17 / 54
第1章
第11話:豆まき・佐藤克也視点
しおりを挟む
「どうして、仲良くしたいのに、どうして豆をぶつけるの?」
魔獣に豆をぶつけろと言う黒くて大きな犬、イザナミノミコトに聞いた。
「魔獣は人を食べてしまう悪い生き物なのです。
最初は力を使って、人を食べてはいけないと教えなければなりません。
刀で斬ると死んでしまうので、死なないように豆をぶつけるのです」
「最初から豆をぶつけるなんて、かわいそうだよ。
最初は言って聞かせようよ、人を食べないように言って聞かせようよ」
「魔獣さえも思いやる、克也様のお優しい気持ちは立派でございます。
しかしながら、その克也様の優しさは、魔獣に伝わらないのです」
「伝わるかどうかは、やってみなければ分からないよ。
僕にやらせてみてよ、想いは通じるはずだよ。
タブレットで観たアニメでは通じていたよ。
僕がこうしてアニメと同じように異世界に召喚されたんだ。
アニメと同じように想いが通じるはずだよ」
「克也様が異世界に召喚されたのは、想いが通じたからではありません。
異世界の神が神々の掟を破る悪事を行ったから、異世界に召喚されたのです。
克也様の曾祖父が神主を務める神社に祀られている神々が、克也様を治すために異世界の神の掟破りを見逃したから、異世界に召喚されたのです。
アニメと同じように想いが通じたからではありません」
「そんな!」
「イザナミノミコト、克也様に厳しく言うのはやめてください」
「何を言っているのですか、克也様を危険な目にあわす気ですか?!」
白くて大きな犬、イワナガヒメが僕の味方をしてくれる。
「どこに危険があると言うのです?
私やイザナミノミコトが護っているのですよ?
イノシシ魔獣など、襲ってきたら直ぐに殺せるではありませんか」
「簡単に殺せますが、だからといって油断は禁物です、油断大敵ですよ」
「大切な克也様を御守りしているのです、油断などしません。
誰が襲ってきても、指1本触れさせません。
お優しい克也様の想いを踏みにじるようなら、八つ裂きにするだけです」
「イワナガヒメ、八つ裂きはかわいそうだよ。
心を入れ変えない大悪人でも、殺さずに捕らえるのが優しい人だと、アニメだけでなくテレビ局の偉い人も言っていたよ。
どれほどたくさんの人を殺した悪い奴でも、許して心を入れ替える機会を与えるべきだと、家族を殺された人たちに言っていたよ」
「克也様はそれが正しいと思っておられるのですか?」
「え、違うの、正しいからテレビでやっているんだよね?」
「それは……克也様がもう少し大きくなられてから考えてみてください。
この世界に居られるあいだは、この世界のやり方に従われるべきです。
克也様は、地球からこの世界に来られたお客さんです。
この世界に人々に、自分のやり方を無理矢理押し付ける気ですか?」
「あ、そうか、僕が正しいと思っていても、この世界では違うのか?
あ、でも、だったらこの国の王様や貴族が僕にあいさつさせようとしたのも、正しかったんじゃないの?」
「あ~、それは~、え~と」
イワナガヒメが困っている、大好きなイワナガヒメを困らせたくない。
「克也様、あの王は、この世界に人々を苦しめていた、悪い王だったのです。
だからこそ、多くの人が克也様に感謝していました。
城のテラスから手を振った時に、多くの人々がよろこんでいたでしょう?
この世界のやり方も、多くの人が思っているやり方が正しいのです。
少数の人間が、多くの人を無理矢理従わせるやり方は悪いのです」
イザナミノミコトが教えてくれた。
「知っている、僕それ知っている、多数決でしょう?」
「はい、その通りです、多数決です、多数決であの王が悪いと決まったのです。
同じように、多くの人が豆をぶつけて魔獣を改心させる事を望んでいます」
「……そうか、多数決で決まっているのか……
多くの人が望む通りにしないといけないのか……
言い聞かせて改心させたいと思う僕は、悪い子なんだね」
「そんな事はございません。
克也様の優しい想いは、とてもと尊いです。
他の人を危険に巻き込まないのでしたら、克也様の思った通りになされませ。
私たちが克也様を御守りしますので、安心してなされませ」
僕が反省するとイワナガヒメが違うと言ってくれる、僕が正しいと言ってくれる。
「ありがとう、イワナガヒメ!
人を食べないように魔獣に言って聞かせてくる!」
魔獣に豆をぶつけろと言う黒くて大きな犬、イザナミノミコトに聞いた。
「魔獣は人を食べてしまう悪い生き物なのです。
最初は力を使って、人を食べてはいけないと教えなければなりません。
刀で斬ると死んでしまうので、死なないように豆をぶつけるのです」
「最初から豆をぶつけるなんて、かわいそうだよ。
最初は言って聞かせようよ、人を食べないように言って聞かせようよ」
「魔獣さえも思いやる、克也様のお優しい気持ちは立派でございます。
しかしながら、その克也様の優しさは、魔獣に伝わらないのです」
「伝わるかどうかは、やってみなければ分からないよ。
僕にやらせてみてよ、想いは通じるはずだよ。
タブレットで観たアニメでは通じていたよ。
僕がこうしてアニメと同じように異世界に召喚されたんだ。
アニメと同じように想いが通じるはずだよ」
「克也様が異世界に召喚されたのは、想いが通じたからではありません。
異世界の神が神々の掟を破る悪事を行ったから、異世界に召喚されたのです。
克也様の曾祖父が神主を務める神社に祀られている神々が、克也様を治すために異世界の神の掟破りを見逃したから、異世界に召喚されたのです。
アニメと同じように想いが通じたからではありません」
「そんな!」
「イザナミノミコト、克也様に厳しく言うのはやめてください」
「何を言っているのですか、克也様を危険な目にあわす気ですか?!」
白くて大きな犬、イワナガヒメが僕の味方をしてくれる。
「どこに危険があると言うのです?
私やイザナミノミコトが護っているのですよ?
イノシシ魔獣など、襲ってきたら直ぐに殺せるではありませんか」
「簡単に殺せますが、だからといって油断は禁物です、油断大敵ですよ」
「大切な克也様を御守りしているのです、油断などしません。
誰が襲ってきても、指1本触れさせません。
お優しい克也様の想いを踏みにじるようなら、八つ裂きにするだけです」
「イワナガヒメ、八つ裂きはかわいそうだよ。
心を入れ変えない大悪人でも、殺さずに捕らえるのが優しい人だと、アニメだけでなくテレビ局の偉い人も言っていたよ。
どれほどたくさんの人を殺した悪い奴でも、許して心を入れ替える機会を与えるべきだと、家族を殺された人たちに言っていたよ」
「克也様はそれが正しいと思っておられるのですか?」
「え、違うの、正しいからテレビでやっているんだよね?」
「それは……克也様がもう少し大きくなられてから考えてみてください。
この世界に居られるあいだは、この世界のやり方に従われるべきです。
克也様は、地球からこの世界に来られたお客さんです。
この世界に人々に、自分のやり方を無理矢理押し付ける気ですか?」
「あ、そうか、僕が正しいと思っていても、この世界では違うのか?
あ、でも、だったらこの国の王様や貴族が僕にあいさつさせようとしたのも、正しかったんじゃないの?」
「あ~、それは~、え~と」
イワナガヒメが困っている、大好きなイワナガヒメを困らせたくない。
「克也様、あの王は、この世界に人々を苦しめていた、悪い王だったのです。
だからこそ、多くの人が克也様に感謝していました。
城のテラスから手を振った時に、多くの人々がよろこんでいたでしょう?
この世界のやり方も、多くの人が思っているやり方が正しいのです。
少数の人間が、多くの人を無理矢理従わせるやり方は悪いのです」
イザナミノミコトが教えてくれた。
「知っている、僕それ知っている、多数決でしょう?」
「はい、その通りです、多数決です、多数決であの王が悪いと決まったのです。
同じように、多くの人が豆をぶつけて魔獣を改心させる事を望んでいます」
「……そうか、多数決で決まっているのか……
多くの人が望む通りにしないといけないのか……
言い聞かせて改心させたいと思う僕は、悪い子なんだね」
「そんな事はございません。
克也様の優しい想いは、とてもと尊いです。
他の人を危険に巻き込まないのでしたら、克也様の思った通りになされませ。
私たちが克也様を御守りしますので、安心してなされませ」
僕が反省するとイワナガヒメが違うと言ってくれる、僕が正しいと言ってくれる。
「ありがとう、イワナガヒメ!
人を食べないように魔獣に言って聞かせてくる!」
80
あなたにおすすめの小説
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる
谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
勇者と聖女の息子 アレン ランダムスキルを手に入れて愉快に冒険します!
月神世一
児童書・童話
伝説のS級冒険者である父と、聖女と謳われた母。
英雄の血を引く少年アレンは、誰もがその輝かしい未来を期待するサラブレッドだった。
しかし、13歳の彼が神から授かったユニークスキルは――【ランダムボックス】。
期待に胸を膨らませ、初めてスキルを発動した彼の手の中に現れたのは…プラスチック製のアヒルの玩具? くしゃくしゃの新聞紙? そして、切れたボタン電池…!?
「なんだこのスキルは…!?」
周りからは落胆と失笑、自身は絶望の淵に。
一見、ただのガラクタしか出さないハズレスキル。だが、そのガラクタに刻まれた「MADE IN CHINA」の文字に、英雄である父だけが気づき、一人冷や汗を流していた…。
最弱スキルと最強の血筋を持つ少年の、運命が揺らぐ波乱の冒険が、今、始まる!
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。
桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。
山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。
そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。
するとその人は優しい声で言いました。
「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」
その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。
(この作品はほぼ毎日更新です)
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる