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ローファン王国・ビラン街

脅迫

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ローファン王国:侵攻軍直上

(セイ、やっぱり俺がやらないと駄目かな?)

(リュウにやらせてもいいが、そうなるとさっき言ったように、1度殺してから蘇生させる事になるぞ。だがそれは嫌だと、ミノルが言ったのであろう)

(そうだぞミノル、余ともあろうものが、お前の言う事を聞いてやっているのだ。ぐずぐずとせず、1度決めた通りにやらんか)

(分かったよ、さっさと嫌な事は済ませるよ)

 遠視と遠話でリュウと言い争っていたが、さすがに侵攻軍を見過ごす訳もいかないし、リュウの好き勝手にさせる訳にもいかない。

 そこでいろいろ話し合って、リュウには完全に気配を消させて、その存在感でショック死させる事を禁止した。だが同時にその巨大な身体は、侵攻軍を威圧するために、大いに見せ付けてもらう事にした。

 俺やセイがいくら強くても、見た目に迫力がないと威圧効果がない。見た目はリュウの恐ろしい姿を使い、魔法は俺がかける事になったのだ。

(ミノル、こいつらは隣接する辺境伯の領主軍団だ、王国軍ではないぞ)

(辺境貴族同士の領地争いなのか?)

(そのようだな、ゾッティ伯爵を殺すか捕らえるかして、一族の男子に伯爵家を継がせるつもりのようだ)

(辺境伯家の全軍がここに来ているのか?)

(いや、辺境伯家は領地が広い分、隣接する貴族家も多いようだ。他の敵対貴族家に備えるために、半分ほどは各地に派遣しているそうだ)

 俺は侵攻軍の内情を知るために、人間の心を読み取る魔法をセイに使ってもらった。さすがに他人の心を読むのは気が引けるし、何百何千と言う人間のどす黒い欲を覗いてしまうと、発狂してしまうかもしれない。

 その点セイなら、人間愚かさを知っても平気だ。それに精神も強いから、人間の欲や狂気に触れたとしても、自分を見失う事などない。これがリュウなら、人間の欲や狂気に触発されて、本能のままに暴れる恐れがある。

 ここに来ている辺境伯軍1万兵の心を、全て覗いたとしても、セイのメンタルはビクともしないだろう。そもそも世界樹であるセイに、心や知性があることが俺の常識からは考えられない事だから、難しく考える必要などない。できることを全てやってもらうだけだ。

(まずは激痛魔法をかけてやれ)

(拷問なのか?)

(殺さずに恐怖を与えるとなれば、痛みが1番だ。心を覗いてみたが、痛みが1番効果的だ)

(1万兵ならメガ級の魔法で大丈夫だな)

(1度メガ級をかけてみろ、その効果を確かめてから、次の手を指示してやる)

(分かったよ)

(話は済んだか? では余が最初に恐怖を与えてやろう)

 リュウが辺境伯軍の前に姿を現した。
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