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第一章
第62話:果断・マリア視点
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「そうですね、貴女方の口にしている事はもっともです。
エドアルド公王陛下に僅かでも危険が及ぶ事は、正妃であり王国の王太女であるわかくしが、絶対に排除しなければいけない事です」
告発されていた三人の公女を除いた、ドイル連合王国の王女や公女が勝利の笑みを浮かべていますが、単純な結論などいたしませんわ。
「三人の公女を危険だと言い立てる、貴女方こそ徒党を組んでエドアルド公王陛下に危害を加える可能性があります」
「「「「「そんな」」」」」
「そのような事は一切ございません」
「わたくし達はエドアルド公王陛下を心からお慕いしております」
「そのとおりでございます。
わたくし達はエドアルド公王陛下に忠誠を尽くしております」
「そうでございます、決してエドアルド公王陛下に危害を加える事はありません」
王女や公女が口々に弁明しますが、聞く耳などありません。
「では、なぜ母国が裏切ろうとしている事を伝えなかったのですか。
エドアルド公王陛下を心からお慕いし、忠誠を尽くすというのなら、母国の情報を集め、役に立とうとするはずです。
なのに、貴女方の中の誰一人として、母国の裏切りを事前に報告しませんでした」
「その件に関しては、申し訳のしようもございません。
ですがそれは、エドアルド公王陛下をお慕いしていないからでも、忠誠心がないからでもありません。
ただただ、わたくしたちが母国を信じていたからでございます。
万が一にも母国の貴族達が王家に逆らい、勝手にエドアルド公王陛下に刃向かうとは思っていなかったからでございます。
これからはそのような事がないように、母国の貴族に裏切りがないか、実家と共に全力で情報収集する心算でございます」
小賢しい嘘をつきますね、ブリュンヒルトは。
わたくしがそのような嘘に騙されると思っているのでしょうか。
それとも、お義兄様に無断で強権を発動しないと思って舐めているのでしょうか。
どちらにしても、思い知らせてあげないといけませんね。
「ブリュンヒルト、それは貴女方も母国の王家も無能だと言う事ですね。
王であるにも関わらず、 階下の貴族に裏切られ権力を奪われ、国の運営すらできないと言う事ですわね。
エドアルド公王陛下の側室に無能な者は必要ありません。
政治的な事を考えて、貴女方の実家からの頼んで来た側室を受け入れましたが、役に立つどころか裏切られる結果となりました。
それでも、情けをかけて追い出さずにいたのに、エドアルド公王陛下の留守に側室同志で争い、遠征中の陛下に御負担をかけました。
もうこれ以上貴女方をこの国に置いておくわけにはいけません。
公王の主君である王家の王太女としても、エドアルドの正室としても、絶対に見過ごせない裏切りです。
ドイル連合王国の王女や公女に限りません。
全ての側室を王国から追放します。
今日中に準備を整えなければ、その首を胴体から離して母国に送り帰します」
「殿下、マリア王太女殿下、どうか、どうかお許しください」
「お話を、お話を聞いてくださいません」
「間違いでございます、讒言でございます、今一度お話を聞いてくださいませ」
「マリア王太女殿下、わたくしは関係ありません」
「わたくしはドイル連合王国とは関係ありません」
「非道ございます、わたくしはドイル連合王国と無関係でございます」
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
「これ以上騒げば、殴るだけでは済まさんぞ。
マリア王太女殿下の決定に従えない者は、お言葉通り斬首にする。
それが公王家の主君である王家の決定である。
お前達は王家を舐め過ぎた、その罪は母国に支払ってもらう」
騒いでわたくしに詰め寄ろうとした側室達を、ソフィアが本気の殺気を放ちながら脅していますが、止める気など全くありません。
最初からこうする心算だったのですから。
お兄様が王国に戻られるまでに、心から安らげる後宮にしておくのです。
エドアルド公王陛下に僅かでも危険が及ぶ事は、正妃であり王国の王太女であるわかくしが、絶対に排除しなければいけない事です」
告発されていた三人の公女を除いた、ドイル連合王国の王女や公女が勝利の笑みを浮かべていますが、単純な結論などいたしませんわ。
「三人の公女を危険だと言い立てる、貴女方こそ徒党を組んでエドアルド公王陛下に危害を加える可能性があります」
「「「「「そんな」」」」」
「そのような事は一切ございません」
「わたくし達はエドアルド公王陛下を心からお慕いしております」
「そのとおりでございます。
わたくし達はエドアルド公王陛下に忠誠を尽くしております」
「そうでございます、決してエドアルド公王陛下に危害を加える事はありません」
王女や公女が口々に弁明しますが、聞く耳などありません。
「では、なぜ母国が裏切ろうとしている事を伝えなかったのですか。
エドアルド公王陛下を心からお慕いし、忠誠を尽くすというのなら、母国の情報を集め、役に立とうとするはずです。
なのに、貴女方の中の誰一人として、母国の裏切りを事前に報告しませんでした」
「その件に関しては、申し訳のしようもございません。
ですがそれは、エドアルド公王陛下をお慕いしていないからでも、忠誠心がないからでもありません。
ただただ、わたくしたちが母国を信じていたからでございます。
万が一にも母国の貴族達が王家に逆らい、勝手にエドアルド公王陛下に刃向かうとは思っていなかったからでございます。
これからはそのような事がないように、母国の貴族に裏切りがないか、実家と共に全力で情報収集する心算でございます」
小賢しい嘘をつきますね、ブリュンヒルトは。
わたくしがそのような嘘に騙されると思っているのでしょうか。
それとも、お義兄様に無断で強権を発動しないと思って舐めているのでしょうか。
どちらにしても、思い知らせてあげないといけませんね。
「ブリュンヒルト、それは貴女方も母国の王家も無能だと言う事ですね。
王であるにも関わらず、 階下の貴族に裏切られ権力を奪われ、国の運営すらできないと言う事ですわね。
エドアルド公王陛下の側室に無能な者は必要ありません。
政治的な事を考えて、貴女方の実家からの頼んで来た側室を受け入れましたが、役に立つどころか裏切られる結果となりました。
それでも、情けをかけて追い出さずにいたのに、エドアルド公王陛下の留守に側室同志で争い、遠征中の陛下に御負担をかけました。
もうこれ以上貴女方をこの国に置いておくわけにはいけません。
公王の主君である王家の王太女としても、エドアルドの正室としても、絶対に見過ごせない裏切りです。
ドイル連合王国の王女や公女に限りません。
全ての側室を王国から追放します。
今日中に準備を整えなければ、その首を胴体から離して母国に送り帰します」
「殿下、マリア王太女殿下、どうか、どうかお許しください」
「お話を、お話を聞いてくださいません」
「間違いでございます、讒言でございます、今一度お話を聞いてくださいませ」
「マリア王太女殿下、わたくしは関係ありません」
「わたくしはドイル連合王国とは関係ありません」
「非道ございます、わたくしはドイル連合王国と無関係でございます」
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
「これ以上騒げば、殴るだけでは済まさんぞ。
マリア王太女殿下の決定に従えない者は、お言葉通り斬首にする。
それが公王家の主君である王家の決定である。
お前達は王家を舐め過ぎた、その罪は母国に支払ってもらう」
騒いでわたくしに詰め寄ろうとした側室達を、ソフィアが本気の殺気を放ちながら脅していますが、止める気など全くありません。
最初からこうする心算だったのですから。
お兄様が王国に戻られるまでに、心から安らげる後宮にしておくのです。
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