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第一章
第4話:言掛り
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「なんという真似とはどういう事ですか、私は独りでおられる魅力的な令嬢とお話をさせていただけで、非礼無礼な事はしていませんが?」
セラン皇太子殿下が、私の事を魅力的と言ってくださいました。
社交辞令とは分かっていますが、嬉しくて、また涙が流れそうになります。
それに比べてアーサーのなんて情のない態度でしょう。
先程の妹と話していた内容を考えれば、この機会に難癖をつけて、私との婚約は解消する心算のようです。
せめて正直に話して詫びを入れ、賠償金を払うくらいの誠意を見せるべきです!
「私は王太子で色々と忙しいのだ!
そう、政務だ、王太子の私にはやらなければいけない政務があるのだ。
その為に独りでいることになろうと、王太子の婚約者ならば、男を側に近寄らせてはならんのだ。
他の男に媚を売り尻尾を振るなど、絶対に許せる事ではないわ!
それにお前は何という無礼者だ、どこの田舎の公爵令息か知らないが、王太子の婚約者に手を出してただですむと思うなよ!」
愚かなアーサーがセラン皇太子殿下に難癖をつけ脅しています。
馬鹿で尻軽な妹のシャンが、恋焦がれるような目をアーサーに向けています。
ですが今の私には分かります。
シャンのあの痴態は、アーサーを誑かすための演技です。
周りにいる国内の貴族士族達が、アーサーにセラン皇太子殿下の事を知らせようとしましたが、皇太子殿下が手を上げて黙らせました。
指示に逆らって知らせたら、皇太子殿下の逆鱗に触れるのは雰囲気で分かります。
「ただですまさないと言われるのなら、どうされるのですか、王太子?
何度も言いますが、私は何も悪い事はしていませんよ。
それとも、私が婚約者を妹に奪われ放り出された可哀想な令嬢に、恥をかかないようにお話させていたことが、それほど気に入りませんか、野獣同然の王太子」
殿下、何故、何故アーサーとシャンの不義密通を知っておられるのですか?!
私だって先ほど知ったばかりなのですよ、セラン皇太子殿下。
皇国の情報網はどれほど広く深い耳と目をもっているのですか!
アーサーが顔面蒼白にしてブルブルと震えています。
シャンが気絶した振りをしようとしましたが、セラン皇太子殿下の鋭い視線を受けて、身体が固まって動けなくなっています。
「う、う、う、嘘だ!
根も葉もないでたらめだ!
王太子の私にそのような虚言暴言を吐いて、ただですむと思うなよ!
警備兵、不敬罪だ、不敬罪でこの者を斬り殺せ!」
「「「「「殿下!」」」」」
国内貴族達が絶叫をあげました!
今のひと言は、プラット王国を滅亡させかねない最悪の言葉です。
大陸で一、二を争う大国の皇太子を嘘つきと決めつけて、殺せと命じたのですから、ルセド皇国はそれを正当な理由にプラット王国に宣戦布告できるのです。
もしかしたら、セラン皇太子殿下は、自らを囮にしてプラット王国を併合するために、ここに来られたのでしょうか?
セラン皇太子殿下が、私の事を魅力的と言ってくださいました。
社交辞令とは分かっていますが、嬉しくて、また涙が流れそうになります。
それに比べてアーサーのなんて情のない態度でしょう。
先程の妹と話していた内容を考えれば、この機会に難癖をつけて、私との婚約は解消する心算のようです。
せめて正直に話して詫びを入れ、賠償金を払うくらいの誠意を見せるべきです!
「私は王太子で色々と忙しいのだ!
そう、政務だ、王太子の私にはやらなければいけない政務があるのだ。
その為に独りでいることになろうと、王太子の婚約者ならば、男を側に近寄らせてはならんのだ。
他の男に媚を売り尻尾を振るなど、絶対に許せる事ではないわ!
それにお前は何という無礼者だ、どこの田舎の公爵令息か知らないが、王太子の婚約者に手を出してただですむと思うなよ!」
愚かなアーサーがセラン皇太子殿下に難癖をつけ脅しています。
馬鹿で尻軽な妹のシャンが、恋焦がれるような目をアーサーに向けています。
ですが今の私には分かります。
シャンのあの痴態は、アーサーを誑かすための演技です。
周りにいる国内の貴族士族達が、アーサーにセラン皇太子殿下の事を知らせようとしましたが、皇太子殿下が手を上げて黙らせました。
指示に逆らって知らせたら、皇太子殿下の逆鱗に触れるのは雰囲気で分かります。
「ただですまさないと言われるのなら、どうされるのですか、王太子?
何度も言いますが、私は何も悪い事はしていませんよ。
それとも、私が婚約者を妹に奪われ放り出された可哀想な令嬢に、恥をかかないようにお話させていたことが、それほど気に入りませんか、野獣同然の王太子」
殿下、何故、何故アーサーとシャンの不義密通を知っておられるのですか?!
私だって先ほど知ったばかりなのですよ、セラン皇太子殿下。
皇国の情報網はどれほど広く深い耳と目をもっているのですか!
アーサーが顔面蒼白にしてブルブルと震えています。
シャンが気絶した振りをしようとしましたが、セラン皇太子殿下の鋭い視線を受けて、身体が固まって動けなくなっています。
「う、う、う、嘘だ!
根も葉もないでたらめだ!
王太子の私にそのような虚言暴言を吐いて、ただですむと思うなよ!
警備兵、不敬罪だ、不敬罪でこの者を斬り殺せ!」
「「「「「殿下!」」」」」
国内貴族達が絶叫をあげました!
今のひと言は、プラット王国を滅亡させかねない最悪の言葉です。
大陸で一、二を争う大国の皇太子を嘘つきと決めつけて、殺せと命じたのですから、ルセド皇国はそれを正当な理由にプラット王国に宣戦布告できるのです。
もしかしたら、セラン皇太子殿下は、自らを囮にしてプラット王国を併合するために、ここに来られたのでしょうか?
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