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王都編
陪臣採用・山本秀子・生活・子取り・掏り
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『陪臣採用』
「殿様、捜査が行き詰まっているようですね。」
「だね、でも素人の俺達には何もできないさ。」
「そうですね。」
「ところでさっきの、女武芸者との面接は終わったのかい?」
「はい殿様、条件に納得してくれました。」
「王都と狩場のどっちで採用したんだい?」
「王都勤めを希望しました。」
「ほう何故だい? 収入面で狩場勤めよりかなり悪いのに?」
「病気の父親が長旅に耐えられず、王都から出れないそうです。」
「ふむ、俺たちなら運んでやれるが・・・・王都勤めの家臣にも腕っこきは必要だしな。」
「はい、旦那様。家族全員が暮らせる長屋が貸与され、幼い弟妹の教育が無料で受けられますから、決して彼女に悪い条件と言う訳でもないようです。」
「しかし家族が多いようだが、年6万銅貨の禄で大丈夫なのか?」
「それと、母親を女中として雇って欲しいそうです。」
「そうだな、幼い弟は小姓、妹は奥向きの御犬小供が務まるか試してあげよう。」
「それがよろしいですね。」
「じゃ、俺も会いにこう。」
『山本秀子』
「待たせたな、俺が大和尊だ。」
「は! 御初に御目にかかります、山本秀子と申します。」
「秀子か、好い名だ、これから彩の為、国王陛下の為、忠勤に励んでくれ。」
「は! これより父母弟妹共々、大和家の為、国王陛下の為忠義に努めます。」
素晴らしい、機転御利いた返事だ。
自分はもちろん、父母弟妹も働きますというアピールだ。
俺たちに多少の知恵があれば、父母弟妹も活用する気になる。
俺は意味ありげにニッコリと秀子に合図してやる。
「よくぞ申した、父母弟妹にも才覚にあった役職を与えよう。」
「ははは! 有り難き幸せ。」
「採用は確定なのだが、少し聞いて置きたいことがある。」
『生活』
「何事でもお聞きください。」
構えたか、緊張してるな。
「繰り返すが、どんな答えであろうと秀子の採用は確定だ、ただ知って置きたいだけだ。」
「はい。」
「病気の父と幼い弟妹をどうやって養っていたんだい?」
「は、弓の稽古も兼ねて鳥獣や魚を射っておりました。」
「王都近くに狩場が有るのかい?」
「は、普通の獣なら王都近郊でもおります。」
「主に何を狩っていたんだい?」
「冬場は鴨が高く売れます、兎や貉も人気があります。」
「それで家族が養えるほどの収入になったのかい?」
「獲物の内で値の低い獣を食用にしました、特に父の病の薬にもなる鯉は弟妹も好きです。」
「川の鯉も矢で射ったのかい?」
「はい、朝夕は鯉や鮒なども、水面を飛び跳ねますので、そこを射ます。」
「それは素晴らしい腕だな、明日見せて貰うことはできるかな?」
「はい! 喜んで。」
「うん、ではこの弓と矢を貸し与えよう、稽古しておいてくれ。」
「これは?」
「魔獣の健と骨で創った、魔導武具だ。」
「な! 有り難き幸せ!」
「魚はいつもの矢で射ってくれ、これは非常時の為貸し与える。」
「日々怠ることなく鍛錬に励み、忠誠を尽くさせていただきます。」
「では、下がって引っ越しの準備をしておいてくれ、明日1番で笠懸場に参れ。」
「は! 下がらせていただきます、明日一番に笠懸場に参上させていただきます。」
『子取り』
弓術大会で優秀な成績を収めた戦士を6名採用した。
前日採用の秀子を合わせて7名で食事をした後、大川に向かった。
完全に陽が暮れる前に辿り着かないと。
大川に向けて歩いていると、襤褸を着た子供たちを見かけたが、おかしい!
貧困で満足に子供を育てられないときは、王国に売る方が子供の為だ、俺や彩のように!
物乞いをする心算なのか?
それにしては気を張っている。
「秀子、王都下町ではあのような貧しい子供がいるのか?」
「はい、苦しくとも子供と共に暮らしたい親もいます。」
「そうか、それも一つの生き方か、だが何か気張っているようだが?」
「ただ、この子らは博徒か香具師に攫われれたか、売られたか?」
「なに! 子供を攫うだと!!」
『掏り』
「殿様、この子達はおそらく掏りです。」
「博徒や香具師は子供に掏り技を仕込んでるのか!」
「恐らくは。」
「王都の奉行所は取り締まらないのか!」
「賄賂を受け取っているのか? 平民の事などどうでもいいのか?」
「あの奉行が賄賂か!」
「御奉行様が賄賂受け取っているのかは判りませんが、奉行所の卒族与力や卒族同心は受け取っていると言う噂がございます。」
「賄賂を受け取って目こぼししているのか?」
「恐らくは。」
「その所為で、子供達が売られたり攫われたりしてるのか?」
「はい。」
「攫われた親は被害届を出さないのか?」
「形だけ、捜査してる振りをしているようです。」
「親達は自分で探さないのか?」
「奴らの縄張りに入れば殺されますし、商都や教都に売り払われると探しようがございません。」
「都市間で融通して証拠を消すのか。」
「はい。」
「秀子は好く知っているな?」
「幼い弟妹を守らなければいけません、王国は当てに出来ませんから!」
『掏りだ~~~、捕まえてくれ!』
「殿様、捜査が行き詰まっているようですね。」
「だね、でも素人の俺達には何もできないさ。」
「そうですね。」
「ところでさっきの、女武芸者との面接は終わったのかい?」
「はい殿様、条件に納得してくれました。」
「王都と狩場のどっちで採用したんだい?」
「王都勤めを希望しました。」
「ほう何故だい? 収入面で狩場勤めよりかなり悪いのに?」
「病気の父親が長旅に耐えられず、王都から出れないそうです。」
「ふむ、俺たちなら運んでやれるが・・・・王都勤めの家臣にも腕っこきは必要だしな。」
「はい、旦那様。家族全員が暮らせる長屋が貸与され、幼い弟妹の教育が無料で受けられますから、決して彼女に悪い条件と言う訳でもないようです。」
「しかし家族が多いようだが、年6万銅貨の禄で大丈夫なのか?」
「それと、母親を女中として雇って欲しいそうです。」
「そうだな、幼い弟は小姓、妹は奥向きの御犬小供が務まるか試してあげよう。」
「それがよろしいですね。」
「じゃ、俺も会いにこう。」
『山本秀子』
「待たせたな、俺が大和尊だ。」
「は! 御初に御目にかかります、山本秀子と申します。」
「秀子か、好い名だ、これから彩の為、国王陛下の為、忠勤に励んでくれ。」
「は! これより父母弟妹共々、大和家の為、国王陛下の為忠義に努めます。」
素晴らしい、機転御利いた返事だ。
自分はもちろん、父母弟妹も働きますというアピールだ。
俺たちに多少の知恵があれば、父母弟妹も活用する気になる。
俺は意味ありげにニッコリと秀子に合図してやる。
「よくぞ申した、父母弟妹にも才覚にあった役職を与えよう。」
「ははは! 有り難き幸せ。」
「採用は確定なのだが、少し聞いて置きたいことがある。」
『生活』
「何事でもお聞きください。」
構えたか、緊張してるな。
「繰り返すが、どんな答えであろうと秀子の採用は確定だ、ただ知って置きたいだけだ。」
「はい。」
「病気の父と幼い弟妹をどうやって養っていたんだい?」
「は、弓の稽古も兼ねて鳥獣や魚を射っておりました。」
「王都近くに狩場が有るのかい?」
「は、普通の獣なら王都近郊でもおります。」
「主に何を狩っていたんだい?」
「冬場は鴨が高く売れます、兎や貉も人気があります。」
「それで家族が養えるほどの収入になったのかい?」
「獲物の内で値の低い獣を食用にしました、特に父の病の薬にもなる鯉は弟妹も好きです。」
「川の鯉も矢で射ったのかい?」
「はい、朝夕は鯉や鮒なども、水面を飛び跳ねますので、そこを射ます。」
「それは素晴らしい腕だな、明日見せて貰うことはできるかな?」
「はい! 喜んで。」
「うん、ではこの弓と矢を貸し与えよう、稽古しておいてくれ。」
「これは?」
「魔獣の健と骨で創った、魔導武具だ。」
「な! 有り難き幸せ!」
「魚はいつもの矢で射ってくれ、これは非常時の為貸し与える。」
「日々怠ることなく鍛錬に励み、忠誠を尽くさせていただきます。」
「では、下がって引っ越しの準備をしておいてくれ、明日1番で笠懸場に参れ。」
「は! 下がらせていただきます、明日一番に笠懸場に参上させていただきます。」
『子取り』
弓術大会で優秀な成績を収めた戦士を6名採用した。
前日採用の秀子を合わせて7名で食事をした後、大川に向かった。
完全に陽が暮れる前に辿り着かないと。
大川に向けて歩いていると、襤褸を着た子供たちを見かけたが、おかしい!
貧困で満足に子供を育てられないときは、王国に売る方が子供の為だ、俺や彩のように!
物乞いをする心算なのか?
それにしては気を張っている。
「秀子、王都下町ではあのような貧しい子供がいるのか?」
「はい、苦しくとも子供と共に暮らしたい親もいます。」
「そうか、それも一つの生き方か、だが何か気張っているようだが?」
「ただ、この子らは博徒か香具師に攫われれたか、売られたか?」
「なに! 子供を攫うだと!!」
『掏り』
「殿様、この子達はおそらく掏りです。」
「博徒や香具師は子供に掏り技を仕込んでるのか!」
「恐らくは。」
「王都の奉行所は取り締まらないのか!」
「賄賂を受け取っているのか? 平民の事などどうでもいいのか?」
「あの奉行が賄賂か!」
「御奉行様が賄賂受け取っているのかは判りませんが、奉行所の卒族与力や卒族同心は受け取っていると言う噂がございます。」
「賄賂を受け取って目こぼししているのか?」
「恐らくは。」
「その所為で、子供達が売られたり攫われたりしてるのか?」
「はい。」
「攫われた親は被害届を出さないのか?」
「形だけ、捜査してる振りをしているようです。」
「親達は自分で探さないのか?」
「奴らの縄張りに入れば殺されますし、商都や教都に売り払われると探しようがございません。」
「都市間で融通して証拠を消すのか。」
「はい。」
「秀子は好く知っているな?」
「幼い弟妹を守らなければいけません、王国は当てに出来ませんから!」
『掏りだ~~~、捕まえてくれ!』
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