婚約破棄追放された元聖女は、王太子たちに監視されています。

克全

文字の大きさ
4 / 14
第一章

第4話:売名人心掌握・王太子視点

 極悪非道な偽聖女アリスがその本性を現しだした。
 本当の聖女だと愚かな民に売名するために、施しを始めたのだ。
 これはとても危険な兆候で、直ぐにアリスを殺さねばならんのだが、キャスバルの馬鹿が、そんな事をすれば民が一揆を起こすと頑強に反対しやがる。
 
 一揆を起こした民など皆殺しにすればいいと言ってやったら、そんな事をすれば多くの貴族士族が王家を見放し、叛乱が起こると言いやがった。
 どいつもこいつも忠誠心のない愚か者共だ!
 本当の聖女を頂いた我らが正義だということが分かっていない。
 正義が勝って悪が滅ぶのがこの世界の理ではないか!

「では王太子殿下、遊興費のために年貢をあげた王太子殿下や方々と、年貢が払えなくて奴隷に売られそうになった民を助けたアリス、どちらを民や貴族士族が正しいとみるでしょう?」

「それ、それは、それはそう、本当の聖女オリビアのためだ。
 聖女オリビアに、聖女に相応しい身嗜みを整えていただくのは、聖女の加護で護られている王国民の責務である。
 責務を果たさない民が悪であって、私達は貴族として当然の事をしたのだ。
 それに、偉そうに言うお前だって、聖女オリビアに宝石を贈ったではないか」

「私が贈った宝石は、私が魔境で稼いだ金で買ったのです。
 年貢を上げて民を苦しめて集めた物ではありません。
 王太子殿下や他の方々と同列に扱わないでください。
 それは貴族として恥ずべきことですから」

「おのれ、おのれ、おのれ、おのれ、言いたい放題言いやがった!」

「当然ですよ、王太子殿下。
 私は聖女オリビアに惚れて、聖女に相応しい求婚をしているのです。
 民から食料を奪い、娘や妻を奴隷に売らねばならないように追い込んだ腐れ外道を、聖女様が結婚相手に選ぶわけがないでしょう。
 私は殿下や方々に何度も申し上げたはずですよ。
 民を苦しめた金で買ったプレゼントを喜ぶ聖女様はいないと。
 それを聞かず、競い合ってプレゼントを届け、年貢を上げたのは殿下たちです。
 ねえ、聖女オリビア」

「はい、その通りですは、キャスバル様。
 私は何度も必要ありませんと申し上げました。
 民を苦しめて買った物は受け取れないと申し上げました。
 ですが止めてはくださらず、プレゼントを届け続けてくださいました。
 本当は受け取りたくなかったのですが、民を苦しめてまで買ってくださったプレゼントを、捨てる訳にもいかず、仕方なく受け取らせていただいていたのです」

 ああ、本当に奥ゆかしい人だ、聖女オリビアは。
 それに比べて悪女アリスのなんと狡猾な事か。
 だが、俺たちの所為でオリビアの名声に傷をつけるわけにはいかない。
 だが今更年貢を低くしても、恩知らずの民はオリビアを悪く言うかもしれない。
 そんな事を言わさないようにするには、殺して口を封じるしかないな。
 うん、そうしよう、疫病が流行った事にして、民を皆殺しにしよう。
感想 7

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

【完結】婚約破棄された悪役令嬢、元婚約者を裏で裁きます

音無響一
ファンタジー
王城の大広間で、リリアーナ・エルヴァルトは婚約者である王太子から一方的に婚約破棄を言い渡される。罪を捏造され、断罪され、国外追放。誰も味方のいない中、彼女は一切の弁明をせず静かに受け入れた。 だがその夜。 彼女は別の顔を持つ。 王都の闇で依頼を受け、悪を裁く裏稼業の元締め。 今度の標的は――自分を断罪した元婚約者。 婚約は終わった。だが清算はまだ終わっていない。 表では悪役令嬢。裏では裁く側。 これは、断罪された令嬢が王都の闇を静かに切り裂く物語。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。

緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。 前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。 これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

追放された悪役令嬢は、辺境の谷で魔法農業始めました~気づけば作物が育ちすぎ、国までできてしまったので、今更後悔されても知りません~

黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リーゼリット・フォン・アウグストは、婚約者であるエドワード王子と、彼に媚びるヒロイン・リリアーナの策略により、無実の罪で断罪される。「君を辺境の地『緑の谷』へ追放する!」――全てを失い、絶望の淵に立たされたリーゼリット。しかし、荒れ果てたその土地は、彼女に眠る真の力を目覚めさせる場所だった。 幼い頃から得意だった土と水の魔法を農業に応用し、無口で優しい猟師カイルや、谷の仲間たちと共に、荒れ地を豊かな楽園へと変えていく。やがて、その成功は私欲にまみれた王国を揺るがすほどの大きなうねりとなり……。 これは、絶望から立ち上がり、農業で成り上がり、やがては一国を築き上げるに至る、一人の令嬢の壮大な逆転物語。爽快なざまぁと、心温まるスローライフ、そして運命の恋の行方は――?

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。