奴隷魔法使い

克全

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王都編

手助け・憤怒・やり過ぎ・欲・抵抗・助ける

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 『手助け』

  商人風の男が子供をを追い駈けている。
 10人程度の子供達がバラバラに逃げる。
 最早どの子が財布を持っているか判らない。
 皆逃げきれるかと思えたが、年少の幼い子が遊び人風の男に捕まった。

 「コラ餓鬼、大人しくしろ。」

 遊び人は美味い鴨を捕まえたと思っているようで、舌なめずりしそうな顔だ。

 「こら、財布を出せ!」

 「知らないよ、オイラ知らないよ。」

 「てめ~~ら、逃げるな! この餓鬼殺すぞ!!」

 「親分親分、お礼はさせていただきます、財布を、財布を返してください!」

 掏られた商人風の男が財布を気にする中、遊び人は年少児を人質に、財布を持っている子供を誘き出す気だ。

 「殿様、子供達を救ってやってください。」

 『憤怒』

  彩も子供に不幸に耐えれないのだろう、俺もそうだ。
 親に売られたのか、死んでしまったのか? 彩も俺も共に王国で養われ、奴隷冒険者となった身。
 掏りに身を落とした子供達は、攫われたか、親に売り飛ばされたか?
 子供達の哀れな運命に胸が痛む。

 「放しやがれ! おっさん!」

 一旦逃げていた年嵩の子供達が戻ってきた。
 子供達は、木切れを手に遊び人に向かっていった。

 「バシッ! ボク! ドス!」

 遊び人が容赦なく子供達を張り、殴り、蹴った。
 俺の中で何かが弾けた。
 俊足で移動して、一瞬でやってしまった。

 『やり過ぎ』

 気付いた時には遊び人を半殺しにしていた。
 我を忘れてしまった。
 殺してしまわなくてよかった。
 だが死なないまでも、遊び人は顎を粉々に砕かれ、顔の下半分が血袋のようだ。

 「そこの商人よ、財布はこれか?」

 俺は、一番年嵩の子供の懐を素早く探り、財布を取り出した。

 「あ! この野郎、返せ、返しやがれ!」
 子供が取り上げられた財布を再度取り返そうと暴れている。

 「そうです、私の財布です、この子に掏られたのです。」

 「そうか、では奉行所に行って手続きをしよう、それまでは預かる。」

 「そんな、士族さま、私は商いで時間がないのです。」

 俺は素早く子供を捕まえ動けなくした。
 新しく雇う予定の弓使いは、皆出来が好い。
 目配せ一つで、子供たちが逃げれないように囲い込んでいる。

 「財布さえ返して頂けたら、子供達を訴えようとは思っていません。」
 俺が、子供に手をかけた遊び人をぶちのめしたので、恐れているのだろう。

 「子供達を助ける手伝いをしてほしい。」

 「そんな、商いが有るんです。」

 「手伝ってくれたら、当家の出入り商人にしてやろう。」

 『欲』

 「あの、その、どんな商いをさせていただけるのでしょうか?」

 「その方は何を扱っている?」

 「七味唐辛子を商っております。」

 「ならば、毎日参ればよい、出入りを許そう。」

 「あの、お殿様でございますか?」

 「そうだ。」

 「御屋敷ではそれほど七味唐辛子をお使いになられるんですか?」

 「屋敷はまだ少数だが、いずれ100人ほどになる。」

 「はあ、さようですか。」
 買ってもらえる量に不安と不服があるんだな。

 「領地には1000人ほどの家臣がおる、そこに運ばせる分も買おう。」

 「へ! しかし・・・・領地まで運ぶのは・・・・」

 「こちらで運ぶ、心配いたすな。」

 「へい! ありがとうございます、仰せのままにいたします。」

 「では、供に奉行所まで参れ。」

 『抵抗』

  「さあ君たち、奉行所に行きましょう、必ず助けてあげます。」
 彩が優しく話す。

 「嫌だ、離せ、離しやがれ!」

 『そうだ、離せ。』

 子供たちが一斉に騒ぎ出すが、秀子達が隙なく囲んでくれている。7人が脅しで抜刀しているのが効いている。

 「大丈夫だ、士族の誇りにかけてお前達を助けてやる。」

 「うるせ~離せ、離しやがれ、士族なんて信用できるか。」

 「俺も奥も、元は王国奴隷冒険者だ、一つ違えばお前達と同じ運命だった。」

 「え? 本当?」
 
 『本当なの、士族さまも奴隷だったの?』
 子供たちが声をそろえる。

 「そうだ、本当だ、魔法の力で士族になったんだ。」

 「え、魔法使い様なの?」

 「そうだ、だから必ず助けてやる。」

 「だったらお願いだ、帰らせてくれ、妹が殺されてしまう!」

 『助ける』

 「妹が殺されるとは、どういうことだい?」
 俺は驚きを隠し優しく問いかけた。

 「日が暮れるまでに金を稼いで帰らないと、留守番の家族が殺されるんだ!」

 「それが、君の妹なのかい?」
 はらわたの煮えくり返る怒りを押し殺し、優しく問いかける。

 「そうだ、他の奴らも母さんや弟、友達が殺されちまう。」

 「誰に殺されるんだい?」

 「香具師の奴らだ。」

 「香具師の奴らは沢山居るのかい?」

 「そうだよ! 何十人もいるんだ、だから金をくれよ、離してくれよ!」

 時間が無いか、もう日が暮れる。
 人質を全員殺すのは効率が悪いが、1人くらいなら殺すかもしれない。
 殺さなくても一生残る傷をつけるかもしれない。
 奉行所に行く時間もない、安全な屋敷に匿うこともできない。
 この子らには人質のいる場所に案内してもらわないといけない。
 奴隷売買を黙認した貴族士族全てを敵に回しても、助けねばならん!
 彩も目で同じ気持ちだと合図してくれている。

 「秀子、皆の者、雇うと約束したが、守れなくなった。」

 「改訂版・奴隷魔法使い」の投稿させて頂いています、そちらも読んで頂ければ嬉しいです。
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