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第一部 異世界建築士と獣人の少女
第58話:思慕(4/7)
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「ふふ、おやんちゃさんも、寒さにはかなわないんですね?」
……本当に恥ずかしい。
川で彼女を抱きしめ、長い長い舌の交歓を堪能して――
それで自覚したのが、ムスコが起きない、ということだった。
いや、寒すぎると元気が出にくいことがあるってのは経験則で知ってはいた。それにしたって、よりにもよって、この肉感的な女性を抱きしめているこのときに無反応。いやあ、自覚した時は俺、ついにストレスのせいで精神的不全症にでもなったかと、わりと真剣に絶望した。
いや、まあ……。幾度となくめまいも感じていたし、失血と酷寒のせいで勃つモノも勃たなくなってしまっている、と解釈した方が無難だろう。我が愚息といったら、我ながら、それはそれは哀れなくらいに縮こまっているのだから。
ただ、これで彼女を襲ってしまわなくて済むと、自分の自制心の無さを認める情けない安堵をしてしまうあたりが、俺の、俺らしさかもしれない。
とはいえ、失血を原因に挙げると絶対にリトリィが責任を感じて、またなにか反応に困るリアクションをするに決まっているので、寒さのせいにしておくことにした。それが、彼女の、あの台詞につながるのである。
おやんちゃさん。
――ああもう、なんで彼女は、その一言一言があんなにも愛らしいんだろう!
館に戻ると、食堂の棚から、リトリィが手ぬぐいを大量に引っ張り出してきた。俺の方はというと寒さで歯の鳴りが止まらないというのに、リトリィは大して気にならないらしい。
以前、ふわふわの毛皮があるから寒さに強そうだ、なんて思ったことはあったが、どうも毛皮のせいばかりでないようだ。体質的なものなのか、それとも寒さの厳しいこの環境で生きてきたためなのか、とにかく寒さへの耐性が俺とは別次元レベルで高いのかもしれない。
濡れた体そのものは、食堂に豊富にあった手ぬぐいで拭くことで、ある程度なんとかすることができた。自分の方がずぶ濡れで、一部は凍り付いてすらいるのに、彼女は俺の体を拭くことを優先しようとした。
さすがに女性を濡れたままにして自分だけを拭かせるなんて、俺にはとてもできない。だから俺の方は彼女の体を拭くことにしたら、これまた頑強に抵抗された。
どうしてもだめだと言われ続け、仕方なく髪だけでも、と提案したら、これはすんなり受け入れてくれた。というより、髪は触ってもいいというか、触ってほしげにしているのが、よく分からない。
なんとか体も拭き終わって、では、どこで寝るかという問題になる。もちろんそれぞれの部屋、ということになるはずだったのだが、リトリィは俺から離れようとしなかった。
俺の部屋のベッドは、当然ながらシングルベッド。――いや、それより狭いかもしれない。サイズで言えば、おそらくセミシングルか、それ以下だ。それを二人で利用するなど、快適な睡眠には程遠いだろう。
よってリトリィの部屋で寝る――彼女のベッドはセミダブルくらいの広さがあった、多分兄貴の愛情が広さに表れている――ということも一瞬、頭をよぎったが、明日の朝、彼女の部屋から出てくる俺。
……うん、アイネに半殺しにされる未来が確定しているな、却下。半殺しどころか全殺しだろ常識的に考えて。
やはり今夜はリトリィを説得して、それぞれのベッドで眠るべきだ。うん、ビバ平穏な夜。
そう思い進言したのだが、リトリィが頑として離れない。ああ、一度言いだしたら聞かない、こういうところは頑固な子だったか。
何より、リトリィが地下室で寝たがった。曰く、「わたしのせいでこうなったんですから、わたしがあたためます」。でもって、同衾するなら好きな人の部屋がいいのだという。
結局、二人で、地下室で寝ることになってしまった。
血が固まり始めていたシーツは、さっき川で体を洗う時、一緒に持って行って沈めておいた。洗うのは明日の朝――まあ、忙しい彼女にやらせるわけにはいかないから、俺が洗う。そこは俺が頑として主張し、彼女に認めさせてある。
だからシーツは、リトリィが、自分のベッドのものを持ってきた。
藁で出来たベッドは、当然吸水性なぞあるはずもなく、表面の血まみれの藁をちょっと取り除いたら、もう誤魔化すことくらいは問題なかった。多少、血の匂いは残っているが、そこは致しかたない。
においというなら、きっとリトリィの方が敏感にかぎ取っているはずだから、俺のほうが我慢しないでどうするのだ。
セミシングルベッドで二人が寝るのは大変だ。
二人とも同じ方向を向いて横向きに寝れば何とかそれなりにはなるのだろうが、リトリィは俺の懐に顔を埋めたがって困った。結局、お互いに向き合うことになったため、どうにも窮屈だ。
だが、これ幸いと言わんばかりに彼女は積極的に体を絡めてくる。
冷えた体を温め合うには、彼女の絡みつき癖はとてもありがたいのだが、問題は彼女が、例の、帯だけを腰に巻くあの格好で絡みついてくることだ。
俺のガラスの自制心は、もういつでも木っ端みじんになる寸前の、全方位ひび割れMAX状態である。
彼女が積極的な関係構築を望んでいる以上、一体何を、何のために自制するのかという根源的な問題を抱えているところがまた辛い。
あえて言うなら、今日までのことで精神的に不安定な相手を抱くのは卑怯、という、俺のやせ我慢的でペラッペラなプライドの壁一枚だけが、今の俺を支えている。壁紙よりも薄そうだが。
「……あの谷の向こうには、何があるんだ?」
冷え切った体を、共に体で温め合うことで寒さに耐えながら、気をそらす意味も多分に含めて、俺は聞いてみた。
谷底にいたときは意外に感じなかった寒さが、今度は体の芯から襲ってくるから不思議だ。下手にぬくもりを感じる分、より身に沁みるのかもしれない。
「えっと、わたしも行ったことはないんですけど、親方様の話だと、さらにずっと森が広がっているみたいです。
ここから川下に下ると、とても高い崖になっていて大きな滝があるんです。そこまで行けば谷も低くなっているので、向こう岸に渡れますね」
「親方はそこから渡ったのかな?」
「ずーっと上流まで行くと、崖じゃなくなるみたいなので、そこまで行っても回り込めるみたいです」
なるほど、上流まで行っても渡れるってことか。ただ、それでは解決にならないな。なんとかして橋を架けたいが。
「……どうして、急にそんなことを?」
「ほら、薪を取ってくるのも大変じゃないか。結構な重労働って分かったよ。だから、すぐ目の前の森の木を使えたらリトリィも楽になるだろうなって思って――リトリィ?」
言い終わらないうちに、彼女が首筋に顔を埋めてくる。
「……どうした?」
「本当に……本当に、わたしのことばっかり考えてくださるんですね……」
「そりゃ……まあ、な」
「……うれしいです。うれしい――」
しばらく、俺の首筋で鼻を鳴らし続けるリトリィ。思わずその背中に腕を回し、その長い髪を撫で――
ハッとしたようにリトリィは俺を見上げ、背中に回された俺の腕を見て、そしてまた俺の顔を見上げて、再び俺の首筋に顔を埋める。
「ムラタさん……女の子の髪をなでる意味、ごぞんじですか……?」
言われて、反射的に腕を浮かせる。
ああ、だからさっき、驚いたのか。尻尾と同じで、何かマナー違反だったのだろうと判断する。だが、さっきは髪を拭かせてくれた。どういうことだろう?
「ごめん、撫でちゃいけなかったんだな。知らなかった」
「ムラタさんならいいんです。ううん、なでてもらえると、うれしいです」
首を上げ、目を細めて答える。驚いている感じだったから、タブーに類することだと思ったのだが。
だが、彼女が望むならいいのだろう。もう一度、撫でてみる。
嬉しそうに鼻を鳴らしたリトリィは、ぺろりと俺の頬をなめてみせた。
「……髪は、頭に繋がっています。頭と胸は、考えと心でつながっています。
――だから、その髪に触れるっていうことは、そのひとの思いに直接触れるっていうことだとされています」
なるほど。日本だと子供の頭を撫でたりするのはよくある話だが、この世界では相手の心に踏み込むという意味になるのだろうか。
もしかしたら、髪に触れるというのは、相手のパーソナルスペースに土足で踏み込むに等しい、ということなのかもしれない。
「だから、基本、おたがいに髪にはふれないように生活します。とくに異性の間では。妻の髪にふれたっていうことを理由に、決闘だって起こります」
「決闘!?」
「だから、身分の高い、既婚女性は、髪を結い上げることが多いそうです。高く結い上げた髪は、お貴族様や騎士様の伴侶になった誇りでもあるそうですよ?」
なるほど、髪型がそのまま身分をも表すわけだ。じゃあ、庶民は?
「結い上げる人もいますし、編んだり束ねたりする人もいます。長い髪を保つのは大変ですけど、それもまた女の誇りですから、『事故』が起こらないようにまとめる人が多いです。結局は、だんなさまの希望も大きいと思うんですけど」
「旦那様の希望?」
「はい、だんなさまがお望みの髪形をする女性は多いそうですよ?」
――庶民はけっこうファジーなんだな。
「俺は……リトリィには、このままでいてもらえると嬉しいな」
「……どういう、意味ですか?」
「いや、このふわふわの髪は、触り心地がいいから」
すん。
リトリィが、小さなため息をつく。
「……話がそれちゃいましたね。
男の人が、女の人の髪を撫でるのは、『契り固め』のひとつで、『櫛流し』っていうんです。本当は丹塗りの櫛で髪を梳くんですけど、手櫛でもかまいません。女の子の思いの全てをもらい受けるっていう意味です」
「『契り固め』?」
「祝言を挙げるために必要な、三つの儀式のことです」
……まて、祝言――だって?
……本当に恥ずかしい。
川で彼女を抱きしめ、長い長い舌の交歓を堪能して――
それで自覚したのが、ムスコが起きない、ということだった。
いや、寒すぎると元気が出にくいことがあるってのは経験則で知ってはいた。それにしたって、よりにもよって、この肉感的な女性を抱きしめているこのときに無反応。いやあ、自覚した時は俺、ついにストレスのせいで精神的不全症にでもなったかと、わりと真剣に絶望した。
いや、まあ……。幾度となくめまいも感じていたし、失血と酷寒のせいで勃つモノも勃たなくなってしまっている、と解釈した方が無難だろう。我が愚息といったら、我ながら、それはそれは哀れなくらいに縮こまっているのだから。
ただ、これで彼女を襲ってしまわなくて済むと、自分の自制心の無さを認める情けない安堵をしてしまうあたりが、俺の、俺らしさかもしれない。
とはいえ、失血を原因に挙げると絶対にリトリィが責任を感じて、またなにか反応に困るリアクションをするに決まっているので、寒さのせいにしておくことにした。それが、彼女の、あの台詞につながるのである。
おやんちゃさん。
――ああもう、なんで彼女は、その一言一言があんなにも愛らしいんだろう!
館に戻ると、食堂の棚から、リトリィが手ぬぐいを大量に引っ張り出してきた。俺の方はというと寒さで歯の鳴りが止まらないというのに、リトリィは大して気にならないらしい。
以前、ふわふわの毛皮があるから寒さに強そうだ、なんて思ったことはあったが、どうも毛皮のせいばかりでないようだ。体質的なものなのか、それとも寒さの厳しいこの環境で生きてきたためなのか、とにかく寒さへの耐性が俺とは別次元レベルで高いのかもしれない。
濡れた体そのものは、食堂に豊富にあった手ぬぐいで拭くことで、ある程度なんとかすることができた。自分の方がずぶ濡れで、一部は凍り付いてすらいるのに、彼女は俺の体を拭くことを優先しようとした。
さすがに女性を濡れたままにして自分だけを拭かせるなんて、俺にはとてもできない。だから俺の方は彼女の体を拭くことにしたら、これまた頑強に抵抗された。
どうしてもだめだと言われ続け、仕方なく髪だけでも、と提案したら、これはすんなり受け入れてくれた。というより、髪は触ってもいいというか、触ってほしげにしているのが、よく分からない。
なんとか体も拭き終わって、では、どこで寝るかという問題になる。もちろんそれぞれの部屋、ということになるはずだったのだが、リトリィは俺から離れようとしなかった。
俺の部屋のベッドは、当然ながらシングルベッド。――いや、それより狭いかもしれない。サイズで言えば、おそらくセミシングルか、それ以下だ。それを二人で利用するなど、快適な睡眠には程遠いだろう。
よってリトリィの部屋で寝る――彼女のベッドはセミダブルくらいの広さがあった、多分兄貴の愛情が広さに表れている――ということも一瞬、頭をよぎったが、明日の朝、彼女の部屋から出てくる俺。
……うん、アイネに半殺しにされる未来が確定しているな、却下。半殺しどころか全殺しだろ常識的に考えて。
やはり今夜はリトリィを説得して、それぞれのベッドで眠るべきだ。うん、ビバ平穏な夜。
そう思い進言したのだが、リトリィが頑として離れない。ああ、一度言いだしたら聞かない、こういうところは頑固な子だったか。
何より、リトリィが地下室で寝たがった。曰く、「わたしのせいでこうなったんですから、わたしがあたためます」。でもって、同衾するなら好きな人の部屋がいいのだという。
結局、二人で、地下室で寝ることになってしまった。
血が固まり始めていたシーツは、さっき川で体を洗う時、一緒に持って行って沈めておいた。洗うのは明日の朝――まあ、忙しい彼女にやらせるわけにはいかないから、俺が洗う。そこは俺が頑として主張し、彼女に認めさせてある。
だからシーツは、リトリィが、自分のベッドのものを持ってきた。
藁で出来たベッドは、当然吸水性なぞあるはずもなく、表面の血まみれの藁をちょっと取り除いたら、もう誤魔化すことくらいは問題なかった。多少、血の匂いは残っているが、そこは致しかたない。
においというなら、きっとリトリィの方が敏感にかぎ取っているはずだから、俺のほうが我慢しないでどうするのだ。
セミシングルベッドで二人が寝るのは大変だ。
二人とも同じ方向を向いて横向きに寝れば何とかそれなりにはなるのだろうが、リトリィは俺の懐に顔を埋めたがって困った。結局、お互いに向き合うことになったため、どうにも窮屈だ。
だが、これ幸いと言わんばかりに彼女は積極的に体を絡めてくる。
冷えた体を温め合うには、彼女の絡みつき癖はとてもありがたいのだが、問題は彼女が、例の、帯だけを腰に巻くあの格好で絡みついてくることだ。
俺のガラスの自制心は、もういつでも木っ端みじんになる寸前の、全方位ひび割れMAX状態である。
彼女が積極的な関係構築を望んでいる以上、一体何を、何のために自制するのかという根源的な問題を抱えているところがまた辛い。
あえて言うなら、今日までのことで精神的に不安定な相手を抱くのは卑怯、という、俺のやせ我慢的でペラッペラなプライドの壁一枚だけが、今の俺を支えている。壁紙よりも薄そうだが。
「……あの谷の向こうには、何があるんだ?」
冷え切った体を、共に体で温め合うことで寒さに耐えながら、気をそらす意味も多分に含めて、俺は聞いてみた。
谷底にいたときは意外に感じなかった寒さが、今度は体の芯から襲ってくるから不思議だ。下手にぬくもりを感じる分、より身に沁みるのかもしれない。
「えっと、わたしも行ったことはないんですけど、親方様の話だと、さらにずっと森が広がっているみたいです。
ここから川下に下ると、とても高い崖になっていて大きな滝があるんです。そこまで行けば谷も低くなっているので、向こう岸に渡れますね」
「親方はそこから渡ったのかな?」
「ずーっと上流まで行くと、崖じゃなくなるみたいなので、そこまで行っても回り込めるみたいです」
なるほど、上流まで行っても渡れるってことか。ただ、それでは解決にならないな。なんとかして橋を架けたいが。
「……どうして、急にそんなことを?」
「ほら、薪を取ってくるのも大変じゃないか。結構な重労働って分かったよ。だから、すぐ目の前の森の木を使えたらリトリィも楽になるだろうなって思って――リトリィ?」
言い終わらないうちに、彼女が首筋に顔を埋めてくる。
「……どうした?」
「本当に……本当に、わたしのことばっかり考えてくださるんですね……」
「そりゃ……まあ、な」
「……うれしいです。うれしい――」
しばらく、俺の首筋で鼻を鳴らし続けるリトリィ。思わずその背中に腕を回し、その長い髪を撫で――
ハッとしたようにリトリィは俺を見上げ、背中に回された俺の腕を見て、そしてまた俺の顔を見上げて、再び俺の首筋に顔を埋める。
「ムラタさん……女の子の髪をなでる意味、ごぞんじですか……?」
言われて、反射的に腕を浮かせる。
ああ、だからさっき、驚いたのか。尻尾と同じで、何かマナー違反だったのだろうと判断する。だが、さっきは髪を拭かせてくれた。どういうことだろう?
「ごめん、撫でちゃいけなかったんだな。知らなかった」
「ムラタさんならいいんです。ううん、なでてもらえると、うれしいです」
首を上げ、目を細めて答える。驚いている感じだったから、タブーに類することだと思ったのだが。
だが、彼女が望むならいいのだろう。もう一度、撫でてみる。
嬉しそうに鼻を鳴らしたリトリィは、ぺろりと俺の頬をなめてみせた。
「……髪は、頭に繋がっています。頭と胸は、考えと心でつながっています。
――だから、その髪に触れるっていうことは、そのひとの思いに直接触れるっていうことだとされています」
なるほど。日本だと子供の頭を撫でたりするのはよくある話だが、この世界では相手の心に踏み込むという意味になるのだろうか。
もしかしたら、髪に触れるというのは、相手のパーソナルスペースに土足で踏み込むに等しい、ということなのかもしれない。
「だから、基本、おたがいに髪にはふれないように生活します。とくに異性の間では。妻の髪にふれたっていうことを理由に、決闘だって起こります」
「決闘!?」
「だから、身分の高い、既婚女性は、髪を結い上げることが多いそうです。高く結い上げた髪は、お貴族様や騎士様の伴侶になった誇りでもあるそうですよ?」
なるほど、髪型がそのまま身分をも表すわけだ。じゃあ、庶民は?
「結い上げる人もいますし、編んだり束ねたりする人もいます。長い髪を保つのは大変ですけど、それもまた女の誇りですから、『事故』が起こらないようにまとめる人が多いです。結局は、だんなさまの希望も大きいと思うんですけど」
「旦那様の希望?」
「はい、だんなさまがお望みの髪形をする女性は多いそうですよ?」
――庶民はけっこうファジーなんだな。
「俺は……リトリィには、このままでいてもらえると嬉しいな」
「……どういう、意味ですか?」
「いや、このふわふわの髪は、触り心地がいいから」
すん。
リトリィが、小さなため息をつく。
「……話がそれちゃいましたね。
男の人が、女の人の髪を撫でるのは、『契り固め』のひとつで、『櫛流し』っていうんです。本当は丹塗りの櫛で髪を梳くんですけど、手櫛でもかまいません。女の子の思いの全てをもらい受けるっていう意味です」
「『契り固め』?」
「祝言を挙げるために必要な、三つの儀式のことです」
……まて、祝言――だって?
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