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ローファン王国・ビラン街

ヒューマンハーフユグドラシル

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ゾッティ伯爵家と辺境伯家の境界線

「ミノル殿、このような場所にキャンプ地を設営して、危険はないのかね」

「テューレ殿も竜の気配は感じられましたよね?」

「ああ、俺だけではなく、多くの冒険者が感じていたよ。もっとも竜だと理解できたのは、過去に竜と出会った事のある冒険者だけだがな」

「竜と出会うのは珍しいのですか?」

「竜と出会うのは珍しいが、それ以上の、竜と出会って生き延びることが奇跡に近いからな」

「でもテューレ殿は生き残っている」

「片腕を失ったがな」

「なるほど、でもテューレ殿ほどの方が腕を失う竜と出会って、それでも生き残った冒険者が、ビランにはいるのですね」

「ビランはこの国で1番強力な冒険者組合だし、ミノル殿を慕って街を出た冒険者は、頑強なドワーフ族が多いからな」

「なるほど、ドワーフ族だから竜と出会っても生き延びられたのですね」

「まあそれとは別に、竜の素材を加工した事のあるドワーフ族もいる。解体職員の中にも、過去に狩られた伝説級の竜素材を、研修会で見させてもらったものもいる」

「なるほど、ですが過去の素材を見せてもらっただけで、いま生きている竜の気配だと分かるものですか?」

「竜の放つ圧倒的な殺気は、大昔に狩られた竜の素材にも残っている。忘れたくても忘れられない、本能をゆさぶる恐ろしさだよ」

「そうなんですか、それはほど恐ろしいものなんですね」

「ミノル殿もあの殺気には気付いていただろ? 何ともなかったのか?!」

「まあ僕の故郷には、ドラゴンファイターやドラゴンライダーと呼ばれる、竜を友とする職業があるのですよ」

「な?! 竜を友にするだと!」

「ええ、竜にまたがって空を翔け、共に戦う戦士ですよ。いや、騎士と言った方がいいかな?」

「はぁ~、それをミノル殿以外から聞いたのなら、大ほら吹きとののしっているよ。だがこれでようやく、ミノル殿の桁外れの強さの理由が分かったよ」

「どう言う事です?」

「竜を飼いならすような国の生まれなら、我々とは強さの基準が違って当たり前だ。どれほど努力しようが、ミノル殿に敵うはずがない」

「そうなんですかね? でもまあ僕が手ほどきすれば、ある程度の強さは身につくと思いますよ」

「そう言えば、オードリーと恋仲になったんだな?」

「ええまあ、そう言うことですが、それが何か?」

「子供はどうなんだ? ミノル殿とオードリーの間に子供は生まれるのか?」

「そりゃあ僕も人間ですから、そう言う関係になれば、子供も生まれますよ」

「本当か? どうもミノル殿を見ていたら、同じ人間とは思えないいんだが?」

「そんなことはありませんよ、僕はれっきとした人間ですよ」

(ミノルは人間ではないぞ)
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