よい異世界召喚に巻き込まれましたが、殺された後でした。

克全

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第二章

第40話:反省

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 最初俺は国王の思惑通りに動くのに抵抗があった。
 国のため王都の民のため、障害が残るほど戦った将兵には感心していた。
 実際に脚や腕を失った彼らを見た時、思わず完全治癒魔術を使いそうになった。 
 だが、妙な意地を張ってしまっていたのと、自分の安穏な生活を護りたくて、完全治癒魔術を使う事をためらってしまった。

 そんな俺の行いを、自らの態度で叱りつけるように、サクラが完全治癒魔術を使って障害者の腕と脚と目を再生した。
 最初に完全治癒を受けた責任者は、驚きの余り気絶してしまったが、その奇跡の技を見た障害者と孤児達は歓声をあげていた。
 サクラが障害者を呼ぶのを孤児代表の女の子が通訳して、順番に障害者の身体を完治させていった。

 俺は自分の卑小さに身の縮む思いだった。
 恥ずかしくてサクラに顔を見せる事もできなかった。
 気配も断って再び館に引き籠ろうと思ったのだが、サクラが許してくれなかった。
 ちょうど乳呑児を孤児に託して障害者の治癒をしていて、超高速移動ができたからだろうが、いきなり俺の前に現れて抱きしめてくれたのだ。
 まるで俺を乳吞児のように柔らかなお腹に抱き寄せてくれた。

「ごめん、サクラ。
 これからはサクラの子供として恥ずかしくないようにするから」

「ウォー、ウォー、ウォー」

 サクラに「気にしなくていいよ、私が護ってあげるから」と言われるのは、本当に恥ずかしかったけれど、とてもうれしくもあった。
 そしてそんなサクラに優しさにどっぷりと甘えることにした。
 甘えるとはいっても、何もしない訳ではない。
 表ではサクラに護ってはもらうが、陰では働かせてもらう。

(アリステア殿、何かいい方法はないかな)

 俺達のために遠方まで収集に行ってくれている古代氷竜アリステアに話しかけた。
 1度魂が融合したアリステアとは、どれほど遠く離れていても心話ができる事が分かったので、便利に使っているのだ。

(そうだな、ネコヤシキ殿の知識と我の魔術を使って色々と試したら、完全回復や完全快復ができるポーションを作れると思いますぞ)

 確かに障害を元通りに完治させられるポーションが開発できたら、もう国王も障害者を北方に送って来ないだろう。
 開発したのもアリステアという事にしたら、俺が表に出なくても済む。

(分かった、でも直ぐに作るのは難しいだろうから、手伝ってくれ)

(手伝うのは構いませんが、それほど時間がかかるとは思えませんが)

(アリステア殿には何か目算があるのですか)

(ネコヤシキ殿はお忘れかもしれないが、小説を書く時にクジラとサメの効能を調べておられたではないですか。
 クジラとサメを部位ごとに分けて原材料として、英雄の魔力や我の魔力を付与すれば、開発は難しくないと思いますぞ)
 
 本当に俺はバカだな。
 確かにクジラとサメには薬効があった。
 サメ肝油は有名だが、クジラもそれに匹敵する色々な効能があった。

(分かった、直ぐに試作を始めてみるよ)

(我も欲しいモノはあらかた集まりましたから、戻って手伝いますよ)
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