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第一章
第16話:古代氷竜アリステア
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「ほう、これはとても珍しいモノが見れたな。
死して消滅することなく幽体だけでこの世界に留まるとはな。
この北の地に留まってから初めて見たぞ。
しかも人間だけでなく猫までレイスになった姿は初めて見たぞ」
サクラを追いかけていくと、とんでもないモノがいた。
全長100メートルを超える巨大な竜が雪の谷間に寝ているのだ。
ブレスでも吐かれたら、幽体でも消滅させられてしまうかもしれないと思い、恐怖のあまり逃げ出しそうになったが、サクラを残して逃げる事など絶対にできない。
そう思ってその場に踏みとどまった俺に、竜が話しかけてきた。
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
竜に話しかけられても、恐怖のあまり返事などとてもできない。
そんな俺の代わりにサクラが竜に話しかけていた。
竜に死ぬなと訴えるサクラの気持ちが俺にも伝わってくる。
こんな巨大な竜が死ぬ事など俺には想像もつかないが、サクラには野生の感で竜が死ぬ寸前なのが分かるようだ。
だが訴えたからと言って死ぬ運命が変えられるとは思えないのだが。
「無理を言うな、猫殿。
我は長く生き過ぎて、もう生きる事に倦んでいるのだ。
竜を武力で殺す事はとても難しい。
同じ竜同士で争わない限り、死ぬ事などない。
特に我は最強の古代竜だから、同じ古代竜と戦わない限り殺される事はない。
だが我ら竜族は争い事を好まない平和な種族だ。
だから殺す事も殺される事もほとんどない。
それゆえ古代竜を殺すのは自分自身だけなのだ。
自分自身の生き続けるのは嫌だという思いだけが、古代竜を殺すのだ」
古代竜は最後に自分の想いを誰かに伝えたかったのだろうか。
死ぬ理由を俺とサクラに話してくれた。
その話しは、不老不死を得た俺には他人事に思えなかった。
もし万が一サクラが先に死んでしまうような事があったなら、俺もこの古代竜と同じように生きる事に倦むだろうことは明らかだ。
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
今度のサクラの訴えには、今度こそブレスを吐かれると覚悟した。
サクラの願いはあまりにも身勝手過ぎた。
死ぬくらいなら身体をくれと古代竜に言い放ったのだ。
俺の護るための強大な身体が欲しいという気持ちも伝わって来たから、とてもうれし気持ちもあるから、一緒に滅ぼされてもいいかとも思ったけどね。
「くっ、くっ、くっ、くっ。
身勝手過ぎて、むしろ爽快だな、猫殿の要求は」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「分かった、分かった、サクラ殿と呼べばいいのだな」
「ニャーーーン」
「ふむ、我が名はアリステア。
古代氷竜アリステアだ」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「よかろう、サクラ殿、この身体はサクラ殿に進呈しようではないか。
ただし、生きるに倦んだとはいえ、まだ我がこの身体にいるのだ。
古代竜の魂を追い出して身体を乗っ取ると言うのは、かなり難しい事だぞ。
それよりは死んだ身体を操った方が簡単ではないか」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「くっ、くっ、くっ、くっ。
本当にサクラ殿は強欲だな。
徐々に滅んで無くなってしまう身体ではなく、ずっと使える身体が欲しいか。
だったら命懸けで試すがいい。
だが、我の魂に負ければ、サクラ殿の魂が滅ぶかもしれないぞ」
「ニャッ」
死して消滅することなく幽体だけでこの世界に留まるとはな。
この北の地に留まってから初めて見たぞ。
しかも人間だけでなく猫までレイスになった姿は初めて見たぞ」
サクラを追いかけていくと、とんでもないモノがいた。
全長100メートルを超える巨大な竜が雪の谷間に寝ているのだ。
ブレスでも吐かれたら、幽体でも消滅させられてしまうかもしれないと思い、恐怖のあまり逃げ出しそうになったが、サクラを残して逃げる事など絶対にできない。
そう思ってその場に踏みとどまった俺に、竜が話しかけてきた。
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
竜に話しかけられても、恐怖のあまり返事などとてもできない。
そんな俺の代わりにサクラが竜に話しかけていた。
竜に死ぬなと訴えるサクラの気持ちが俺にも伝わってくる。
こんな巨大な竜が死ぬ事など俺には想像もつかないが、サクラには野生の感で竜が死ぬ寸前なのが分かるようだ。
だが訴えたからと言って死ぬ運命が変えられるとは思えないのだが。
「無理を言うな、猫殿。
我は長く生き過ぎて、もう生きる事に倦んでいるのだ。
竜を武力で殺す事はとても難しい。
同じ竜同士で争わない限り、死ぬ事などない。
特に我は最強の古代竜だから、同じ古代竜と戦わない限り殺される事はない。
だが我ら竜族は争い事を好まない平和な種族だ。
だから殺す事も殺される事もほとんどない。
それゆえ古代竜を殺すのは自分自身だけなのだ。
自分自身の生き続けるのは嫌だという思いだけが、古代竜を殺すのだ」
古代竜は最後に自分の想いを誰かに伝えたかったのだろうか。
死ぬ理由を俺とサクラに話してくれた。
その話しは、不老不死を得た俺には他人事に思えなかった。
もし万が一サクラが先に死んでしまうような事があったなら、俺もこの古代竜と同じように生きる事に倦むだろうことは明らかだ。
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
今度のサクラの訴えには、今度こそブレスを吐かれると覚悟した。
サクラの願いはあまりにも身勝手過ぎた。
死ぬくらいなら身体をくれと古代竜に言い放ったのだ。
俺の護るための強大な身体が欲しいという気持ちも伝わって来たから、とてもうれし気持ちもあるから、一緒に滅ぼされてもいいかとも思ったけどね。
「くっ、くっ、くっ、くっ。
身勝手過ぎて、むしろ爽快だな、猫殿の要求は」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「分かった、分かった、サクラ殿と呼べばいいのだな」
「ニャーーーン」
「ふむ、我が名はアリステア。
古代氷竜アリステアだ」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「よかろう、サクラ殿、この身体はサクラ殿に進呈しようではないか。
ただし、生きるに倦んだとはいえ、まだ我がこの身体にいるのだ。
古代竜の魂を追い出して身体を乗っ取ると言うのは、かなり難しい事だぞ。
それよりは死んだ身体を操った方が簡単ではないか」
「ニャーーーン、ニャーーーン、ニャーーーン」
「くっ、くっ、くっ、くっ。
本当にサクラ殿は強欲だな。
徐々に滅んで無くなってしまう身体ではなく、ずっと使える身体が欲しいか。
だったら命懸けで試すがいい。
だが、我の魂に負ければ、サクラ殿の魂が滅ぶかもしれないぞ」
「ニャッ」
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