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第3章
第56話:幽閉
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「父上、カチュア王太女殿下の婚約者である私を殺そうとした事は、王家王国に対する謀叛です。
今更隠居すると言っても、絶対に許されることではありません。
カチュア王太女殿下の命で幽閉させていただきます」
「おのれ、リドワーン、実の父親を王家に売るというのか」
「黙りなさい、腐れ外道の無能者。
もう大陸中の王侯貴族が、お前が実の子を殺そうとした事を知っています。
殺そうとした息子に、ファイターキングゴブリンを捕獲するほどの英傑の才能があるのを見抜けない、愚か者だというのと同時にね。
本来なら私の婚約者を殺そうとした不敬罪で処刑されるところを、リドワーン様の慈悲で幽閉に止められるというのに、恩人であるアレックス様に悪態をつくなんて、ゴブリンにも劣る恩知らずの腐れ外道です」
父が殺意の籠った眼でカチュア王太女殿下を睨みつけている。
まあ、でも、その気持ちも分からない訳ではない。
クラリス王太女殿下は、最初からずっと俺に寄り添って手を繋いでいるのだ。
父にとっては侮辱以外の何物でもないだろう。
俺も平気なふりをしているが、かなり恥ずかしい。
でも手をつなぐのを断ると、もの凄く哀しそうな顔をされるので、断る事など絶対にできない。
それに、実は俺もかなり嬉しい。
まあ、そんな事は俺とカチュア王太女殿下の間の事なので、些末な事だ。
問題なのは父の殺意の籠った眼だ。
この眼をしている間は、何をしでかすか分からないから、絶対に放置できない。
普通に幽閉したのでは、父とジャスワンの側近が助け出そうとするだろう。
だからと言って父とジャスワンを殺すと王家と俺の評判が落ちてしまう。
そうなると、絶対に逃げられない場所に幽閉するしかない。
普通なら高い塔に幽閉して、信頼できる多くの将兵に見張らせるところだ。
だがシャルマン公爵領は王都よりも隣国の方が近いという地理的条件だ。
隣国が父を味方に引き入れて侵攻を画策する可能性もある。
シャルマン公爵家の譜代家臣に、非常時は先代公爵を殺せと命じるのも酷だ。
だから、絶対に逃げ出す事も助け出す事もできない、サクラの体内に幽閉する。
隣国や俺に叛意を持っている家臣が父とジャスワンを助け出そうとしたら、サクラが即座に殺してくれるから、なんの心配もないのだ。
「幽閉とはいっても、父上とジャスワンには、この大陸で最高の住み心地を約束させていただきます。
クラリス王太女殿下も私もとても気に入っている、最高の住処ですよ」
最初は虚を突かれたようにキョトンとしていた父が、俺が何を言っているのか理解できたようで、直ぐに顔面蒼白になった。
まあ、それも当然と言えば当然だな。
逃げようとしたり、誰かが助けようとしたりしたら、強烈なスライムの酸に溶かされてから食べられてしまうのだから。
今更隠居すると言っても、絶対に許されることではありません。
カチュア王太女殿下の命で幽閉させていただきます」
「おのれ、リドワーン、実の父親を王家に売るというのか」
「黙りなさい、腐れ外道の無能者。
もう大陸中の王侯貴族が、お前が実の子を殺そうとした事を知っています。
殺そうとした息子に、ファイターキングゴブリンを捕獲するほどの英傑の才能があるのを見抜けない、愚か者だというのと同時にね。
本来なら私の婚約者を殺そうとした不敬罪で処刑されるところを、リドワーン様の慈悲で幽閉に止められるというのに、恩人であるアレックス様に悪態をつくなんて、ゴブリンにも劣る恩知らずの腐れ外道です」
父が殺意の籠った眼でカチュア王太女殿下を睨みつけている。
まあ、でも、その気持ちも分からない訳ではない。
クラリス王太女殿下は、最初からずっと俺に寄り添って手を繋いでいるのだ。
父にとっては侮辱以外の何物でもないだろう。
俺も平気なふりをしているが、かなり恥ずかしい。
でも手をつなぐのを断ると、もの凄く哀しそうな顔をされるので、断る事など絶対にできない。
それに、実は俺もかなり嬉しい。
まあ、そんな事は俺とカチュア王太女殿下の間の事なので、些末な事だ。
問題なのは父の殺意の籠った眼だ。
この眼をしている間は、何をしでかすか分からないから、絶対に放置できない。
普通に幽閉したのでは、父とジャスワンの側近が助け出そうとするだろう。
だからと言って父とジャスワンを殺すと王家と俺の評判が落ちてしまう。
そうなると、絶対に逃げられない場所に幽閉するしかない。
普通なら高い塔に幽閉して、信頼できる多くの将兵に見張らせるところだ。
だがシャルマン公爵領は王都よりも隣国の方が近いという地理的条件だ。
隣国が父を味方に引き入れて侵攻を画策する可能性もある。
シャルマン公爵家の譜代家臣に、非常時は先代公爵を殺せと命じるのも酷だ。
だから、絶対に逃げ出す事も助け出す事もできない、サクラの体内に幽閉する。
隣国や俺に叛意を持っている家臣が父とジャスワンを助け出そうとしたら、サクラが即座に殺してくれるから、なんの心配もないのだ。
「幽閉とはいっても、父上とジャスワンには、この大陸で最高の住み心地を約束させていただきます。
クラリス王太女殿下も私もとても気に入っている、最高の住処ですよ」
最初は虚を突かれたようにキョトンとしていた父が、俺が何を言っているのか理解できたようで、直ぐに顔面蒼白になった。
まあ、それも当然と言えば当然だな。
逃げようとしたり、誰かが助けようとしたりしたら、強烈なスライムの酸に溶かされてから食べられてしまうのだから。
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