奴隷魔法使い

克全

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王都編

常陸大公家4

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  以前試したような、刃の圧縮強化風魔法を使えばボスを切り裂けるかもしれない、だが、それを彩以外に見られるわけにはいかない。だから砲丸状で叩きつけて牽制するしかない。

 「ゲシ!」
 ボスが空中でよろめいた。
 ボスの鱗が削れてる。
 砲丸が身体にめり込んでいる。
 砲弾ですらめり込むなら、刃で切り倒せるかもしれない。
 2人に気付かれないうちに、砲丸の圧縮強化を緩めよう。
 強さを加減した風魔法を張り手の様に使った。
 ボスを十分引き付けられたので、冒険者村に魔力念話を送った。

 「ボスを誘き出した、狩を始めろ。」

 「大和様がボス誘き寄せ成功されました。」
 念話の出来る初級下の魔法使いが報告する。

 「狙撃隊、放て!」

 組合長の号令で、撒餌に集まっていた魔獣魔竜に向けて矢が放たれた。
 魔竜の骨・腱等を魔術で強化し作られた強弓を装備した弓狩人。
 並み外れた剛力でなければ引くことも出来ない強弓。
 矢は同じく、魔竜の牙・爪・鱗を加工した高価な物。
 名手でなければ勿体無くて魔境に向けて放てない。
 並みの獲物に使っては、とてもじゃないが採算が合わない高価な武器だ。
 10頭の小型魔竜が即死させられた。

 「制圧隊放て!」

 投石機に着いていた冒険者達が一斉に動き出した。
 せっかく狩った魔竜を、魔獣魔竜に横取りされないように石を放つのだ。
 狩場と定めた地域の周りに大石が着弾する。
 平均的な腕前しかない弓隊が、並み弓を使い、狩場にいる魔獣魔竜を牽制する。

 「回収隊、かかれ!」

 投げ縄、投擲・鎖鎌等の術に優れた者がそれぞれの得物を投げる。
 投げ縄で上手く狩った魔竜を捕らえた者が急いで引っ張り出そうとする。
 銛を投げた投擲狩人の中で、上手く引っ掛けた者は急いで引いている。
 鎖鎌の要領で、反し突きの分銅を投げ引っ掛けた者も同様だ。

  常陸大公軍の兵達は度肝を抜かれてるようだ。
 大和様と連携した囮狩りは、安全確実に魔竜魔獣を狩れる。
 多摩から分派された、奴隷千人隊と冒険者村にいた狩人たち。
 総数1000兵の部隊連携は完璧に近い。
 いや、大和様の保証が有る強者は、高価な魔龍製武具を月割で手に入れた。
 中には組合から貸与されている者もいる。
 飛びぬけた者達で組んだ隊は莫大な収穫を手にしてる。
 並みの者が組合指導で組んだ隊でも十分な収穫だ。

 「組合長、今日の収穫は幾らになるんだ?」

 王都からついて来ている、常陸大公家の代官が聞いてくる。
 後から集合した大公軍の兵達に聞かせたいのだろう。

 「はい、10kgから100kgまでの小者魔竜や魔獣が中心ですが、並みの部隊で1人平均40kg程度は稼げているようです、日当1万7000銅貨です。」

 「並みじゃない、あそこで狩ってる強者隊は?」

 「そうですね、彼ら強弓3、投擲3の6人組、大和様からの狩り終了合図までに、100kg級の魔竜を60頭ほど狩っております。」

 「それで?」

 「6人で6000kg1200万銅貨、税が2割ですから960万銅貨、1人当たり160万銅貨に成ります。」

 「な! 1日で、たった1日で、800石の知行取の士族の年収が手に入るのか。」

 「まあ、彼らは大和家の陪臣に内定しており、組合費が無いからですがね。」

 「組合費だと?」

 「冒険者だと、王国や領主に2割の税と共に、組合費2割が引かれます。」

 「我が大公軍が狩った場合はどうなる?」

 「大公家の規則次第です。」

 「領主は2割の税だが、他に何かあるのか?」

 「家臣なのですから、ちゃんと知行や扶持を頂いてる以上、全額上納という貴族家もあります。」

 「いや、大公殿下は2割の上納だけで好いといわれておられる。」

 「では、大和様に囮料を何割支払うかですね。」

 「囮料とは?」

 「大和様がボスの属性魔龍を引き付け、それを連絡してくださらなければ、どんな強者でもブレス1発で即死ですよ。」

 「前例は有るのか?」

 「2割ですね。」

 「それでどうなる?」

 「まあ、大公軍の実力次第ですが、我ら冒険者と同じと考えれば、兵1人当たり1日1万7000銅貨、1000人の部隊で170万銅貨ですね、大公家への上納金は60万銅貨弱ではないですかね。」

 「領内に残る家臣の内、1000兵を動員すれば同じだけ狩れるか?」

 「いえ御代官様、大和様は部屋住みの子弟を抱え席として動員し、扶持無で狩取自由とすれば、大公家も家臣も幸せになれると言われてました。」

 「お待ちください!」

 「控えよ!」

 「まあまあ、御代官様、疑問が有れば答えて差し上げましょう。」

 「う~~む、組合長がそう言われるのであれば。」

 「私のような軽輩の疑問に答えていただき有り難い、全ての家臣子弟が狩取自由でござるか?」

 「先ほども申し上げたように、大公家と大和家にそれぞれ2割の税、合計4割の税は納めなければいけませんが。」

 「家臣の身分に関係なく、平等に分配されるのでござるか?」

 「公平ではございません、実力次第でございます、身分は関係ないです。」

 「実力とはどう言うことでござる?」

 「先ほどから見学なされていたように、魔獣魔竜を狩れるかどうかです。」

 「弓術と投擲術でござるか?」

 「そうですね、後は魔力念話で大和様の指図を聞けるかどうかですね。」

 「それはどう言う意味でござる?」

 「囮成功、狩り開始と狩り中止の念話が聞けなければどうにもなりません。」

 「念話の出来る家臣は優遇されると言われるのでござるか?」

 「はい、ま、部屋住みに子弟方は、大公家に執着する必要はないのですが。」

 「大公家に執着とは! 無礼でござろう!!」

 「いえいえ、大公家を軽く見たわけではございません、大和家では新たに陪臣士族を大量募集すると聞いております。」

 「なんと!」

 「実家は軽輩の卒族家であろうとも、実力さえあれば士族として仕官できます。」

 「有り難い!」

 「最初からそういう話で、国王陛下・大公様・大和様で話し合われて、国元の城代家老様にも連絡が有った筈ですが?」
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