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第二章
第76話:救援要請・ダドリー伯爵ローザ視点
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「ダドリー伯爵閣下、魔王軍の一部が城から離れて行きました。
恐らく近隣の村々を襲うモノかと思われます」
領都防衛の総責任者である王国第二騎士団の団長が、直々に報告に来たという事は、とても重大な事が起こったという事だな。
だが近隣の村々の住民は全員ここに保護したはずだ。
「近隣の村の者は領都に収容したのですよね」
「はい、騎士団を派遣して誰も残っていない事は確かめております。
ただ、新たに王太子殿下の直轄領になった、王都に近い謀叛人どもの領都だった都市の民は、元領都に残っております」
なるほど、そういう事か。
「団長は住民が残っている都市を魔王軍が襲うと考えているのですね」
「はい、ダドリー伯爵閣下。
濠が狭く浅く城壁も薄く低い都市では、今の魔王軍が相手ではひとたまりもありません、いかがすればいいでしょうか」
「団長は援軍を出したいというのですか」
「いえ、今城門を開けば魔王軍が殺到してきます。
魔王軍は我らがそのような愚かな決定をする事を期待しているのでしょう。
魔王軍の策に嵌るわけにはいきませんから、援軍は出せません。
ですが民を見捨てる訳にも行きません。
ダドリー伯爵閣下のお力で、王太子殿下と王都に援軍を依頼していただきたいのです、いかかでしょうか」
恐らく団長の予測は間違っていないだろう。
魔王軍は籠城している我々に心理的な圧力をかけようとしているのだ。
伝説の巨大種を投入した彼らからすれば、もっと簡単に落城させられるはずだったから、今の状況は戦略的な齟齬をきたしているのだろう。
人間を食糧にするはずだったのなら、兵糧不足に陥っている可能性もある。
守備力の低い都市を襲って食糧確保を図りつつ、我々に民を見殺しにさせて、領都民に自分達も見殺しにされるかもしれないという不安感を煽るのだ。
「直ぐに使い魔を送って援軍を依頼しよう。
王太子殿下が遠征を中止して戻ってこられる可能性は低いが、王都から援軍が送られてくる可能性はあります。
ですがどこも手一杯で援軍を送れない可能性もあります」
「はい、それは分かっております。
魔王軍の開けた穴を早急に塞がなければいけない事は、全ての民が理解しておりますので、王太子殿下が戻れないのは仕方がない事です。
王都の守備隊を送れない事も全ての民が分かっております。
援軍の要請をダドリー伯爵閣下がしてくださった、その事実が大切なのです」
団長は私の評判が落ちないように気を利かせてくれたのだな。
だが、殿下の直属部隊の団長でない分、少々思慮が直属団長よりは劣るな。
このような援軍要請を受けて、王太子殿下がどう動くかを理解していない。
私の送る援軍要請の文面によって、殿下の決断は大きく変わる。
殿下の心の負担を少なくするためなら、名も顔も知らない大陸の民がどうなろうと知った事じゃない。
恐らく近隣の村々を襲うモノかと思われます」
領都防衛の総責任者である王国第二騎士団の団長が、直々に報告に来たという事は、とても重大な事が起こったという事だな。
だが近隣の村々の住民は全員ここに保護したはずだ。
「近隣の村の者は領都に収容したのですよね」
「はい、騎士団を派遣して誰も残っていない事は確かめております。
ただ、新たに王太子殿下の直轄領になった、王都に近い謀叛人どもの領都だった都市の民は、元領都に残っております」
なるほど、そういう事か。
「団長は住民が残っている都市を魔王軍が襲うと考えているのですね」
「はい、ダドリー伯爵閣下。
濠が狭く浅く城壁も薄く低い都市では、今の魔王軍が相手ではひとたまりもありません、いかがすればいいでしょうか」
「団長は援軍を出したいというのですか」
「いえ、今城門を開けば魔王軍が殺到してきます。
魔王軍は我らがそのような愚かな決定をする事を期待しているのでしょう。
魔王軍の策に嵌るわけにはいきませんから、援軍は出せません。
ですが民を見捨てる訳にも行きません。
ダドリー伯爵閣下のお力で、王太子殿下と王都に援軍を依頼していただきたいのです、いかかでしょうか」
恐らく団長の予測は間違っていないだろう。
魔王軍は籠城している我々に心理的な圧力をかけようとしているのだ。
伝説の巨大種を投入した彼らからすれば、もっと簡単に落城させられるはずだったから、今の状況は戦略的な齟齬をきたしているのだろう。
人間を食糧にするはずだったのなら、兵糧不足に陥っている可能性もある。
守備力の低い都市を襲って食糧確保を図りつつ、我々に民を見殺しにさせて、領都民に自分達も見殺しにされるかもしれないという不安感を煽るのだ。
「直ぐに使い魔を送って援軍を依頼しよう。
王太子殿下が遠征を中止して戻ってこられる可能性は低いが、王都から援軍が送られてくる可能性はあります。
ですがどこも手一杯で援軍を送れない可能性もあります」
「はい、それは分かっております。
魔王軍の開けた穴を早急に塞がなければいけない事は、全ての民が理解しておりますので、王太子殿下が戻れないのは仕方がない事です。
王都の守備隊を送れない事も全ての民が分かっております。
援軍の要請をダドリー伯爵閣下がしてくださった、その事実が大切なのです」
団長は私の評判が落ちないように気を利かせてくれたのだな。
だが、殿下の直属部隊の団長でない分、少々思慮が直属団長よりは劣るな。
このような援軍要請を受けて、王太子殿下がどう動くかを理解していない。
私の送る援軍要請の文面によって、殿下の決断は大きく変わる。
殿下の心の負担を少なくするためなら、名も顔も知らない大陸の民がどうなろうと知った事じゃない。
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