初老おっさんの異世界漫遊記・どうせ食べるなら美味しいものが喰いたいんだ!

克全

文字の大きさ
114 / 230
ローファン王国・ビラン街

「魔獣肉と異世界麺のオーブン焼き」

しおりを挟む
「酷い目にあったな」

「あの程度では酒癖が悪いとは言わんぞ、ミノルが酒席になれていないだけであろう」

「そうなのか? まあそうかもしれないな」

「何故手を出してやらん、オードリーは待っておったぞ」

「う~ん、まだ踏ん切りがつかないんだよね」

「何がだ?」

「いやまぁ~、なんだ、この世界で子供をもうけていいのかなぁ~、てね」

「何故躊躇するのだ?」

「弱肉強食の世界だからね、生きて行くのが大変だろうからね」

「当然ではないか、だがそれが心配と言うのなら、見習達のように教育すればよかろう」

「う~ん、それはそうなんだけどね」

「それでも心配と言うのなら、分身体を後見人・守護者とすれば何の心配もないではないか」

「うん、それは分かっているんだ、分かってはいるんだけどね」

「分かっているのに躊躇するのか?」

「まぁ~ねぇ~、心の問題だからね、踏ん切りがつくまでボチボチやるよ」

「まぁ好きにするがいい、我がどうこう言う問題ではないしな」

「ああそうさせてくれ」

「なぁ~主~、本気で作ってる? 俺達待ってるんだけど~」

「ミャア!」

「やってるよ、もう直ぐ食べ頃に焼けるよ」

「いや、それだけじゃないよ! 真剣に焼いてるのかって聞いてるの!」

「ミャアミャ!」

「真剣だよ、アグネスと白虎の料理を手抜きする訳ないじゃないか」

「でもおしゃべりしながら焼いてるじゃないか、真剣に愛情を注いでくれないと美味しくならないんだろ!」

「ミャ!」

「大丈夫だよ、俺のアグネスへの愛情に一片の曇りも無いよ」

「アグネスだけかよ!」

「やかましいわ!」

「ゴメンナサイ、ごめんなさい、御免なさい」

「まあ、まあ、まあ、そんなに怒ってやるな、セイ」

「いやそうはいかん、白虎は直ぐに図にのるから、怒るべき時には即座に怒らねばならぬ」

「ひぃ~」

「さあ、アグネス、白虎、ステーキが焼けたよ」

 また今日も何の工夫も無くステーキなんだけど、アグネスも白虎もステーキがいいと言うのだから仕方がない。しかも1番レベルの高いジャイアント・レッドベアー肉を要求して来る。まあ使う塩胡椒やステーキソース・焼肉のたれを工夫しているから、微妙に味は違っているとのだけれど、たまには他の料理も食べてもらいたい。

 だから自分や見習達の為に試作した料理に多くの肉を使い、肉だけをアグネスと白虎に与えることにしていた。だから今日も料理を試作することにしたのだ。

「魔獣肉と異世界麺のオーブン焼き」
魔獣肩肉  :30kg
バター   :大さじ200杯
タマネギ  :15kg
ニンジン  :15kg
ニンニク  :200片
ベーコン  :6kg
ソーセージ :6kg
ブイヨン  :200カップ
塩     :適量
胡椒    :適量
タイム   :適量
ローリエ  :適量
パセリ   :適量

異世界麺  :25kg
バター   :大さじ500杯
おろしチーズ:大さじ500杯

1:魔獣肩肉とベーコンは1・5cm各に切る
2:ソーセージは1・5cmの輪切りにする
3:鍋にバター(獣脂)を融かしみじん切りのタマネギ・ニンジンを炒める
4:タマネギがキツネ色になったら獣肉・ベーコン・ソーセージを入れて炒める
5:ブイヨン・塩胡椒・野菜・香草を入れて色よくなるまで煮る
6:異世界麺はタップリの熱湯に塩を入れた鍋で堅めにゆでる
7:異世界麺を出し熱いうちにバター(植物油)からめ塩胡椒で味を調える
8:グラタン皿に7の麺を入れ、5の具材を上にかける
9:おろしチーズをむらなくかけ、オーブンで焼く

 自分用の料理なら、ドローン配送で手に入れた日本の材料を使えるが、見習達に作らせるのなら異世界で手に入れられる材料に変えなければならない。魔獣肉はふんだんにあるしベーコンもソーセージも自作済みだが、野菜や香草は似た物を探し出させよう。

 だがバターやチーズは無理だ、この世界では遊牧や牧畜は行われていない。いくらでも強力な魔獣やモンスターが存在するこの世界では、遊牧や牧畜を行う事は、魔獣やモンスターを引き寄せてしまうのだ。人間を護る城壁を築き維持するだけで精一杯で、家畜を護る余裕など全くない。肉を手に入れたいだけなら、狩りをする方が余程簡単でリスクが少ないのだ。

 だからこそ、バターやチーズ・ヨーグルトは特別な食材で、とんでもなく高価なものなのだ!

「新作が出来たよ、味見してみな」

「やったね! でも肉だけでいいぜ」

「ミャウ!」

「分かっているよ、ジャイアントレッドベアーの肩肉・ベーコン・ソーセージを炒め煮したものに、チーズをかけて焼いているから、野菜は入ってないよ」

「そうだよ、そうこなくっちゃ!」

「ミャミャウ!」

 アグネスと白虎用にアレンジしてあるから、野菜や香草は風味づけ程度にしてあるし、特に白虎用は5cm各に切った肉塊で作ってる特別製だ。

「美味いぞ主! 特にチーズがかかっているのが最高だ!」

「ミャウミャウミャ!」

「そうかそうか、愛情込めて作ってあるから特に美味しいはずだぞ」

 よしよしよし!

 2人がこれくらい美味しいそうに反応してくれているのなら、普通の人間も美味しく思ってくれるだろう。テトラに戻った時に見習達に出してやろうと思うが、念の為に開拓村で試作して食べてもらおう。

(任せておけ、分身体に作り方を伝えておく)

(頼んだよセイ)
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...