侯爵令嬢はデビュタントで婚約破棄され報復を決意する。

克全

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2章

38話

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「イルマンド殿下。
 メイソン殿の事、どう思われましたか?」

「そうですね。
 なかなかの人物だと思いましたね。
 彼が王太子であったら、ベイリー王家もこのような事にはなっていなかったでしょうね。
 メイソン殿が王太子で、アルフィン殿下が王太子妃、更にゲシベルト陛下が大将軍として兵権を持つ。
 我が国としては最悪の想定ですね。
 ゲラン王国とズダレフ王国の同盟にベイリー王国が加わり、ベイリー王国が我が国に兵を進めていたかもしれません」

 イルマンド公爵もなかなか賢明な方のようです。
 今まではトビアスに任せていたので、深い話をしていませんでしたので、公爵の本質を知る機会はありませんでした。
 ですがミルドレッド王国が全権大使を任せたのです。
 王弟という血縁だけで選ばれたはずがありません。
 まあ、大使が御飾りの馬鹿で、副大使が本当の大使と言う場合もありますが。

「まぁ、恐ろしい事を申されるのですね。
 そのような事は絶対にありえなかったと断言致しますわ。
 父王陛下も私も、心から平和を愛しておりますの。
 戦争を起こして民を傷つけて勝利を得るよりも、戦争を抑止して民と一緒に平和を享受したいと、心から思っているのですのよ」

「アルフィン摂政殿下の民を想う御心は存じ上げておりますが、何事も相手がある事でございますから、思いのままにならない事もございます」

「そうですわね。
 想いのままに振舞える庶民が羨ましくなる事もございます。
 イルマンド殿下が庶民のように想いのままに振舞えるのなら、どの国から妻を迎えたいと思っておられますか?
 それとも、どこかの国に婿入りされたかったでっすか?」

 もう時間がありませんから、率直に本音を話してください。
 できる事なら、本国とイルマンド殿の意見の相違まで教えてください。
 貴男なら、ミルドレッド王国にとっても今が勝負時だと分かっているでしょう?

「そうですね。
 私が想いのままに振舞える庶民であったなら、東の国の美女の家に婿入りしたかったですね。
 そして東の国の賢者を、我が一族の婿に迎えたかったですね。
 ですが実際には、そのように振る舞えないでしょうね」

「実際にはどのようになってしまうのでしょうか?
 私とても興味がありますわ」

「さて、それはなかなか口にするのは難しい事ですね。
 相手があっての事ですから、不愉快にさせるような事を口にはできません」

 そういう事ですか。
 人質が欲しいという事ですね。
 こうなると、私が一人っ子というのが絶望的ですね。
 父王陛下に側室を迎えるにしても、私が婿を迎えるにしても、どちらも人質を送ってもらうだけで、こちらから一人の人質も送れないのですよね。
 さて、どうしたものでしょうか?
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