護ってくれると言う安心感がある所為か、現実の俺より勇気があり堂々と交渉出来ている。やはり物語の世界は最高だ!
「御互い最悪の事態は避けたいと言う事でいいのだな」
「そうですね、オークの為に人間同士が殺し合うなど酷い話ですからね。でもここまで言い成りになったのですから、入村税はホーンラビットの肉だけ40羽分として、宿泊料も無料にして欲しいですね」
「食糧不足だから、飯は出ないぞ」
「ホーンラビットを解体してくれるなら、料理は自分でやりますよ」
「そうか、ならその条件でいい」
俺と村長たちが交渉している間に、俺が大量のホーンラビットを持っており、肉を対価に解体を依頼すると言う話が村中に広まったのだろう。交渉場所となった村長宅の周りに、餓えた村民がたくさん集まって来ていた。特に実際解体を請け負う猟師や女たちは、出来るだけ多くの依頼を受けようと、互いにけん制し合っていた。
「村長、肉をちょろまかしたリ下手な解体をする者は除外して欲しい、ここに集まっている者にはまず1羽解体してもらい、合格した者だけに2羽目を依頼したい」
「それでは村人全員に肉を公平に渡せない」
「それは村長が自分の責任でやってくれ、大切な食料を無駄にされたり盗まれたりするのは我慢できない」
「分かった何とかしよう」
村長の厳命と下手に解体したら2羽目が貰えないことを知り、村人全員が丁寧に解体を始めた。1羽1羽と肉が集まって来たので、順番に料理を始めることにした。
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