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第一章
第1話:裏切り
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私はあの時までとても幸せでした。
優しい両親と少し我儘だけど可愛い妹に恵まれ、幸せな公爵家に育ちました。
婚約者の王太子殿下は容姿端麗で、人気があり過ぎるのが心配でしたが、地味で大人しい私には過ぎた相手だと思っていました。
王太子殿下との婚約披露パーティーには、国内外の王侯貴族が集まってくれて、みんなに祝福されて、幸せの絶頂でした。
「愛しているよ、シャン。
この世界で君だけを、君だけを愛しているんだ、シャン」
「私もよ、私も愛しています、殿下、王太子殿下」
うそ、だと思いたかった。
眼の前の光景が、幻覚だと思いたかった。
でも、まぎれもない現実でした。
婚約者の王太子殿下が、私の妹に愛を囁いています。
実の妹が、私の婚約者である王太子殿下に愛を囁ています。
私は反射的に隠れてしまいました。
今思えば、あの時騒ぎ立てて、全てを白日の下にさらけ出せばよかったのです。
そうすれば、偽りの家庭、偽りの愛を完膚なきまでに破壊できたのです。
ですが、私は、隠れてしまいました。
国王陛下に認められた婚約者であるにもかかわらず、不義密通をしている婚約者と妹から、隠れてしまったのです。
「シャン、君はユリアと違って光り輝いている。
あんな地味な女、陛下の命令でなければ婚約するものか」
分かっていました、私に女の魅力がないことは。
だからこそ、少しでも王太子殿下に相応しい女性になろうと、寝食を忘れて勉強に励み、社交を学んできたのです。
その努力は、殿下に認めていただけていなかったのですね。
私の容姿が悪い事だけが、殿下の評価の全てなのですね。
「ふふふふふ、お姉様は地味で瘦せっぽちですもの、公爵家の長女でなければ、誰も相手にはしませんわ」
確かに妹は光り輝くような美貌で、体つきも女らしく魅力的です。
舞踏会では、多くの殿方から注目され人気者でした。
そんな妹が眩しくて、離れていたかったのですが、妹に側にいて欲しといわれ、常に一緒に行動していました。
慕われているからだと思っていましたが、今の話や言い方から考えれば、自分の美貌を引き立てるために、貧相な私を横に置きたかったのですね!
「何とかユリアとの婚約を解消して、シャンを婚約者にする。
だからもう少し待っていてくれ」
そんな、いくらなんでも酷過ぎます。
愛し合っていなくても、結婚後に互いに愛人を作ることになっても、家と家の結びつきを再優先にする王侯貴族の政略結婚は、絶対に守られるものなのに!
婚約を解消するなんて、非常識極まりないです。
形だけの結婚すらしてくださらないのですか、王太子殿下。
「ああ、待っていますわ、殿下。
でももうあまり時間はありません、私のお腹には、殿下の子供がいますのよ。
早くしてくださらなければ、お腹が目立ってしまいます」
私は、ハンマーで頭を叩かれたような衝撃を受けました。
妹が少し我儘なのは分かっていました、私の物を何でも欲しがるのも、私を愛し慕ってくれているからだろ思っていました。
でもそうではなかったのです、私から奪う事が楽しかったのです。
愚かな私を踏みつけにするのが快感だったのです。
許しません、絶対に許しません。
必ず復讐します、私のこの苦しみと哀しみを、何十倍にして返してやります!
優しい両親と少し我儘だけど可愛い妹に恵まれ、幸せな公爵家に育ちました。
婚約者の王太子殿下は容姿端麗で、人気があり過ぎるのが心配でしたが、地味で大人しい私には過ぎた相手だと思っていました。
王太子殿下との婚約披露パーティーには、国内外の王侯貴族が集まってくれて、みんなに祝福されて、幸せの絶頂でした。
「愛しているよ、シャン。
この世界で君だけを、君だけを愛しているんだ、シャン」
「私もよ、私も愛しています、殿下、王太子殿下」
うそ、だと思いたかった。
眼の前の光景が、幻覚だと思いたかった。
でも、まぎれもない現実でした。
婚約者の王太子殿下が、私の妹に愛を囁いています。
実の妹が、私の婚約者である王太子殿下に愛を囁ています。
私は反射的に隠れてしまいました。
今思えば、あの時騒ぎ立てて、全てを白日の下にさらけ出せばよかったのです。
そうすれば、偽りの家庭、偽りの愛を完膚なきまでに破壊できたのです。
ですが、私は、隠れてしまいました。
国王陛下に認められた婚約者であるにもかかわらず、不義密通をしている婚約者と妹から、隠れてしまったのです。
「シャン、君はユリアと違って光り輝いている。
あんな地味な女、陛下の命令でなければ婚約するものか」
分かっていました、私に女の魅力がないことは。
だからこそ、少しでも王太子殿下に相応しい女性になろうと、寝食を忘れて勉強に励み、社交を学んできたのです。
その努力は、殿下に認めていただけていなかったのですね。
私の容姿が悪い事だけが、殿下の評価の全てなのですね。
「ふふふふふ、お姉様は地味で瘦せっぽちですもの、公爵家の長女でなければ、誰も相手にはしませんわ」
確かに妹は光り輝くような美貌で、体つきも女らしく魅力的です。
舞踏会では、多くの殿方から注目され人気者でした。
そんな妹が眩しくて、離れていたかったのですが、妹に側にいて欲しといわれ、常に一緒に行動していました。
慕われているからだと思っていましたが、今の話や言い方から考えれば、自分の美貌を引き立てるために、貧相な私を横に置きたかったのですね!
「何とかユリアとの婚約を解消して、シャンを婚約者にする。
だからもう少し待っていてくれ」
そんな、いくらなんでも酷過ぎます。
愛し合っていなくても、結婚後に互いに愛人を作ることになっても、家と家の結びつきを再優先にする王侯貴族の政略結婚は、絶対に守られるものなのに!
婚約を解消するなんて、非常識極まりないです。
形だけの結婚すらしてくださらないのですか、王太子殿下。
「ああ、待っていますわ、殿下。
でももうあまり時間はありません、私のお腹には、殿下の子供がいますのよ。
早くしてくださらなければ、お腹が目立ってしまいます」
私は、ハンマーで頭を叩かれたような衝撃を受けました。
妹が少し我儘なのは分かっていました、私の物を何でも欲しがるのも、私を愛し慕ってくれているからだろ思っていました。
でもそうではなかったのです、私から奪う事が楽しかったのです。
愚かな私を踏みつけにするのが快感だったのです。
許しません、絶対に許しません。
必ず復讐します、私のこの苦しみと哀しみを、何十倍にして返してやります!
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