13 / 111
第一章
12話
しおりを挟む
恐れ多くも国王陛下が、王家の侍医を差し向けてくださいました。
女性の私に配慮して、普段は王妃殿下や王女殿下を診られている、女性侍医長を差し向けてくださったのです。
本当にありがたい事です。
「今から魔法で診断します。
息を大きく吸ってください」
「はい、エレノア様」
とても丁寧で慎重な診断でした。
一つ一つ可能性を考え、それを判断するための問診をされました。
女性同士ですから、私が乙女であるかとか、月経の状態や有無と言った、遠慮のない問診もありました。
側に付き添って下さっていた母上が思わず息を飲まれ、顔色を真っ青にされることもありました。
ですがそれでも、母上はそれを受け止め、私の手をしっかりと握りしめてくださいました。
私の斜め後に立って、直立不動で護衛してくれているリリアンも、一瞬気配が変わりましたが、常に私の側に付き従ってくれていましたので、私の返事を予測していたのでしょう、その後は普段通りの優しく厳しい気配を私に伝えてくれています。
エレノア様と看護婦の方々は流石です。
一切の私情を顔にも雰囲気にも表されません。
ただキビキビと望診、問診、聞診、切診を行われ、最後に魔診です。
これが私には心配な事でした。
エレノア様程の名医なら、私の秘密に気がつかれるかもしれない。
私が嘘をついているのを気がつかれるかもしれないのです。
私には分からない、人生を途中からやり直す事の理由と意味を言い当てられ、厳しく断罪されるかもしれない。
「正直に申し上げます。
原因は分かりません。
あえて病状を言い表すのなら、生命力の枯渇でしょう。
私が今まで診てきたどの症例とも違いますし、勉強してきた古い文献にもない、奇病としか申し上げようがない症状です」
「ああああぁぁぁぁ」
今まで我慢されていた母上が、堰を切ったように号泣されていらっしゃいます。
公爵夫人として、宮廷内のどのような争いにも眉一つ動かさずに対処されて来た母上が、私のために誰憚る事なく泣いて下さっています。
両手で顔を覆い、泣き崩れる母上を見ると、申し訳ない気持ちで一杯になってしまいます。
口にはできない事ですが、恐らくは前世の罪の所為なのでしょう。
知識と記憶を持って、人生を途中からやり直させていただく代償なのでしょう。
そうでなければ、死ぬ前に長い夢をみているのかもしれません。
こちらの方が可能性としては高いのですが……
さあ、私から言わねばなりません。
エレノア様に言っていただくのは申し訳ありません。
女性の私に配慮して、普段は王妃殿下や王女殿下を診られている、女性侍医長を差し向けてくださったのです。
本当にありがたい事です。
「今から魔法で診断します。
息を大きく吸ってください」
「はい、エレノア様」
とても丁寧で慎重な診断でした。
一つ一つ可能性を考え、それを判断するための問診をされました。
女性同士ですから、私が乙女であるかとか、月経の状態や有無と言った、遠慮のない問診もありました。
側に付き添って下さっていた母上が思わず息を飲まれ、顔色を真っ青にされることもありました。
ですがそれでも、母上はそれを受け止め、私の手をしっかりと握りしめてくださいました。
私の斜め後に立って、直立不動で護衛してくれているリリアンも、一瞬気配が変わりましたが、常に私の側に付き従ってくれていましたので、私の返事を予測していたのでしょう、その後は普段通りの優しく厳しい気配を私に伝えてくれています。
エレノア様と看護婦の方々は流石です。
一切の私情を顔にも雰囲気にも表されません。
ただキビキビと望診、問診、聞診、切診を行われ、最後に魔診です。
これが私には心配な事でした。
エレノア様程の名医なら、私の秘密に気がつかれるかもしれない。
私が嘘をついているのを気がつかれるかもしれないのです。
私には分からない、人生を途中からやり直す事の理由と意味を言い当てられ、厳しく断罪されるかもしれない。
「正直に申し上げます。
原因は分かりません。
あえて病状を言い表すのなら、生命力の枯渇でしょう。
私が今まで診てきたどの症例とも違いますし、勉強してきた古い文献にもない、奇病としか申し上げようがない症状です」
「ああああぁぁぁぁ」
今まで我慢されていた母上が、堰を切ったように号泣されていらっしゃいます。
公爵夫人として、宮廷内のどのような争いにも眉一つ動かさずに対処されて来た母上が、私のために誰憚る事なく泣いて下さっています。
両手で顔を覆い、泣き崩れる母上を見ると、申し訳ない気持ちで一杯になってしまいます。
口にはできない事ですが、恐らくは前世の罪の所為なのでしょう。
知識と記憶を持って、人生を途中からやり直させていただく代償なのでしょう。
そうでなければ、死ぬ前に長い夢をみているのかもしれません。
こちらの方が可能性としては高いのですが……
さあ、私から言わねばなりません。
エレノア様に言っていただくのは申し訳ありません。
1
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる