結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。

克全

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第四章

第125話:恐妻家

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 女性の結束はとても強くなる場合がある。
 特に母性愛が強い女性は子供を護るために団結する事がある。
 今回が正にその状況になっていた。
 聖帝国が割れることなく無事に統治される事が、愛しい子供達が幸せに暮らすためには絶対に必要なのだ。

「リカルド様、わたくしは反対です。
 わたくしはもっと子供が欲しいのです。
 勝手にもう十分などと決めつけないでください。
 子供を護るための魔力を授けてくださるというのは嬉しいです。
 ですが子供も授けて欲しいです」

 レイラがローザに続いてリカルド聖帝にダメ出しをする。
 レイラがもっと子供が欲しいと思っている事は本当だ。
 だが通常のレイラならこんな直言はしない。
 搦手から攻めてやんわりをリカルド聖帝に翻意してもらう。
 だが今回はローザが突貫して攻め口を大きく開いてくれた。
 この攻め口をもっと広げる方が効果的だと考えたのだ。

 それに妻同士の繋がりも大切だ。
 家内安全のためには、妻同士の譲り合い助け合いが一番大切だ。
 珍しくリカルド聖帝が失言して敵役になってくれたのだ。
 ここは一致団結して失言を撤回してもらい、妻同士の連帯を強化すべき。
 そうレイラは考えていた。

「リカルド聖帝陛下、陛下の考えは間違いではないが正解でもないと思います。
 私の傭兵経験からも、攻め時と守り時の見極めは難しいです。
 ただ今は守る方が有利だと思うのです。
 リカルド聖帝陛下のお話を聞いていると、必要ならだれにでも強大な魔力を付与することができるようですね。
 だったら何も攻め込む時を今にする必要はないです。
 魔族が攻め込んできた時に逆撃を仕掛けた方がいいですよ。
 今だと魔族も反撃に備えているでしょう。
 最大のチャンスは敵が攻めてきた時です。
 その時に迎撃軍と迂回攻撃軍に分かれて戦うのです」

 ライラが優しく丁寧な話し方ながら、鋭くリカルド聖帝を攻める。
 リカルド聖帝も長所短所は十分検討しているから、ライラの指摘も十分考慮した。
 考慮した上でできるだけ早く魔族の国に攻め込むべきだと判断した。
 だがそれも何を重要とするかで全然違ってくる。
 リカルド聖帝はできるだけ妻子に危険が及ばないように、最前線で戦わなくてもいいようにと考えていたのだが、三人の妻は違った。

「そうだぜリカルド。
 どうやらリカルドはできるだけ俺達が戦わなくていいようにと考えてくれているようだが、家族は一緒に戦って互いを護るもんだぜ。
 民だって自警団を作って自分を護っている。
 自警団には女もいれば老人も子供だっている。
 聖帝家も同じだぜ。
 聖帝家は家族で国を護るんだ、リカルド一人で護るもんじゃない」
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