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第一章
第18話:フレイザー公爵家王都邸・エレノア視点
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屋敷の中が緊張しています。
私には何の落ち度もない事になっていますが、事が事です。
ひとつ間違えればフレイザー公爵家の立場は非常に悪くなります。
その事を父上と母上は心配しているようです。
ですが王家が難癖をつけてきたら戦えばいいだけです。
もう堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
王家が文句を言ってくるようなら王城ごと王家を焼き払うだけです。
「本当にフローラにも貴女にも困ったものです。
二人とも公爵家の令嬢に生まれたのですよ。
もう少し辛抱というモノを持たなければいけませんよ」
母上はそんな事を言いますが、あれは我慢できる程度の卑怯者ではありません。
あんな汚物のようなモノと結婚するくらいなら、戦争を始めた方がマシです。
私が先陣を務めたら王家の軍など鎧袖一触で粉砕してあげます。
いえ、塵も残さずに焼き尽くしてあげます。
「やめなさい、エレノア。
考えている事が全部顔に出ていますよ。
公爵令嬢ともあろう者が、両親が相手とはいえ心の内を顔に出してそうします。
普段から内心を表情に出さないようにしておきなさい」
失敗しました、反論の余地がありません。
まだまだ母上にはかないませんね。
ですが間違った事を考えているわけではありません。
戦えば確実に勝てるのですから、何も私が我慢する必要などありません。
まして相手はお姉様を傷つけた、王侯貴族の誇りを何一つ持たない極悪非道な豚以下の人でなしです。
「また心の中が全部顔に出ているぞ、エレノア」
「申し訳ございません、父上」
父上はそう言いますが、全部父上の優柔不断が原因ではありませんか。
お姉様の名誉が傷つけられた時に、毅然と対応すればこんな事にはならなかった。
お姉様が私の側からいなくなる事はなかったのです。
「いい加減にしなさい、エレノア。
あの程度の事で本家である王家に戦争など引き起こせないのですよ。
もっと決定的な愚行をしでかしてくれなければ宣戦布告などできないのです。
我が家の方が弱ければまだ何とかできたでしょう。
ですが我が家には貴女がいるのですよ、エレノア。
貴女の力を使って王位を簒奪しようと、王太子を挑発して戦争に持ち込んだと後ろ指を指されるのです。
その程度のことは、私達に言われる前に悟りなさい」
そんな事を言われても、私は考えるのが苦手なのです。
持って生まれた魔力を生かしてお姉様を助けていけばいいと思っていたのです。
私は次女ですから、お姉様の指示に従っていればいいと頼り切っていたのです。
「本当に貴女と来たら、どうしてフローラの前で同じようにできないのです。
貴女が何時もフローラの前で不機嫌な顔をするから、フローラが誤解するのです」
そんな事を言われても、お姉様の前では恥ずかし過ぎて顔が強張ってしまいますし、何も言えなくなるのです。
私には何の落ち度もない事になっていますが、事が事です。
ひとつ間違えればフレイザー公爵家の立場は非常に悪くなります。
その事を父上と母上は心配しているようです。
ですが王家が難癖をつけてきたら戦えばいいだけです。
もう堪忍袋の緒が切れてしまったのです。
王家が文句を言ってくるようなら王城ごと王家を焼き払うだけです。
「本当にフローラにも貴女にも困ったものです。
二人とも公爵家の令嬢に生まれたのですよ。
もう少し辛抱というモノを持たなければいけませんよ」
母上はそんな事を言いますが、あれは我慢できる程度の卑怯者ではありません。
あんな汚物のようなモノと結婚するくらいなら、戦争を始めた方がマシです。
私が先陣を務めたら王家の軍など鎧袖一触で粉砕してあげます。
いえ、塵も残さずに焼き尽くしてあげます。
「やめなさい、エレノア。
考えている事が全部顔に出ていますよ。
公爵令嬢ともあろう者が、両親が相手とはいえ心の内を顔に出してそうします。
普段から内心を表情に出さないようにしておきなさい」
失敗しました、反論の余地がありません。
まだまだ母上にはかないませんね。
ですが間違った事を考えているわけではありません。
戦えば確実に勝てるのですから、何も私が我慢する必要などありません。
まして相手はお姉様を傷つけた、王侯貴族の誇りを何一つ持たない極悪非道な豚以下の人でなしです。
「また心の中が全部顔に出ているぞ、エレノア」
「申し訳ございません、父上」
父上はそう言いますが、全部父上の優柔不断が原因ではありませんか。
お姉様の名誉が傷つけられた時に、毅然と対応すればこんな事にはならなかった。
お姉様が私の側からいなくなる事はなかったのです。
「いい加減にしなさい、エレノア。
あの程度の事で本家である王家に戦争など引き起こせないのですよ。
もっと決定的な愚行をしでかしてくれなければ宣戦布告などできないのです。
我が家の方が弱ければまだ何とかできたでしょう。
ですが我が家には貴女がいるのですよ、エレノア。
貴女の力を使って王位を簒奪しようと、王太子を挑発して戦争に持ち込んだと後ろ指を指されるのです。
その程度のことは、私達に言われる前に悟りなさい」
そんな事を言われても、私は考えるのが苦手なのです。
持って生まれた魔力を生かしてお姉様を助けていけばいいと思っていたのです。
私は次女ですから、お姉様の指示に従っていればいいと頼り切っていたのです。
「本当に貴女と来たら、どうしてフローラの前で同じようにできないのです。
貴女が何時もフローラの前で不機嫌な顔をするから、フローラが誤解するのです」
そんな事を言われても、お姉様の前では恥ずかし過ぎて顔が強張ってしまいますし、何も言えなくなるのです。
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