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第三章
第108話:家族団欒とフルス達の末路
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リカルド王太子達は幸せに暮らしていた。
最初はぎこちない関係だったが、間に入るリカルド王太子が頑張った。
任せられる領内統治は家臣達に任せて、魔力の消費も無視した。
今までは臆病なくらい慎重な性格から、極力魔力を使わないようにしていた。
だから転移魔術の使用は必要最小限にしていた。
だが今では、朝昼晩の食事を全家族で共にするために頻繁に使った。
家族そろって朝食をとった後に決済が必要な場所に転移して昼まで政務を執る。
昼食前に家族がいる城に転移して団欒の時間を過ごす。
昼食をとった後に決済が必要な場所に転移して昼まで政務を執る。
晩餐前に家族がいる城に転移して団欒の時間を過ごす。
晩餐後に本城で政務を執る。
三日に一度の間隔を守って正妃と公妾と夜を共にする。
そんな幸せな時間を過ごすリカルド王太子に比べて、元勇者パーティーは今迄の悪業の付けを払うことになっていた。
元勇者ロイドと袂を分かったフルス、ガイス、ヒルド、ラルガの四人は、獣人が弱肉強食の世界で争っているロンセイ島に渡ろとした。
本当は指揮下の全軍を率いて渡りたかった。
だが半数が途中で逃げてしまっていた。
残兵を率いて沿岸部の猟師や商人を脅し、船を徴発して海を渡ろうとした。
だが九割の船が海の魔獣や魔魚に襲われて沈んでしまった。
動きの鈍い盾役のガイスと、攻撃魔術はそこそこ使えるが運動神経の鈍い攻撃魔術士のラルガは、多くの魔魚に貪り喰われて死んでしまった。
「ねえ、フルス、季節が来たんだよ。
アンタの子供を産ませてくれないかい。
そうすればフルスと私で権力争いしなくてすむよ。
ロンセイ島の国王はフルスで、私は王妃でいいよ。
その代わり次代はフルスと私の子供に継がせよう」
何とか二千の兵とロンセイ島に辿り着いた遊撃剣士のフルスだったが、安堵したのも束の間、味方であるはずの獣人女戦士ヒルドに首を斬り落とされてしまった。
ギリギリの所を生き延びたフルスは興奮し過ぎていた。
冷静な判断、危機を察知することができなくなっていた。
自分達が何度も味方を裏切って富を独占してきた事を忘れていた。
自分が陥れられることになる可能性を、この時だけは忘れてしまっていた。
「くっくっくっくっ、これで全戦力は私のモノだ。
この戦力を使ってこの島を支配してやる。
私を追い出した連中に復讐してやるんだ」
ヒルドは復讐の暗い喜びに満ちていたが、それが達成される事はなかった。
普段は相争っている獣人達だが、島外の人間が攻めてきた時には一致団結する。
その事を忘れてしまっていた。
いや、獣人の自分が指揮する軍は別だと思い込んでしまっていた。
二千の兵士と共に同じ獣人になます斬りにされて命果てた。
最初はぎこちない関係だったが、間に入るリカルド王太子が頑張った。
任せられる領内統治は家臣達に任せて、魔力の消費も無視した。
今までは臆病なくらい慎重な性格から、極力魔力を使わないようにしていた。
だから転移魔術の使用は必要最小限にしていた。
だが今では、朝昼晩の食事を全家族で共にするために頻繁に使った。
家族そろって朝食をとった後に決済が必要な場所に転移して昼まで政務を執る。
昼食前に家族がいる城に転移して団欒の時間を過ごす。
昼食をとった後に決済が必要な場所に転移して昼まで政務を執る。
晩餐前に家族がいる城に転移して団欒の時間を過ごす。
晩餐後に本城で政務を執る。
三日に一度の間隔を守って正妃と公妾と夜を共にする。
そんな幸せな時間を過ごすリカルド王太子に比べて、元勇者パーティーは今迄の悪業の付けを払うことになっていた。
元勇者ロイドと袂を分かったフルス、ガイス、ヒルド、ラルガの四人は、獣人が弱肉強食の世界で争っているロンセイ島に渡ろとした。
本当は指揮下の全軍を率いて渡りたかった。
だが半数が途中で逃げてしまっていた。
残兵を率いて沿岸部の猟師や商人を脅し、船を徴発して海を渡ろうとした。
だが九割の船が海の魔獣や魔魚に襲われて沈んでしまった。
動きの鈍い盾役のガイスと、攻撃魔術はそこそこ使えるが運動神経の鈍い攻撃魔術士のラルガは、多くの魔魚に貪り喰われて死んでしまった。
「ねえ、フルス、季節が来たんだよ。
アンタの子供を産ませてくれないかい。
そうすればフルスと私で権力争いしなくてすむよ。
ロンセイ島の国王はフルスで、私は王妃でいいよ。
その代わり次代はフルスと私の子供に継がせよう」
何とか二千の兵とロンセイ島に辿り着いた遊撃剣士のフルスだったが、安堵したのも束の間、味方であるはずの獣人女戦士ヒルドに首を斬り落とされてしまった。
ギリギリの所を生き延びたフルスは興奮し過ぎていた。
冷静な判断、危機を察知することができなくなっていた。
自分達が何度も味方を裏切って富を独占してきた事を忘れていた。
自分が陥れられることになる可能性を、この時だけは忘れてしまっていた。
「くっくっくっくっ、これで全戦力は私のモノだ。
この戦力を使ってこの島を支配してやる。
私を追い出した連中に復讐してやるんだ」
ヒルドは復讐の暗い喜びに満ちていたが、それが達成される事はなかった。
普段は相争っている獣人達だが、島外の人間が攻めてきた時には一致団結する。
その事を忘れてしまっていた。
いや、獣人の自分が指揮する軍は別だと思い込んでしまっていた。
二千の兵士と共に同じ獣人になます斬りにされて命果てた。
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