スライム従魔司というスキルが神与されたので、王太女との婚約は破棄され、実家からは追放され、刺客を放たれた。

克全

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第3章

第62話:精力増進・カチュア王太女視点

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 リドワーン様が強大なゴブリン軍暖を討伐され、救国の英雄として王都に凱旋されて4カ月経ちました。
 シャルマン公爵領から王都に戻って数日です。

 その間の2カ月は、とても楽しい婚前旅行でした。
 少し残念な気持ちもありますが、リドワーン様が私の事をとても大切に思ってくださることが分かり、うれしい事の方が多い旅でした。

 ただ次期女王としては、喜んでいるばかりではいけないのです。
 どのような手段を使っても、リドワーン様の心を繋ぎ止めておけと、国王陛下と王妃殿下に厳命されているのです。

「リドワーン様、最近少し働き過ぎではありませんか?
 今日はもう休息にしてお茶になさってはいかがですか」

「そうですね、では一緒にお茶させていただきます、カチュア殿下」

 断られたらどうしようかと少しドキドキしていましたが、今日も私の勧めを断らずに受けてくださいました。

「お茶とナッツチーズケーキを持って来てください。
 リドワーン様、今日はチーズケーキにリドワーン様の大好きなナッツを入れてみましたの、お口にあえばいいのですが」

「ありがとうございます、チーズもナッツも大好きなので、楽しみです」

 王家の威信をかけて美味しい料理を作り、リドワーン様の食欲を満たすのが国王陛下と王妃殿下の作戦の1つです。

 媚薬を入れてリドワーン様をその気にさせようと献策する年配の侍女もいましたが、そんな危険な方法を提案する侍女は、私が叱り飛ばしてやめさせました。

 リドワーン様には常にサクラがつき従っているのです。
 わずかでも疑念を持たれたら、リドワーン様に全てが伝わってしまいます。

 そこで考えたのが、劇物でも媚薬でもないものの、男性をその気にさせる食材、しかもリドワーン様が大好きなモノを勧める事です。

 胡桃やピーナッツが選ばれ、王家の力で最高級品が集められました。
 今急いで国外から取り寄せているのが、海で採れる食材です。

 残念ながら我が国は海に面していません。
 岩塩鉱がありますから塩に困る事はありませんが、海の食材は完全に輸入に頼っているのです。

「今日の晩餐に食べたいモノはありますか、リドワーン様。
 オークやミノタウロスは食べたくないとお聞きしておりますので、魔豚や魔牛に加えて魔鶏も用意させておりますので、お好きなモノを遠慮なく申されてください。
 あ、そうでした、珍しい魔亀が手に入ったそうなので、それでどうでしょうか」

「そうですね、せっかく珍しい魔亀を手に入れてくださったと言うのなら、その魔亀を食べさせていただきます」

「はい、料理長に直ぐ用意させますね」

 よかった、男性がその気になるという魔亀を、王家の依頼で冒険者ギルド集めさせたかいがあります。
 リドワーン様がその気になってくれればいいのですが……
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