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第一章
第46話:流言飛語
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皇紀2220年・王歴224年・冬・ゴーマンストン子爵家との領境
俺は今回も影衆に噂を流してもらって敵を騙すことにした。
どのような噂を流したかを話す前に、地図的な説明が必要だろう。
まずは首都があるのだが、首都は山に囲まれた盆地にある。
その首都の北東側が、海のような巨大な湖があるプランケット地方だ。
そのプランケット地方に俺の領地があるのだが、地方の大半はエクセター侯爵家かトリムレストン子爵家の領地だ。
そのプランケット地方の西側にある山を越えれば、俺が支配した海に面したバーリー地方があるのだが、バーリー地方の南側に今回問題になっているキャメロン地方があり、北側に俺が港町を奪ったスティントン地方がある。
そしてキャメロン地方のキャヴェンディッシュ侯爵家とはまだ戦争になっていないが、スティントン地方のゴーマンストン子爵家とは戦争中だ。
まあ、戦争中とは言っても、今はゴーマンストン子爵家とは戦っていない。
狭隘な峠に強固な城砦群を築いたからゴーマンストン子爵家からは攻められない。
何よりゴーマンストン子爵家は、欲深く狂信なアザエル教団と血で血を洗う泥沼の戦争を続けているのだ。
とてもではないが、俺と戦う余裕などない。
それに、狭い峠を越えて飛び地のようになっている港を奪い返しても、維持するのがとても難しいのだ。
二万人の領地を取り返すために、四十八万人の領地を危険にさらすことができるかといえば、とてもできないと考えるのが普通の判断だ。
どうしても取り返したいと思っているのは、港の領主だった騎士達だけだろう。
だが、俺が二万五千の軍勢を集結させているとなると話は違ってくる。
領地を守るためには家臣領民を動員しなければいけない。
ゴーマンストン子爵家が来年の事を考えずに、領民を根こそぎ動員すれば、二万二千人の兵士を集められる。
来年の収穫の事を考えてギリギリの動員を行うとしたら、一万七千の兵士を集めるのが限界だろう。
俺だけが相手なら、領境の城に領民を巻き込んで籠城すればいいのだが、北の領境からはアザエル教団が攻め込んできているのだ。
俺が普通の王国貴族だったら、アザエル教団と手を結んでスティントン地方を折半する事を考えるだろう。
兵士が四万もいるのに、領民が二十二万人しかいない俺の状況を普通に考えれば、経済的にも食糧生産的にも苦しいはずなのだ。
スティントン地方の半分、二十四万人は喉から手が出るほど欲しいはずなのだ。
だからこそ、俺が全軍を率いてスティントン地方に攻め込むと、影衆に噂を流してもらったら、全ての貴族士族が信じたのだ。
スティントン地方のゴーマンストン子爵家だけでなく、アザエル教団も信じた。
キャメロン地方のキャヴェンディッシュ侯爵も信じたし、フェアファクス地方の騎士達も完全に信じた。
まして俺が実際にゴーマンストン子爵家との領境に軍を集めたのだから、彼らの欲望が一気に表にでてきた。
キャヴェンディッシュ侯爵とフェアファクス地方の騎士達が、バーリー地方の南側から怒涛の勢いで攻め込んだきた。
俺の思惑通りに愚かな踊りを披露してくれた。
「キャヴェンディッシュ侯爵とフェアファクス地方の騎士達が、卑怯にも宣戦布告もなしに攻め込んできた。
そのような貴族士族の風上にも置けない連中は皆殺しにする、我に続け」
「「「「「おう」」」」」
俺は今回も影衆に噂を流してもらって敵を騙すことにした。
どのような噂を流したかを話す前に、地図的な説明が必要だろう。
まずは首都があるのだが、首都は山に囲まれた盆地にある。
その首都の北東側が、海のような巨大な湖があるプランケット地方だ。
そのプランケット地方に俺の領地があるのだが、地方の大半はエクセター侯爵家かトリムレストン子爵家の領地だ。
そのプランケット地方の西側にある山を越えれば、俺が支配した海に面したバーリー地方があるのだが、バーリー地方の南側に今回問題になっているキャメロン地方があり、北側に俺が港町を奪ったスティントン地方がある。
そしてキャメロン地方のキャヴェンディッシュ侯爵家とはまだ戦争になっていないが、スティントン地方のゴーマンストン子爵家とは戦争中だ。
まあ、戦争中とは言っても、今はゴーマンストン子爵家とは戦っていない。
狭隘な峠に強固な城砦群を築いたからゴーマンストン子爵家からは攻められない。
何よりゴーマンストン子爵家は、欲深く狂信なアザエル教団と血で血を洗う泥沼の戦争を続けているのだ。
とてもではないが、俺と戦う余裕などない。
それに、狭い峠を越えて飛び地のようになっている港を奪い返しても、維持するのがとても難しいのだ。
二万人の領地を取り返すために、四十八万人の領地を危険にさらすことができるかといえば、とてもできないと考えるのが普通の判断だ。
どうしても取り返したいと思っているのは、港の領主だった騎士達だけだろう。
だが、俺が二万五千の軍勢を集結させているとなると話は違ってくる。
領地を守るためには家臣領民を動員しなければいけない。
ゴーマンストン子爵家が来年の事を考えずに、領民を根こそぎ動員すれば、二万二千人の兵士を集められる。
来年の収穫の事を考えてギリギリの動員を行うとしたら、一万七千の兵士を集めるのが限界だろう。
俺だけが相手なら、領境の城に領民を巻き込んで籠城すればいいのだが、北の領境からはアザエル教団が攻め込んできているのだ。
俺が普通の王国貴族だったら、アザエル教団と手を結んでスティントン地方を折半する事を考えるだろう。
兵士が四万もいるのに、領民が二十二万人しかいない俺の状況を普通に考えれば、経済的にも食糧生産的にも苦しいはずなのだ。
スティントン地方の半分、二十四万人は喉から手が出るほど欲しいはずなのだ。
だからこそ、俺が全軍を率いてスティントン地方に攻め込むと、影衆に噂を流してもらったら、全ての貴族士族が信じたのだ。
スティントン地方のゴーマンストン子爵家だけでなく、アザエル教団も信じた。
キャメロン地方のキャヴェンディッシュ侯爵も信じたし、フェアファクス地方の騎士達も完全に信じた。
まして俺が実際にゴーマンストン子爵家との領境に軍を集めたのだから、彼らの欲望が一気に表にでてきた。
キャヴェンディッシュ侯爵とフェアファクス地方の騎士達が、バーリー地方の南側から怒涛の勢いで攻め込んだきた。
俺の思惑通りに愚かな踊りを披露してくれた。
「キャヴェンディッシュ侯爵とフェアファクス地方の騎士達が、卑怯にも宣戦布告もなしに攻め込んできた。
そのような貴族士族の風上にも置けない連中は皆殺しにする、我に続け」
「「「「「おう」」」」」
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