気がついたら悪役令嬢の父でした。

克全

文字の大きさ
4 / 5
第一章

第4話:仇敵

しおりを挟む
「ノルマン公爵、大貴族が学園の運営に介入するのはスマートではないと思うが」

 私が心から愛する娘グレイスを殺した仇敵、ドズル皇太子が目の前にいる。
 急激に増強させた魔力でぶち殺してやりたい。
 尻軽のアンジェに誑かされた色気違いの愚者。
 貴族の礼儀作法を覚える事もできない頭の弱いアンジェの無礼な行いを、自由闊達と馬鹿な解釈をして社交界を大混乱させる大馬鹿者。
 グレイスも愚かな所はあったが、その根底にあったのは社交界の礼儀作法と秩序を維持しなければいけないという責任感だ。
 グレイスは性悪な貴族令嬢達にその想いを利用されただけなのだ。

「それは見解の相違ですな、ドズル皇太子殿下。
 私は色々な所から学園の不正と秩序の崩壊を耳にしております。
 多くの貴族が、苦しい領地経営をやりくりして多額の寄付を学園にしているのは、皇国の役に立つ有能な人材を育ててもらうためです。
 理事や教職員の懐を肥やすためではありません」

「それは根も葉もない単なる噂であろう、私の耳には入っていないぞ」

 馬鹿が、お前が会長を務める生徒会へ多くの運営資金を回す事で、懐柔しようとしているのが分かっていない。
 身分は低いが容姿優れた女生徒を書記や会計に送り込むことで、色仕掛けで取り入り不正を誤魔化そうとしている事に全く気がついていない。

「それはそうでございますよ、ドズル皇太子殿下。
 不正に加担している者に、不正の疑惑を話す者などいません」

「なんだと、それはあまりに無礼であろう、公爵!
 皇国の重臣で名門公爵家であろうと、私を侮辱する事は許さんぞ!」

「侮辱、私は侮辱など一切口にしておりません、ただ事実を言っているだけです。
 もし私の言った言葉が侮辱にあたるのなら、それは殿下のなされてたことが恥ずべきことだと言うだけです。
 愚かな事を口になさる前に、私と共に学園と生徒会の会計帳簿を改める事です。
 そうすればいかに殿下が愚かだったかはっきりします。
 まあ、殿下が会計帳簿すら理解できないようなら、無駄ですが」

 こんなことが言えるのも、エリックが学園の不正を調べておいてくれたからだ。
 エリックがブロッケル男爵カルロスと妻マリラの関係に危機感を持ち、ありとあらゆる関係先を徹底的に調べてくれていたのだ。
 そうでなければ何も言えなかった。
 まあ、それも私が前世の記憶を取り戻せたから活用できたのだが……。
 以前の私は、善良だが無能な男だったからな。

「おのれ、おのれ、おのれ、そこまで言うか!
 そこまでの事を皇太子の私に言うのなら、不正がなかった時の覚悟はできているのだろうな、もし何も出てこなかったら、その首もらい受けるからな!」

「お好きなように」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【短編完結】記憶なしで婚約破棄、常識的にざまあです。だってそれまずいって

鏑木 うりこ
恋愛
お慕いしておりましたのにーーー  残った記憶は強烈な悲しみだけだったけれど、私が目を開けると婚約破棄の真っ最中?! 待って待って何にも分からない!目の前の人の顔も名前も、私の腕をつかみ上げている人のことも!  うわーーうわーーどうしたらいいんだ!  メンタルつよつよ女子がふわ~り、さっくりかる~い感じの婚約破棄でざまぁしてしまった。でもメンタルつよつよなので、ザクザク切り捨てて行きます!

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件

やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。

前世の推しに似てる不仲の婚約者に「お顔が好きです」と伝えましたところ

咲楽えび@改名しました(旧 佐倉えび)
恋愛
公爵令嬢のエリーサベトは、ポンコツ王子と呼ばれる婚約者のベルナルドに嫌気がさし、婚約者破棄を目論んでた。 そんなある日、前世を思い出したエリーサベトは気付く。ベルナルドが前世の推しに似ていることに―― ポンコツ王子と勝気な令嬢が両思いになるまでのお話。 ※小説家になろうさまでも掲載しています。

こうして私は悪魔の誘惑に手を伸ばした

綴つづか
恋愛
何もかも病弱な妹に奪われる。両親の愛も、私がもらった宝物もーー婚約者ですらも。 伯爵家の嫡女であるルリアナは、婚約者の侯爵家次男ゼファーから婚約破棄を告げられる。病弱で天使のような妹のカリスタを抱き寄せながら、真実の愛を貫きたいというのだ。 ルリアナは、それを粛々と受け入れるほかなかった。 ゼファーとカリスタは、侯爵家より譲り受けた子爵領へと移り住み、幸せに暮らしていたらしいのだが。2年後、『病弱』な妹は、出産の際に命を落とす。 ……その訃報にルリアナはひっそりと笑みを溢した。 妹に奪われてきた姉が巻き込まれた企みのお話。 他サイトにも掲載しています。※ジャンルに悩んで恋愛にしていますが、主人公に恋愛要素はありません。

乙女ゲームは始まらない

みかん桜
恋愛
異世界転生した公爵令嬢のオリヴィア。 婚約者である王太子殿下の周囲に、乙女ゲームのヒロインを自称する女が現れた。 だが現実的なオリヴィアは慌てない。 現実の貴族社会は、物語のように優しくはないのだから。 これは、乙女ゲームが始まらなかった世界の話。 ※恋愛要素は背景程度です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...