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第1章
第10話:嫌です・佐藤克也視点
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「あれが魔獣なの、地球のイノシシとそっくりだよ?」
いつも僕の側にいてくれる白くて大きな犬のお供、イワナガヒメに聞いてみた。
「そうですね、克也様が病院で観ておられたイノシシに似ていますね。
ですが、地球のイノシシとは違います。
この世界の魔獣で、多くの人に害を与える存在です。
克也様が退治しないと、この世界の人が殺されてしまいます」
そんな事を言われても、こんなにかわいい子を殺せないよ!
「どうしても退治しないといけないの?
繫一大爺ちゃんや光孝大爺ちゃんが持って来てくれた絵本では悪い鬼を退治していたけれど、タブレットで観たアニメは鬼とは仲良くなっていたよ?」
「それは……そうなのですが、本当は退治するのです」
「……残念だな……イワナガヒメでは、退治はできても仲良くなれないのか……」
「そんな事はありません!
私の力をもってすれば、退治せずに仲良くするくらい簡単にできます。
絵本に出て来るような弱いお供と私は違います」
「やった、仲良くなれるんだね、イノシシに似た魔獣と仲良くなれるんだね!
イノシシに似た魔獣だけでなく、鬼とも仲良くなれるんだね!?」
「はい、イノシシに似た魔獣はもちろん、鬼とも仲良くなれます!」
「僕はどうすれば良いの、イワナガヒメの言う通りにするよ」
「私が大祓詞を唱えますので、克也様も同じように唱えてください」
「任せて、光孝大爺ちゃんに教わって覚えているよ」
「それはすばらしい、克也様ならできると信じております。
ですが、とても大切な事なので、先に練習しておきましょう。
少しでも間違っていると、仲良くなれずに退治する事になります。
克也様が魔獣や鬼と仲良くなりたいのでしたら、練習してください」
「分かった、練習する。
イワナガヒメが良いと言うまで、何度でも練習する」
「克也様ならそう言われると信じていました。
私について練習してください。
言葉だけでなく、歌としても、私と同じ節で唱えてください」
「分かった、オンチだけどがんばるよ」
僕がオンチなのは分かっていた。
心臓が痛くて、ずっと胸が苦しくて、ベッドに寝たきりだった僕にできる事は限られていたので、調子の良い時はタブネットを観るか歌っていた。
先生や看護師さんはほめてくれたけれど、 僕だってバカじゃない。
自分の歌が上手いか下手かくらい分かる。
僕は歌を上手に歌えない、マネをしようと思ってもマネできないんだ。
心臓が痛くて、胸が苦しくて、大きな声が出なかった。
練習したくても、痛い日や苦しい日が多くて練習もできなかった。
上手くマネできたと思っても、痛くて苦しくて練習できない日が続くと、またマネできなくなっていた。
イワナガヒメが手本に唱えてくれるけれど、なかなかその通りにできない。
病院なら嫌な事を続けなくても良かった。
痛い苦しいと言えば、誰も続けろと言わなかった。
でも、イノシシに似た魔獣と仲良くなりたければ、がんばるしかない。
何度も何度も練習して、イワナガヒメと同じように唱えられるようにがんばった。
がんばって練習しても、心臓が痛くならないし胸も苦しくならない!
アマテラスも一緒に練習してくれて、間違っている所を教えてくれた。
それでもなかなかマネできなくて、泣きそうになった。
どうしてもイワナガヒメと同じようにできなくて、悲しくて辛くて泣きそうになったけど、イザナミノミコトとイザナギも一緒に唱えてくれた。
その場にいたお供全員が一緒に唱えてくれた。
がんばっても高い声が出ない所で、みんなが高い声を出してくれた。
僕が高い声を出せなくても良いように、みんなが高い声を出してくれた。
長く伸ばさないといけない所を、短く唱えてしまうクセがついていた。
心臓が痛くて胸が苦しくて、長く伸ばせなかったんだ。
そのクセがでそうになったら、猿のお供が優しく手を握ってくれる。
左右に分かれた猿のお供が、優しく手を握って教えてくれる。
もう心臓が痛くないし胸も苦しくない、長く伸ばせるはずなんだ!
完全に唱えられるようになるまで3日もかかってしまった。
1日でできたら良かったのだけど、3日かかっちゃった。
でも、できなかった事ができた、心臓が痛くないし胸も苦しくない!
「克也様の努力はすばらしいです。
祝詞は表面だけマネしても、マネが上手でも、意味がないのです。
心から誠を込めて唱えなければ、神様に届かないのです。
神様に届かなければ、祝詞は効果を表しません。
克也様の祝詞は、全ての神様に伝わるすばらしい祝詞です」
イワナガヒメがそう言ってほめてくれた。
少し照れてしまったけど、うれしかった。
これで魔獣や鬼と仲良くなれると思うと、とてもうれしかった。
がんばって、がんばって、がんばって、がんばって祝詞を唱えた。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も祝詞を唱えた。
イワナガヒメもアマテラスもイザナミノミコトも一緒に唱えてくれた。
イザナギ、スサノオノミコト、ミヅハノメも一緒に唱えてくれた。
お供の13人がみんな一緒に祝詞を唱えてくれた。
そんなに祝詞を唱えたのに、心臓が痛くならなかった。
胸も苦しくならなくて、ずっと出なかった高い音まで出たんだ!
いつも僕の側にいてくれる白くて大きな犬のお供、イワナガヒメに聞いてみた。
「そうですね、克也様が病院で観ておられたイノシシに似ていますね。
ですが、地球のイノシシとは違います。
この世界の魔獣で、多くの人に害を与える存在です。
克也様が退治しないと、この世界の人が殺されてしまいます」
そんな事を言われても、こんなにかわいい子を殺せないよ!
「どうしても退治しないといけないの?
繫一大爺ちゃんや光孝大爺ちゃんが持って来てくれた絵本では悪い鬼を退治していたけれど、タブレットで観たアニメは鬼とは仲良くなっていたよ?」
「それは……そうなのですが、本当は退治するのです」
「……残念だな……イワナガヒメでは、退治はできても仲良くなれないのか……」
「そんな事はありません!
私の力をもってすれば、退治せずに仲良くするくらい簡単にできます。
絵本に出て来るような弱いお供と私は違います」
「やった、仲良くなれるんだね、イノシシに似た魔獣と仲良くなれるんだね!
イノシシに似た魔獣だけでなく、鬼とも仲良くなれるんだね!?」
「はい、イノシシに似た魔獣はもちろん、鬼とも仲良くなれます!」
「僕はどうすれば良いの、イワナガヒメの言う通りにするよ」
「私が大祓詞を唱えますので、克也様も同じように唱えてください」
「任せて、光孝大爺ちゃんに教わって覚えているよ」
「それはすばらしい、克也様ならできると信じております。
ですが、とても大切な事なので、先に練習しておきましょう。
少しでも間違っていると、仲良くなれずに退治する事になります。
克也様が魔獣や鬼と仲良くなりたいのでしたら、練習してください」
「分かった、練習する。
イワナガヒメが良いと言うまで、何度でも練習する」
「克也様ならそう言われると信じていました。
私について練習してください。
言葉だけでなく、歌としても、私と同じ節で唱えてください」
「分かった、オンチだけどがんばるよ」
僕がオンチなのは分かっていた。
心臓が痛くて、ずっと胸が苦しくて、ベッドに寝たきりだった僕にできる事は限られていたので、調子の良い時はタブネットを観るか歌っていた。
先生や看護師さんはほめてくれたけれど、 僕だってバカじゃない。
自分の歌が上手いか下手かくらい分かる。
僕は歌を上手に歌えない、マネをしようと思ってもマネできないんだ。
心臓が痛くて、胸が苦しくて、大きな声が出なかった。
練習したくても、痛い日や苦しい日が多くて練習もできなかった。
上手くマネできたと思っても、痛くて苦しくて練習できない日が続くと、またマネできなくなっていた。
イワナガヒメが手本に唱えてくれるけれど、なかなかその通りにできない。
病院なら嫌な事を続けなくても良かった。
痛い苦しいと言えば、誰も続けろと言わなかった。
でも、イノシシに似た魔獣と仲良くなりたければ、がんばるしかない。
何度も何度も練習して、イワナガヒメと同じように唱えられるようにがんばった。
がんばって練習しても、心臓が痛くならないし胸も苦しくならない!
アマテラスも一緒に練習してくれて、間違っている所を教えてくれた。
それでもなかなかマネできなくて、泣きそうになった。
どうしてもイワナガヒメと同じようにできなくて、悲しくて辛くて泣きそうになったけど、イザナミノミコトとイザナギも一緒に唱えてくれた。
その場にいたお供全員が一緒に唱えてくれた。
がんばっても高い声が出ない所で、みんなが高い声を出してくれた。
僕が高い声を出せなくても良いように、みんなが高い声を出してくれた。
長く伸ばさないといけない所を、短く唱えてしまうクセがついていた。
心臓が痛くて胸が苦しくて、長く伸ばせなかったんだ。
そのクセがでそうになったら、猿のお供が優しく手を握ってくれる。
左右に分かれた猿のお供が、優しく手を握って教えてくれる。
もう心臓が痛くないし胸も苦しくない、長く伸ばせるはずなんだ!
完全に唱えられるようになるまで3日もかかってしまった。
1日でできたら良かったのだけど、3日かかっちゃった。
でも、できなかった事ができた、心臓が痛くないし胸も苦しくない!
「克也様の努力はすばらしいです。
祝詞は表面だけマネしても、マネが上手でも、意味がないのです。
心から誠を込めて唱えなければ、神様に届かないのです。
神様に届かなければ、祝詞は効果を表しません。
克也様の祝詞は、全ての神様に伝わるすばらしい祝詞です」
イワナガヒメがそう言ってほめてくれた。
少し照れてしまったけど、うれしかった。
これで魔獣や鬼と仲良くなれると思うと、とてもうれしかった。
がんばって、がんばって、がんばって、がんばって祝詞を唱えた。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も祝詞を唱えた。
イワナガヒメもアマテラスもイザナミノミコトも一緒に唱えてくれた。
イザナギ、スサノオノミコト、ミヅハノメも一緒に唱えてくれた。
お供の13人がみんな一緒に祝詞を唱えてくれた。
そんなに祝詞を唱えたのに、心臓が痛くならなかった。
胸も苦しくならなくて、ずっと出なかった高い音まで出たんだ!
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