奴隷魔法使い

克全

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王都編

忠誠・襲撃・打撃・逆鱗・尋問

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 『忠誠』

 「殿様、何故でございます!」

 「左様でございます、何故取り消しなのでございます!」

 「俺と奥は闇の奴隷売買に係わっていた貴族士族を許せん、いや、見て見ぬふりをしていた者も許せん。」

 『御意!』

 「命懸で戦うが、王国でも重職に就いている者共だろう。」

 『・・・・・・』

 「勝てるとは限らん。」

 『・・・・・・』

 「家臣となっておれば、そなた等にも、いや家族にも害が及ばぬとも限らん。」

 「殿、情けのうございます。」

 「ふむ。」

 「運無く、士族卒族位を持てなかったとはいえ、誇り高く生きて参りました。」

 「うむ。」

 「殿より勿体無くも陪臣士族の地位を頂きました。」

 「うむ!」

 「ここで士族の誇りにかけて忠義を示さねば、老父母、幼弟妹に合わせる顔がございません。」
 「殿様、その通りです。」
 「殿様、弱き子供らを助けずして、何の士族でございましょう。」
 「殿様、我ら一同士族の誇りにかけて御前で働きとうございます。」
 「殿様、この子供達と人質の者達を助けましょう。」
 「大和の家名を、王都に轟かせましょう。」
 「大和家の誇りにかけて、香具師どもを殲滅いたしましょう。」
 家臣となった者達が夫々忠誠を示した。

 「あいわかった、時が無い、今直ぐ香具師の拠点に攻め入るぞ。」

 『お~~~~。』

 『襲撃』

 俺は香具師どもの目を欺くため、子供たちに金を与えた。
 銀貨と銅貨を混ぜて1万銅貨少しを財布に入れて渡した。
 子供達には、先に人質の居る屋敷に帰るように指示した。
 俺たちは後ろから尾行した。

 子供たちは駆けに駆けた。
 人質となっている父母兄弟を、友達を助けるため。
 小さき体で、より幼い者を庇いつつ駆ける。
 その姿に涙が溢れてくる。

 子供たちが駆け込んだところは・・・・・
 事もあろうに浅花寺勝倉院
 俺は怒りに打ち震えた。
 僧侶が人々を宗教で教え救うはずの者が闇奴隷売買に加担していただと。
 幼き子供に掏りをさせていただと。
 絶対に許せぬ!
 問答無用でぶち殺す
 俺は魔法袋から武具甲冑を出し完全武装をした。
 彩にも同じ完全武装をさせた。
 秀子たちにも槍を貸し与えた。

 俺たちは武器を手に院内に飛び込んだ。

 『打撃』

 飛び込んだ俺が目にしたのは。

 もしかした、僧侶は無理やり手伝わされているだけかと思ったが。
 無理やりどころか、子供から取り上げた銭を手に取りニヤニヤしている坊主ども。
 問答無用で打ち殺したいのを必死で我慢した。
 俺は事前に打ち合わせてたように、彩と二人魔法の乱撃を喰らわせた。
 秀子達は槍を手に不意打ちに備えてくれている。
 魔法の乱撃は打撃のみにしてある。
 鋭角な魔力塊にはせず、平面の魔力を両膝に打ち込んだ。
 闇奴隷売買の罪人達には自白証言させねばならない。
 新参士族である俺が寺社を襲撃し、僧侶を惨殺したら、俺が犯罪者に落ちる。
 いや犯罪者に仕立て上げて、自分達の闇奴隷売買関与を糊塗(こと)しようとする権力者が現れる。
 だが、拷問したうえであろうが奴隷売買を自白させれば、どうにかなる。

 俺は寺院の奥に進み、大広間に飛び込んだ。
 そこで、下劣な光景を目にしてしまう。

 『逆鱗』

 墨色・緋色・緋恩衣・黄色、色とりどりの僧衣が少女を犯していた。
 中には布衣・素襖の者が居る。
 貴族士族だと!
 俺は百近い魔法弾を怒りに任せて作り出し、全てを一瞬で叩きつけた。
 全ての下種どもをぶちのめすまで、俺と彩は魔法を叩きつき続けた。
 広間は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
 血は一滴も出ていないが、四肢を打ち砕かれた者がのたうっている。
 恐らく実質的な支配者なのだろう。
 高価だが平民の衣装を着た、顔付きの鋭い者がいた。
 凶暴な顔つきだ、理不尽な暴力で人を支配する、下劣が漂う顔付きだ。
 周りに20人程度の無頼漢を配置していたようだが。
 既に全員が畳に這いずっている。
 俺と彩は少女たちを助けるた。
 皆は少女たちを下種のいない、秀子達が安全を確保した部屋に移した。
 掏りを働こうとした子供達に案内させて、全ての人質と被害者を集めて護る。
 秀子達は、初めて目にする俺と彩の実力に愕然としている。
 更には、与えられた人質警護の任務に緊張の極致の様だった。
 まあ、慣れてもらうしかない。

 俺は香具師の親分だろう男に近づき尋問することにした

 『尋問』

 尋問の相手を物色した。
 黄色の僧衣のジジイが一番根性なさそうだ。
 先ずは治癒魔法で完全治療。

 「ひ~ひ~ひ~、狼藉者め! ここは寺だぞ、さっさと皆を治せ!」

 俺は無言で左膝蓋骨を踏み潰した。

 「うぎゃ~~、うぇ、うぇ、うぇ、ぐっぇ~~」

 「黒幕は誰だ。」

 「くろまく? なんのことだ?」

 右膝蓋骨を踏み潰した。

 「うが~~、ぐぎ、ぐげ、ごぅ~。」

 また治癒魔法で完全治癒。

 「黒幕を言え、永劫の地獄を味あわせてやろうか?」

 「くろまく? なんのくろまく?」

 「子供達の誘拐、闇奴隷売買の黒幕だ!」

 「・・・・・・」

 今度は左小指と左拇趾を摘み潰してやった。

 「あそこにいる、布衣・素襖の者は誰だ。」
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