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第一章
第15話:人買い
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ロマンシア王国暦215年2月11日王都郊外
「残念だが、もう追撃はなさそうだな」
マリアお嬢様を寝かせて運ぶための大型馬車の中で、ロレンツォがつぶやく。
その表情には何の感情も浮かんでいないが、内心ではとても残念に思っていた。
「騎士団の団長達が頑張ったのでしょう」
ロレンツォの最側近が答える。
マリアお嬢様の世話を任されている女性騎士達は黙ったままだ。
「阿諛追従くらいしかできない王の腰巾着程度では、死を賭して行動する連中を黙らせる事はできないか……」
万に一つ程度の期待しかしていなかった、愚策が失敗するのはしかたがない。
あんな策に引っかかるのはよほどの愚王だけだ。
そう思ったロレンツォは、次の策を実行するべきか考えていた。
「何度も同じ事を申し上げるのは嫌なのですが、マリアお嬢様が胸を痛められ、哀しまれるような策はとられませんように」
マリアお嬢様の事に関してだけは堪え性がないロレンツォが、そろそろ暴発するかもしれないと思った最側近は言葉を加えた。
最側近は、マリアお嬢様が胸を痛められるという言葉を加える事で、ロレンツォの暴発が抑えられる事を知っていたのだ。
「嫌な事を口にしやがる」
公爵代理の立場で家臣と話す時は、かなり丁寧な言葉遣いをするロレンツォが、思わず冒険者時代のような乱暴な話し方をした。
それくらい痛い所を突かれて、感情が揺さぶられたのだ。
「閣下に取立てていただいたご恩に報わなければいけませんから」
「分かった、王都に残ってもらった者達に期待する。
俺が直接あおるような事はしない。
それでいいんだな?」
「お嬢様が胸を痛められる事がなくて幸いです」
気の置けない主従の口喧嘩のような会話が、大型馬車の中でかわされる。
2人の仲を知っている女性騎士達は会話に加わろうとしない。
ロレンツォが何よりも大切にしているお嬢様の護衛とお世話に集中している。
ガラガラガラガラ……
ロレンツォ達の馬車と行き交う不潔な馬車の一団があった。
まだ王都から1日の距離だから、街道の幅が広く馬車を行き交わせる。
だが、やれたとしても、公爵家一行と行き交おうとするのは異常だった。
身分差を考えれば、侯爵以下の貴族でも無礼討ちにされておかしくない。
まして不潔な馬車の一団で行き交おうとするなんて……
「あの旗は、王の近臣を務める子爵家だったはずです」
最側近が侮蔑の表情を隠そうともせずに言った。
「あくどい手段を使って平民を奴隷に落としている奴だったな」
「はい……」
「あの馬車の群れに押しこまれているのが被害者だな」
「……おそらくは」
「マリアお嬢様だったら、不幸な者を見捨てられたりはされないよな」
そう口にしたロレンツォは大型馬車から飛び出した。
「……はぁあ、連中に運がなかったのか、私達に運がないのか」
最側近が頭を抱えながらつぶやく。
「公爵令嬢と公爵代理が乗る馬車に、平民が土下座して待たないどころか、馬車を行き交わせるとは許し難い!
無礼討ちにしてくれる!」
家臣に任せず、ロレンツォ自身が悪徳子爵の手先である奴隷商人を咎める。
「無法を申されますな!
我らはポルキウス子爵閣下の御用を務めているのです」
とことん頭が悪く、悪徳子爵の権力を笠に着る奴隷商人が、身分もわきまえずにロレンツォに言い返したのだが……
「愚か者!
子爵本人であっても、公爵令嬢や公爵代理には直接話しかけられないのだ!
それを子爵家の手先ごときが、身分をわきまえずに馬車を行き交わせて、ただですむと思っているのか!」
「ひぃいいいい!
申し訳ございません!
生れ卑しい平民なので、お貴族様の作法を知らなかったのです!」
ロレンツォが、悪徳子爵の権力など歯牙にもかけない大物だと悟った奴隷商人は、慌てて小者モードに切り替えて逃げ切ろうとした。
「嘘を申すな!
ポルキウス子爵の強欲と、手先の悪行は聞き知っている。
僅かな無礼を咎めては、平民に莫大な賠償金を請求して奴隷にしている。
そんなお前達が作法を知らぬわけがあるまい。
王国の悪を滅ぼすのが、王家の藩屛たる公爵家の務め。
無礼討ちにしてくれるから、そこに直れ!」
「ひぃいいいい、お許しください、お許しください、命ばかりはお助け下さい!」
ロレンツォは心から残念に思っていた。
反抗的な態度を取ってくれた方が、強硬な手段が取れた。
剣でも抜いてくれていたら、マリアお嬢様を気にする事なく殺せたのにと。
「ほう、助けて欲しいか、だったら賠償金を支払ってもらおう」
だが直ぐに考えを改めた。
悪人には悪人に対する手法がある。
貴族家に対する無礼だと言い立てて、平民から莫大な賠償金を取るような奴からは、同じ様に莫大な賠償金を取ればいいと考えたのだ。
平民の子爵家使用人に対する無礼と、平民の公爵令嬢と公爵代理に対する無礼。
何百何千倍の賠償金を請求するのが正当か?
使用人の主人である子爵本人にはどれくらいの賠償金を請求すべきか?
「払わせていただきます、払わせていただきます」
奴隷商人はそう言って金が詰まった革袋を差し出してきた。
「無礼者、公爵代理がそのような不浄な金を受け取れるか!
それに、なんだ、その子供の小遣いにもならない小銭は!
平民がポルキウス子爵に仕える奴隷商人に行った無礼に対して請求した賠償金と、公爵令嬢と公爵代理本人に行った無礼が同じになる訳がない!」
「そんな、無理無体を申されるのは止めてください!」
「斬れ、我とマリアお嬢様に無礼を働いた者共を皆殺しにしろ!」
ロレンツォの言葉を受けた家臣や冒険者が一斉に動いた。
「「「「「ギャアアアアア!」」」」」
馬車12台を連ねた奴隷商人一行だ。
護衛、御者、使用人を合計すれば40人を越えていたのだが、100人の武官と2000人の冒険者に勝てるはずもない。
瞬く間に奴隷商人本人を除いて皆殺しにされた。
ずっと我慢していたロレンツォだったが、わずかだが心が晴れる思いだった。
だがそんな思いに水を差す者がいた。
「言い返しただけで無礼討ちをしたとマリアお嬢様が聞かれたら……」
ロレンツォの背中に冷たい汗が流れた。
マリアお嬢様は、好きな女性ができたから死ねと婚約者に言われて、送られてきた毒薬を素直に飲むような方なのだ。
誰よりもお優しいマリアお嬢様が、反抗的な態度を取った程度の奴隷商人達を殺したと聞かれたら、哀しい表情をされるのは間違いない。
殺された奴隷商人達の為に祈りを捧げられるのも間違いない。
マリアお嬢様が、自分が殺せと命じた奴隷商人に詫びるために祈られる。
ロレンツォには絶対に受け入れられない事だった。
だから事態を収拾するために色々やる事にした。
「さて、お前も死にたいか?」
「ひぃいいいい、おゆるしください、私が悪かったです!」
「だったら、自分達がやってきた悪行を全て話してもらおう。
王国が派遣した代官の前で証言してもらう。
紙にも書いて証言を翻せないようにしろ。
お前達の帳簿を押収するし、連れている奴隷達にも証言させるから、子爵の力を使ってもみ消せると思うなよ!
嫌ならこの場でたたっ斬る!」
「ひぃいいいい、書きます、書きます、書かせていただきます。
命ばかりはお助け下さい!」
「残念だが、もう追撃はなさそうだな」
マリアお嬢様を寝かせて運ぶための大型馬車の中で、ロレンツォがつぶやく。
その表情には何の感情も浮かんでいないが、内心ではとても残念に思っていた。
「騎士団の団長達が頑張ったのでしょう」
ロレンツォの最側近が答える。
マリアお嬢様の世話を任されている女性騎士達は黙ったままだ。
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万に一つ程度の期待しかしていなかった、愚策が失敗するのはしかたがない。
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そう思ったロレンツォは、次の策を実行するべきか考えていた。
「何度も同じ事を申し上げるのは嫌なのですが、マリアお嬢様が胸を痛められ、哀しまれるような策はとられませんように」
マリアお嬢様の事に関してだけは堪え性がないロレンツォが、そろそろ暴発するかもしれないと思った最側近は言葉を加えた。
最側近は、マリアお嬢様が胸を痛められるという言葉を加える事で、ロレンツォの暴発が抑えられる事を知っていたのだ。
「嫌な事を口にしやがる」
公爵代理の立場で家臣と話す時は、かなり丁寧な言葉遣いをするロレンツォが、思わず冒険者時代のような乱暴な話し方をした。
それくらい痛い所を突かれて、感情が揺さぶられたのだ。
「閣下に取立てていただいたご恩に報わなければいけませんから」
「分かった、王都に残ってもらった者達に期待する。
俺が直接あおるような事はしない。
それでいいんだな?」
「お嬢様が胸を痛められる事がなくて幸いです」
気の置けない主従の口喧嘩のような会話が、大型馬車の中でかわされる。
2人の仲を知っている女性騎士達は会話に加わろうとしない。
ロレンツォが何よりも大切にしているお嬢様の護衛とお世話に集中している。
ガラガラガラガラ……
ロレンツォ達の馬車と行き交う不潔な馬車の一団があった。
まだ王都から1日の距離だから、街道の幅が広く馬車を行き交わせる。
だが、やれたとしても、公爵家一行と行き交おうとするのは異常だった。
身分差を考えれば、侯爵以下の貴族でも無礼討ちにされておかしくない。
まして不潔な馬車の一団で行き交おうとするなんて……
「あの旗は、王の近臣を務める子爵家だったはずです」
最側近が侮蔑の表情を隠そうともせずに言った。
「あくどい手段を使って平民を奴隷に落としている奴だったな」
「はい……」
「あの馬車の群れに押しこまれているのが被害者だな」
「……おそらくは」
「マリアお嬢様だったら、不幸な者を見捨てられたりはされないよな」
そう口にしたロレンツォは大型馬車から飛び出した。
「……はぁあ、連中に運がなかったのか、私達に運がないのか」
最側近が頭を抱えながらつぶやく。
「公爵令嬢と公爵代理が乗る馬車に、平民が土下座して待たないどころか、馬車を行き交わせるとは許し難い!
無礼討ちにしてくれる!」
家臣に任せず、ロレンツォ自身が悪徳子爵の手先である奴隷商人を咎める。
「無法を申されますな!
我らはポルキウス子爵閣下の御用を務めているのです」
とことん頭が悪く、悪徳子爵の権力を笠に着る奴隷商人が、身分もわきまえずにロレンツォに言い返したのだが……
「愚か者!
子爵本人であっても、公爵令嬢や公爵代理には直接話しかけられないのだ!
それを子爵家の手先ごときが、身分をわきまえずに馬車を行き交わせて、ただですむと思っているのか!」
「ひぃいいいい!
申し訳ございません!
生れ卑しい平民なので、お貴族様の作法を知らなかったのです!」
ロレンツォが、悪徳子爵の権力など歯牙にもかけない大物だと悟った奴隷商人は、慌てて小者モードに切り替えて逃げ切ろうとした。
「嘘を申すな!
ポルキウス子爵の強欲と、手先の悪行は聞き知っている。
僅かな無礼を咎めては、平民に莫大な賠償金を請求して奴隷にしている。
そんなお前達が作法を知らぬわけがあるまい。
王国の悪を滅ぼすのが、王家の藩屛たる公爵家の務め。
無礼討ちにしてくれるから、そこに直れ!」
「ひぃいいいい、お許しください、お許しください、命ばかりはお助け下さい!」
ロレンツォは心から残念に思っていた。
反抗的な態度を取ってくれた方が、強硬な手段が取れた。
剣でも抜いてくれていたら、マリアお嬢様を気にする事なく殺せたのにと。
「ほう、助けて欲しいか、だったら賠償金を支払ってもらおう」
だが直ぐに考えを改めた。
悪人には悪人に対する手法がある。
貴族家に対する無礼だと言い立てて、平民から莫大な賠償金を取るような奴からは、同じ様に莫大な賠償金を取ればいいと考えたのだ。
平民の子爵家使用人に対する無礼と、平民の公爵令嬢と公爵代理に対する無礼。
何百何千倍の賠償金を請求するのが正当か?
使用人の主人である子爵本人にはどれくらいの賠償金を請求すべきか?
「払わせていただきます、払わせていただきます」
奴隷商人はそう言って金が詰まった革袋を差し出してきた。
「無礼者、公爵代理がそのような不浄な金を受け取れるか!
それに、なんだ、その子供の小遣いにもならない小銭は!
平民がポルキウス子爵に仕える奴隷商人に行った無礼に対して請求した賠償金と、公爵令嬢と公爵代理本人に行った無礼が同じになる訳がない!」
「そんな、無理無体を申されるのは止めてください!」
「斬れ、我とマリアお嬢様に無礼を働いた者共を皆殺しにしろ!」
ロレンツォの言葉を受けた家臣や冒険者が一斉に動いた。
「「「「「ギャアアアアア!」」」」」
馬車12台を連ねた奴隷商人一行だ。
護衛、御者、使用人を合計すれば40人を越えていたのだが、100人の武官と2000人の冒険者に勝てるはずもない。
瞬く間に奴隷商人本人を除いて皆殺しにされた。
ずっと我慢していたロレンツォだったが、わずかだが心が晴れる思いだった。
だがそんな思いに水を差す者がいた。
「言い返しただけで無礼討ちをしたとマリアお嬢様が聞かれたら……」
ロレンツォの背中に冷たい汗が流れた。
マリアお嬢様は、好きな女性ができたから死ねと婚約者に言われて、送られてきた毒薬を素直に飲むような方なのだ。
誰よりもお優しいマリアお嬢様が、反抗的な態度を取った程度の奴隷商人達を殺したと聞かれたら、哀しい表情をされるのは間違いない。
殺された奴隷商人達の為に祈りを捧げられるのも間違いない。
マリアお嬢様が、自分が殺せと命じた奴隷商人に詫びるために祈られる。
ロレンツォには絶対に受け入れられない事だった。
だから事態を収拾するために色々やる事にした。
「さて、お前も死にたいか?」
「ひぃいいいい、おゆるしください、私が悪かったです!」
「だったら、自分達がやってきた悪行を全て話してもらおう。
王国が派遣した代官の前で証言してもらう。
紙にも書いて証言を翻せないようにしろ。
お前達の帳簿を押収するし、連れている奴隷達にも証言させるから、子爵の力を使ってもみ消せると思うなよ!
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