奴隷魔法使い

克全

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王都編

笠懸・副業・追物射・捜査

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 『笠懸かさがけ

 「この競技も実戦的に変えているのですね?」

 「うん、通常より遠くに的を置かせてるんだ。」

 「これも流鏑馬ですか?」

 「う~~ん、どちらかというと遠笠懸かな。」

 「でも、略装ではないのですね?」

 「実戦的な狩りの試験だからね、鎧着用にしてもらった。」

 「的は100m位の遠さですね。」

 「うん、魔獣や魔竜相手なら、これくらいは遠射出来ないとね。」

 「笠懸は100mの馬道で的1つでしたよね?」

 「うん、今回は400mの馬道で的が左右6つ、さっきの流鏑馬と同じだよ。」

 「難しすぎませんか?」

 「今回これで落選したら、皆鍛錬するだろ。」

 「尚武の風潮を望まれてのことでしたか。」

 「強者の家臣が欲しいからね。」

 『副業』

 「殿様、売店が出ておりますが、商人に出展料を取っているのですか?」

 「うん、縄張りを決めて士族卒族に貸与してるんだよ。」

 「え? あれは士族家や卒族家の利益なのですか?」

 「うん、又貸しになるね。」

 「直接出店している方もおられるのですか?」

 「建前上、士族卒族は商いを出来ない、だから、下男下女にやらせてる。」

 「まあ、利益を出せるのでしょうか?」

 「提案はして置いたけどね。」

 「どのような提案ですの?」

 「大掛かりな資金投入や仕入はしないこと、扶持で頂いた玄米を換金するのに手数料取られるよりは、この機会に握り飯・餅団子・雑炊・茶漬けで商いすれば好いてね。」

 「まあ、ではあの団子屋は士族家でしょうか?」

 「そうだね、働いている女中が行儀作法を心得てるし、人数も多い。」

 「あっちの店は卒族家ですか?」

 「うん、御婆1人で茶漬けと自家製漬物を売り物にしてるからそうだろうね。」

 「あの野点で、抹茶と練り菓子を出しているのは、可也の家柄でしょうか?」

 「だろうね、どの家も財政が苦しいようだから。」

 『追物射おうものい

 「次の会場に移動しようか。」

 「はい、殿様。」

 「ここは何を競うのですか?」

 「生きた獣を騎射で競う場所だよ。」

 「犬追物の変形ですか?」

 「うん、犬追物は60m四方の馬場に、12騎1組を3組入れて、犬を殺さないような音が鳴る鏑矢かぶらやを使って競うものなんだけど、今回は実戦用の殺傷力の有る矢を使って、犬だけじゃなく猪・鹿・牛も放してある。」

 「観客は盛り上がっていますね。」

 「見世物としては面白いしね。」

 「私達は最初から見なくてよかったのですか?」

 「見たかったんだけど、全会場を同時には見れないし、俺達のいない時間は練習扱いにして貰っているよ。」

 「そうなのですね。ところで、この会場の屋台は肉料理を商っているのですね。」

 「うん、殺傷した獣は食べて供養してあげないとね。」

 「はい、でも美味しそうに食べていますね。」

 「見世物に興奮して味も引き立っているんだろうね。」

 「士族卒族も出店してるのでしょうか?」

 「あの店はそうだろうね、手際が悪い。」

 「生活費の足しになればいいのですが。」

 「を! あの女武者は際立っているな。」

 「はい! 殿様。手早い速射なのに威力も有って1射で牛を射殺しました。」

 「あの女武者は採用で好いね?」

 「はい、殿様。」

 「そこの女武者よ、貴君は採用だ!」

 『捜査』

 「大和殿、王都南奉行の松野助義と言います、少し宜しいですか?」

 「はい? 何か御用ですか?」

 「実は、国王陛下暗殺未遂事件の事なのです。」

 「はい! 何でも聞いてください。」

 「大目付、目付、寺社奉行、我ら町奉行と捜査機関が一体となって犯人一味の捜索をしておるのですが、全く手掛かりにがつかめません、実行犯を成敗された時に気付かれたことは無いですか?」

 「そうですね、可也訓練された手練れでした。」

 「はい。」

 「人質を取られているのか、狂信的なのか、生きて帰る気の無い命懸の行動でした。」

  「ほう、それほどの覚悟の上での行動でしたか?」

 「ええ、あの場での襲撃、成否の別なく逃げきれません。」

 「確かにそうですな。」

 「襲撃犯の身元や足取りはつかめませんか?」

 「全く手掛かり無しです。」

 「あいつらは、初級とはいえ魔法使いでした、全く痕跡が無いのですか?」

 「確かに王国直轄地の民や臣下なら記録が有るはずですな。」

 「無いと言うことは、最初から暗部の仕事をさせる為に訓練させた貴族家の者。」

 「ならば、我ら王都南奉行では難しいでしょうな。」

 「あと新井が王都暗黒街を介して雇った可能性も捨てられません。」

 「暗黒街ですか?」

 「新井からの手掛かりは無いのですか?」

 「残念ながら有りません。」

 「事は国王陛下殺害未遂事件です、貴族家への強制捜査は当然ですが、王都暗黒街へも捜査も命がけで行わないと、奉行殿の処遇も只ではすみますまい。」

 「確かに、ですから少しでも手掛かりが欲しく、お聞きさせたいただいているのです。」

 「ならば、大目付殿・目付殿・寺社奉行殿とも話が出来る、合同捜査部を立ち上げなばなりますまい。」

 「それは・・・・・」

 「難しいのですか?」

 「それぞれの手柄争いもありますので。」

 「それで何も成果がなければ、無能として処分されましょう。」

 「・・・・・・・・」

 「僕が筆頭大臣なら、切腹も考慮しますよ。」

 「それはいくら何でも。」

 「そうですかね? 縄張り争い手柄争いの所為で何の成果もなかったり、誤認逮捕の上、拷問で冤罪など起こしたら、貴族士族であろうと斬首もあり得ますよ。」

「う! それは・・・・・」

 「松野殿が、合同捜査部立ち上げの提案をされれば、少なくとも松野殿は処分対象から外れるのではありませんか?」

 「! 御助言忝い!! 早速献策してまいります。」
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