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第21話ゴードン公爵家王都屋敷の出来事3

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「なんだレイズ。
 言いたいことがあるなら言ってみろ」

「では言わせてもらいます。
 今回の件は父上のなされようが悪すぎました。
 父上の失敗をノヴァに押し付け、自分は楽をされた。
 ノヴァに嫌われ見捨てられて当然です。
 これ以上自分の失敗をノヴァに負担させるのは止めた方がいい」

「なんだと!
 いつ私が失敗した!?
 いつ私が失敗の負担をノヴァに押し付けた!?
 いい加減な事を言うのなら、お前でも許さんぞ!」

「ならば申しましょう。
 弑逆の汚名を着るのを恐れて、自分の手を汚すことを嫌って、全ての負担をノヴァに押し付けたではありませんか。
 騎士ならば、汚名を着てでも正義を行うべきです。
 自分が奇麗なままでいるために、娘を汚辱にまみれさすなど、父親の資格もなければ騎士を名乗る資格もありません。
 ゴードン公爵家の当主で父親だから黙っていましたが、はっきり申し上げて、私は貴男の事を恥じ蔑んでいます」

「それ、だけか」

「他にもございます。
 ノヴァを迎えるならば、娘として遇すようにと何度も進言したはずです。
 それをあのような待遇をしておいて、今更親子の縁もないでしょう。
 作戦だと申されましたが、なぜギネアとミレイの好き勝手にさせていたのです。
 近親相姦が分かった遥か昔に、断罪することもできたでしょう。
 今迄無関心に好き勝手やらせておいて、今更利用しようとするなど、卑怯です。
 もっとも、当主の命令だからとか、父親の命令だからだとか言って、今日まで何もしなかった私も同罪ですがね。
 ですが、この期に及んで一族だ家族だと口にするほど恥さらしではありません。
 ここまで酷い扱いをしてきたのです。
 兄だと主張するほど恥知らずではありません。
 捨てられるのは当然で、受け入れるしかないでしょう」

「恥知らずだと言うのか?
 双剣大将軍と称される私を、恥知らずだと言うのか?!」

「まだ分からないようですね。
 本人の耳に入るのは心地よい阿諛追従だけですよ。
 息子である私の耳にもね。
 ですが本気で調べれば、多くの貴族士族が、本当はどう思っているか、知ることができますよ。
 権力に固執し、娘を見捨てた酷薄で恥知らずな公爵とね。
 お前達の耳にも入っているだろう。
 それを教えないように握り潰していたのだろう。
 私のように」
 
 兄が、いえ、レイズ卿が覚悟を決めたようです。
 護衛の騎士達に、本当の事を言えと眼で命じています。
 言わなければ、オウエンと協力して皆殺しにするぞと伝えています。
 これでゴードン公爵も本当に自分の評判を知ることになるでしょう。
 その結果、どう決断するのでしょうか?
 
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