105 / 116
第5章
第105話:戴冠式
しおりを挟む
サクラとカチュアの願いを受けて王に成った。
別になりたくてなったわけではない。
民の生活と命を背負うなんて、肩の荷が重過ぎて嫌だった。
だがその責任をカチュアに背負わそうとしていたのは、他の誰でもない俺だ。
カチュアに自分と子供の為に代わりに背負ってくれと言われたら、断ることなどできなかった。
本来ならこの国の王侯貴族全員が集まって戴冠式を行う。
だがこの国の王侯貴族は臆病過ぎて家臣にする気になれない。
ノブレス・オブリージュの精神がない者は全員追放した。
だから今集まっているのはダンダス国王の王都住民達だ。
俺個人的には王都にこだわる気などないのだが、王族や貴族が隠れ潜まないように、一度は王都に来なければいけなかった。
いや、一番気を付けなければいけなかったのは、王党派の結成だ。
王侯貴族は根性なしだが、庶民の中には勇気ある者がいるかもしれない。
そんな勇気ある者の中には、王家に忠誠を持つ者がいるかも知れない。
そんな王党派が忠誠を尽して戦おうとしたら、無用な死傷者を出してしまう。
キッチリと力の差を見せつけておくことが慈悲だと思ったのだ。
この国の王都を護る城壁など、サクラならそのまま簡単に乗り越えられる。
ファイターキングオークやファイターキングゴブリン、いや、ロード級やヒュージ級でも、サクラに手助けしてもらえば城壁の上に姿を見せられる。
王都城壁のどこを見回しても、オークやゴブリンが人々を見下ろしているのだ。
その恐怖は想像を絶するモノがある。
そんな恐怖と混乱の坩堝となった王都の王城で戴冠式を行った。
王侯貴族が誰一人いなくなったこの国で、俺のいない間統治を任す相手を選ぶために、各種ギルドに招集をかけた。
なかなかサクラ達の恐怖に打ち勝って王城に参集できる者はいなかった。
だが、不遇な暮らしをしていたスライム従魔士の中には、これを好機と一念発起する者がいた。
それはスライム従魔士だけではなくゴブリン従魔士もオーク従魔士も同じだった。
それとサクラならどのような魔獣も捕獲できると思ったのだろう。
他にも従魔のスキルを持つ者が、勇気を振り絞って集まった。
今までそんな気はなかったが確かに可能だろう。
従魔系のスキルを持つ者は、段違いに強くなれるはずだ。
他にも立身出世の機会だと野心を燃やす者も集まった。
「治安が安定するまでは王都に残ることにするよ。
街道の建設は派遣したレベル2のキングスライムにやらせるから、カチュアは安心して身体を休めていてくれ」
「はい、リドワーン国王陛下」
望まぬ王位だけど、カチュアと子供のためなら表に立って見せよう。
別になりたくてなったわけではない。
民の生活と命を背負うなんて、肩の荷が重過ぎて嫌だった。
だがその責任をカチュアに背負わそうとしていたのは、他の誰でもない俺だ。
カチュアに自分と子供の為に代わりに背負ってくれと言われたら、断ることなどできなかった。
本来ならこの国の王侯貴族全員が集まって戴冠式を行う。
だがこの国の王侯貴族は臆病過ぎて家臣にする気になれない。
ノブレス・オブリージュの精神がない者は全員追放した。
だから今集まっているのはダンダス国王の王都住民達だ。
俺個人的には王都にこだわる気などないのだが、王族や貴族が隠れ潜まないように、一度は王都に来なければいけなかった。
いや、一番気を付けなければいけなかったのは、王党派の結成だ。
王侯貴族は根性なしだが、庶民の中には勇気ある者がいるかもしれない。
そんな勇気ある者の中には、王家に忠誠を持つ者がいるかも知れない。
そんな王党派が忠誠を尽して戦おうとしたら、無用な死傷者を出してしまう。
キッチリと力の差を見せつけておくことが慈悲だと思ったのだ。
この国の王都を護る城壁など、サクラならそのまま簡単に乗り越えられる。
ファイターキングオークやファイターキングゴブリン、いや、ロード級やヒュージ級でも、サクラに手助けしてもらえば城壁の上に姿を見せられる。
王都城壁のどこを見回しても、オークやゴブリンが人々を見下ろしているのだ。
その恐怖は想像を絶するモノがある。
そんな恐怖と混乱の坩堝となった王都の王城で戴冠式を行った。
王侯貴族が誰一人いなくなったこの国で、俺のいない間統治を任す相手を選ぶために、各種ギルドに招集をかけた。
なかなかサクラ達の恐怖に打ち勝って王城に参集できる者はいなかった。
だが、不遇な暮らしをしていたスライム従魔士の中には、これを好機と一念発起する者がいた。
それはスライム従魔士だけではなくゴブリン従魔士もオーク従魔士も同じだった。
それとサクラならどのような魔獣も捕獲できると思ったのだろう。
他にも従魔のスキルを持つ者が、勇気を振り絞って集まった。
今までそんな気はなかったが確かに可能だろう。
従魔系のスキルを持つ者は、段違いに強くなれるはずだ。
他にも立身出世の機会だと野心を燃やす者も集まった。
「治安が安定するまでは王都に残ることにするよ。
街道の建設は派遣したレベル2のキングスライムにやらせるから、カチュアは安心して身体を休めていてくれ」
「はい、リドワーン国王陛下」
望まぬ王位だけど、カチュアと子供のためなら表に立って見せよう。
0
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる