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第1章

第4話:自由と狩りと素材採取

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 4人の解放先をどこにするかは少々悩んだ。
 大魔境はあまりにも広大で、しかも内部に幾つものダンジョンすらあると聞く。
 領地を接している国の数すら正確には分からないほどだ。

 俺が知っている範囲では隣国5カ国が大魔境と接していて、スニルラ王国内でも、王家の直轄領とシャルマン公爵家領以外にも数多くの貴族領が接している。
 多くの王侯貴族が富を求めて大魔境と接する領地を奪い合った歴史の結果だ。

「王家の直轄領が無難だね、悪いけれどそこまで運んでくれ」

 俺はヒュージスライムに移動を命じた。
 俺もヒュージスライムの身体に取り込んでもらい、魔獣や魔蟲の奇襲に備える。
 スライムの変幻自在の身体ならば、大魔境の木々を傷つけることなく移動できる。

 同時に、身体の下にある魔蟲や落葉や取り込む事もできる。
 本当にわずかな経験値だけど、そのほんのわずかな経験値が勝敗を左右し、生死に直結する事があるのだ。

「毒薬や薬の素材になる、毒草や薬草は来年もとれるようにしておいて」

 スライムはとても物覚えが悪い上に、一度覚えた事も忘れないように常に繰り返させないといけない。

 だから機会があるごとに覚えた事を反復させる。
 今はまだ薬草と毒草の判別採取を覚えてくれているので、毒薬に使う花弁や葉、茎や根を品質を悪くする事なく残してくれる。

 本来なら熟練した人間でも時間がかかる、最高の品質状態の物と質の悪い物の選別を一瞬でやってくれる。
 お陰で俺は手間なしで最高の商品を手に入れることができる。

「手当たり次第に魔獣を斃して食べてもいいよ。
 ただ美味しそうな奴は俺のために残しておいてくれ。
 もちろん売り物になる所は残しておいてくれ」

 元々スライムはとても弱い存在で、周囲にいる敵に凄く敏感だ。
 それは桁外れに強くなったヒュージスライムも同じで、大魔境の外にいる人間も的確に知覚してくれる。

 群れを作らない魔鼠や魔兎、魔狸や魔狐を長く伸ばした身体で次々と捕え、巨大な身体に取り込んで消化していく。

 公爵家にいる時に小動物の解体を覚えさせていたので、売り物になる毛皮や魔核といった素材は消化せずに残してくれる。

「魔狗が近くにいるのかい?」

 ヒュージスライムが俺の心に敵の存在を教えてくれる。
 その敵とは、スニルラ王国では魔狗と呼んでいる魔獣だが、国によっては毛色の違いや大きさの違いによって細かく呼び分けている。

 単体ではそれほど強い魔獣ではないが、大きな群れを作っている場合は、結構な戦士や冒険者であっても脅威になる存在だ。

「200頭もいるなら人間にとっても脅威だから、見逃すわけにはいかないな。
 それに、200頭も斃したらレベルアップする子もいるだろう」

 成体スライムがヒュージスライムに合体統合している時に斃した敵の経験値は、合体統合している数に応じて公平に分けられる。

 200頭もの魔狗の群れなら、強力な個体もいればリーダー種もいる。
 もしかしたらチーフ種もいるかもしれない。

 全部斃したら、レベル1の成体スライムならレベル2になる事も可能だ。
 4人の事は後回しにして、斃せる魔獣を探すのも1つの手だな。
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