31 / 111
第一章
30話
しおりを挟む
コックスの話は、もし本当なら驚愕するほどの利点がありました。
ですが全て口伝による伝説で、証明されたモノではありませんでした。
国や貴族が正式発表したことはないそうです。
資料が残る近年の魔獣使いで実証した者もいないそうです。
しかしながら、本当なら私達の戦術を根本的に変えるほどのモノでした。
コックスが教えてくれた伝説を自分たちなりに解釈すると、以下のような効果と利点があります。
一:銀狼が一匹でも生きている限り、ムクは死なない。
二:ムクが死なない限り、私も死なない。
三:私が死なない限り、ムクは死なない。
四:ムクが死なない限り、銀狼達は死なない。
数ヶ所に拠点を置き、ムクや銀狼を護る限り、私は不死の存在となります。
ですが身体を激しく損傷してしまうと、恐ろしい姿で生き続けることになります。
アンデットのような存在になってしまいます。
ですが全ての身体損傷を癒すような魔法薬を使えるなら、人として復活できます。
ムクや銀狼達を蔑ろにする行動をすれば、絆が断ち切られてしまいますから、無茶な事はできませんが、本当ならば驚嘆に値するモノです。
だからといって、無暗に検証するわけにはいきません。
検証するとなると、ムクや銀狼達に死ぬほどの傷をつける必要があります。
そんな事をすれば、それこそ絆が断ち切られてしまいます。
つまり事前に検証する事は不可能なのです。
リリアンが出した結論は、口伝を信じて私を危険に晒す事はできないというモノでした。
ですが銀狼達がムクの眷属となった事で、私達の隊列に変化がありました。
先頭を警戒しながら進んでいたコックスの更に前に、二十頭の銀狼が進みます。
最後尾を警戒していたオーロラの更に後ろに、二十頭の銀狼が続きます。
私の護衛陣に厚みがでました。
人では感じ取れない領域の、嗅覚と聴覚と野生の本能による索敵が可能となりました。
ですが問題や負担が全くなくなったわけではありません。
問題は、銀狼達が人の脅威として認識され、攻撃を受ける可能性がある事です。
負担は食糧と言うべきか?
それとも餌と言うべきか?
肉食の銀狼用食糧を用意していない事です。
穀物は余裕を持って用意していました。
ですが肉は塩辛い干し肉しかありません。
干し肉では銀狼達の飢えをしのぐ事ができません。
飢えた銀狼達を伴って、人里に入るわけにはいきません。
行程を根本的に変える必要が出ました。
「御嬢様、リリアン殿。
ここで狩りをして肉を確保しましょう。
少なくとも次の人里に入る前に肉を確保する必要があります!」
コックスが提案します。
リリアンの判断に任せることになります。
ですが全て口伝による伝説で、証明されたモノではありませんでした。
国や貴族が正式発表したことはないそうです。
資料が残る近年の魔獣使いで実証した者もいないそうです。
しかしながら、本当なら私達の戦術を根本的に変えるほどのモノでした。
コックスが教えてくれた伝説を自分たちなりに解釈すると、以下のような効果と利点があります。
一:銀狼が一匹でも生きている限り、ムクは死なない。
二:ムクが死なない限り、私も死なない。
三:私が死なない限り、ムクは死なない。
四:ムクが死なない限り、銀狼達は死なない。
数ヶ所に拠点を置き、ムクや銀狼を護る限り、私は不死の存在となります。
ですが身体を激しく損傷してしまうと、恐ろしい姿で生き続けることになります。
アンデットのような存在になってしまいます。
ですが全ての身体損傷を癒すような魔法薬を使えるなら、人として復活できます。
ムクや銀狼達を蔑ろにする行動をすれば、絆が断ち切られてしまいますから、無茶な事はできませんが、本当ならば驚嘆に値するモノです。
だからといって、無暗に検証するわけにはいきません。
検証するとなると、ムクや銀狼達に死ぬほどの傷をつける必要があります。
そんな事をすれば、それこそ絆が断ち切られてしまいます。
つまり事前に検証する事は不可能なのです。
リリアンが出した結論は、口伝を信じて私を危険に晒す事はできないというモノでした。
ですが銀狼達がムクの眷属となった事で、私達の隊列に変化がありました。
先頭を警戒しながら進んでいたコックスの更に前に、二十頭の銀狼が進みます。
最後尾を警戒していたオーロラの更に後ろに、二十頭の銀狼が続きます。
私の護衛陣に厚みがでました。
人では感じ取れない領域の、嗅覚と聴覚と野生の本能による索敵が可能となりました。
ですが問題や負担が全くなくなったわけではありません。
問題は、銀狼達が人の脅威として認識され、攻撃を受ける可能性がある事です。
負担は食糧と言うべきか?
それとも餌と言うべきか?
肉食の銀狼用食糧を用意していない事です。
穀物は余裕を持って用意していました。
ですが肉は塩辛い干し肉しかありません。
干し肉では銀狼達の飢えをしのぐ事ができません。
飢えた銀狼達を伴って、人里に入るわけにはいきません。
行程を根本的に変える必要が出ました。
「御嬢様、リリアン殿。
ここで狩りをして肉を確保しましょう。
少なくとも次の人里に入る前に肉を確保する必要があります!」
コックスが提案します。
リリアンの判断に任せることになります。
0
あなたにおすすめの小説
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
ぱんだ
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる