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第四部 異世界建築士と幸せの鐘塔
第404話:Not Found
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「……開いている? 鍵、かけ忘れたか?」
思えば、騒動は、そこから始まった。
マレットさんの家で朝食をいただき、ハマーを冷やかしてから家に帰ってみたら、ドアの鍵が開いていたのだ。
その時点では、鍵をかけ忘れたのかもしれない、と楽観視していたのだが。
「見つからない?」
俺は首を傾げた。
「はい……。私、確かにいつもの棚に置いておいたのに……」
マイセルが不安そうに俺を見上げる。
マイセルが見つからない、と言っているのは、彼女の財布だ。白い、なめした革製のもので、結婚してしばらくしてからプレゼントしたんだ。ちなみに同じようなものをリトリィも持っている。
ちょっとお高めだったんだけど、二人が俺のために、仕事道具を収めるための革製の鞄を買ってくれたから、俺も二人のために買ったんだ。
それが、見当たらないのだという。
「寝室は見たのか?」
「うん……私、この前、いつも通りに置いたはずなのに……」
ぞわぞわと嫌な予感がしてきて、俺たちは家の中を色々と確かめることにした。リトリィはキッチン周りを、マイセルはリビング周りを、そして俺は、仕事部屋を。
そして、叫んでしまった。
「な、無い! 引き出しが無い!?」
仕事机の下に収められている、筆記用具や資料、書きかけの図面や描き無くなっていたのである。
「昨日はマレットさんの家に泊まっていたからな。その間にやられたのか……」
「せっかく、ムラタさんが買ってくれたお財布、大事にしてたのに……」
顔をくしゃくしゃにしてしゃくりあげているマイセルを前に、俺は歯ぎしりをしてしまった。マイセルをこんなに悲しませるなんて、犯人の野郎、絶対に許さん。
窓は破られていなかった。しかし、キッチンのかまどに足跡が付いていたから、おそらく換気口から侵入したんだろう。
リトリィの財布は、彼女がいつも持ち歩いているポーチの中に入れていたから無事だった。あとは俺だ。大工道具はともかくとして、建築士として仕事に使う一切合切を、引き出しごと盗まれたのだ。うちで鍵がかかるものといったらそれしかないから、きっと金目のものが入っていると思ったんだろう。
ほかにも、燻製肉の塊や鍋、包丁、皿など、キッチンにあったものもいくつか盗られているようだった。
ちなみに、キッチン奥のパントリーの、今では大量の超精力野菜の奥に埋もれるようになってしまった、ナリクァンさんから頂いた現金が入った壷は無事だった。リトリィが買い貯めた大量のクノーブが、夜の性活以外にも役に立ったと言える。
それにしても、苦労してこじ開けたら、万年筆やらインクやら三角定規やら紙の束やらしか入っていないと知ったら、泥棒野郎はどう考えるだろう。諦めて放置するだろうか。それとも腹立ちまぎれに、川にでも放り込むとか火をつけるとかしないだろうか。
苦労して作ったコンパスとか特注で作ってもらった先の細い鉛筆や万年筆などといった、お金で計れない価値のある道具類をすべて紛失したのが、なにより痛い。
「くそっ……イベントってのは、ほんとにまとめてやってくるものだな」
仕方がない。とりあえず警吏の詰め所に駆け込んで話をすると、これまた高圧的な態度のおっさんが、じつにまったく馬鹿にしたように言った。
「万年筆や定規や絵図面を盗まれた? 現金でも貴金属でもなく? ……まったく、無駄なものを盗んだ間抜けな泥棒がいたもんだ、いらぬ手間ばかり増やしおって。あんたも、そんな小道具が盗まれたくらいでいちいち話を持ち込むんじゃない」
被害者のはずの俺がなじられる。
理不尽極まりない扱いに、俺は憤慨するよりも呆然となったまま、いつのまにか家に戻ってきていた。
そして、家で椅子に座っているうちにふつふつと怒りが湧き上がってきた。
……やっぱりこの街の警吏は腐っていた。頼りにならない。
頼りにならないどころか、「届けは受理するが、現金や貴金属が盗まれたわけでもないのだからいちいち来るな」とまで言われてしまった。
やっぱり警吏なんかより、巡回衛士を探して訴えた方がよかったと、後悔する。彼らは警吏と違って騎士階級、街を守るという意識も警吏よりずっと高いと聞いている。なのに俺は、日本にいたときの感覚で、つい交番に駆け込む勢いで警吏の詰め所に走ってしまったのだ。
何やってんだ俺は、ちくしょう!
リトリィが奴隷商人に囚われたときだって、それ以前にこの街に来たばかりの時だって、警吏が頼りにならない――というより信用に足らない連中だってのは、分かっていたはずなのに!
溺れる者は藁をもつかむというが、しかしあまりにもむだな行動だったと気づかされた。すぐに俺は、奴のことを思い浮かべたからだ。
奴とは誰か。
決まっている。ギルド長だ。今回の件の報復のために、俺の家から仕事道具を盗み出させたに決まっている。でなきゃ、あんなにピンポイントに俺の仕事道具を盗めるものか。
ついでに言えば、警吏のヤツらが賄賂ですぐに転ぶってのは、この街に来たときに悪ガキどもに濡れ衣を着せられかけたときに十分に思い知らされた。あの面倒くさそうな態度。どうせギルド長の息がかかっているんだろう。
「本当に、そうでしょうか? だって、大工道具はまったく手を付けられていないんですよ?」
リトリィが、ためらいつつも俺をいさめるように言った。
「そりゃ、俺が建築士だからだろう。現に引き出しごと、俺の仕事道具のすべてを盗み出しているからな!」
「あなた、落ち着いてください。マイセルちゃんのお財布もとられていますし、燻製肉の塊もなくなっています。それに、包丁とおなべ、お皿も何枚か。これで本当に、あなたのお仕事のじゃまをしようとしたかどうかというのは……」
「そんなの偽装に決まってる! くそっ、ギルド長といい、警吏の連中といい……この街の連中はみんなみんな、本当に腐ってやがる!」
「あなた……ムラタさん! おちついてください」
「落ち着いていられるか! この街の連中はどいつもこいつも、俺たちを――」
パンっ!
「おねがいです。あなた、おちついてください。マイセルちゃんがおびえています」
リトリィの、透明な青紫の瞳が、揺れていた。
でも、まっすぐ俺を見据えていた。
俺は、軽い衝撃を受けた左の頬を押さえる。
――俺は、ひっぱたかれたのだとようやく気付いた。
リトリィに。
「たいせつなものをとられて、訴えても軽んじられて、おさまらない気持ちは分かります。でもお願いです、落ち着いてください。あなたがそんなになってしまったら、わたしたちはどうすればいいんですか?」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、それでも凛とした姿で、彼女は言った。
――言わせてしまった。
俺が情けなく、取り乱すものだから。
今の今まで泣きじゃくっていたはずのマイセルが、たしかに、おびえた様子で俺を見上げているのを見て、胸が痛くなった。
俺は、彼女たちの夫なんだ。別に男だから女を守らなきゃならないっていうわけじゃないけど、彼女たちは俺という人間を信用して、俺と共に生きると決めてくれたんだ。それなのに、二人を不安がらせてどうするんだよ、俺は!
「……ごめん。取り乱してしまって。泥棒に入られるってのにも初めてで動揺してたけど、警吏の連中の態度にも腹が立ってな……」
「わかります。わたしも、あなたのためにってマイセルちゃんと相談して奮発したお肉、まるごと無くなっちゃってとっても悲しいですから」
あんなに大きなのを買ったのに、とものすごく悲しそうなリトリィ。だがそれを見て、肉なんてまた買い直せばいいのにと、自分とは次元の違う悩みのような気がして、思わず吹き出してしまった。
「どうして笑うんですか?」
戸惑うリトリィに、俺はハッとする。
盗作疑惑を突きつけられた挙句、仕事を数カ月干された俺だ。それを思えば、道具なんてまた作ればいいし、図面だって今すぐ必要なものがあるわけでもない。やり直しなんていくらでも効くのだと、自分に言い聞かせる。
「そう、だな……。肉は……もう食われたか売られたかしたかもしれないが、財布ならもしかしたら中身だけ抜き取られてその辺に捨てられているかもしれないし、キャビネットのほうだって、金目のものがないと分かればどこかに適当に捨てられているかもしれない。まずは探そう」
本当は三人で手分けして探したかったし、ふたりもそう言ってくれたのだが、俺は結局、三人でひと固まりになって探した。これまで三人でバラけて、そして何があったかと言えば、家族がバラバラになる事件ばかりだ。今度もそうならないとは限らない。効率が悪いとは思いつつ、川辺や裏路地など、捨てられていそうな場所を探して回った。
けれど、何の手がかりもなかった。
何も見つからなかった。財布も、図面の一枚も。
じょじょに薄暗くなってきたころ、俺たちは徒労感と共に、足を引きずるようにし家に帰った。
俺も、リトリィも、マイセルも、お互いに一言もないまま、のろのろと夕食の準備を始めた。
その時だった、ドアが叩かれたのは。
「おおい、リトリィ。いるんだろう?」
聞き覚えのある声。
「……フラフィー兄さま?」
リトリィのつぶやきに、ドアの向こうが反応した。
「おっ、聞こえたかモーナ、やっぱりいるぞ。今の声は間違いなくリトリィだ。たぶん例の『おやつのおじちゃん』もいるはずだ。いやあ、帰る前にもう一度寄ってよかったぜ!」
リトリィが弾かれるようにしてドアに駆け寄ると、そこには。
「おう、久しぶりだな!」
巨大なリュックを背負っている、真っ黒に日焼けしたスキンヘッドの男――忘れもしない、あの山の鍛冶屋兄弟のうち、リトリィの兄であるフラフィーと、亜麻色の髪に、同じ色のふわもこなロップイヤー風の耳を頭の上に垂らしている女性と、同じ耳をもつ少女が、そこに立っていた。
思えば、騒動は、そこから始まった。
マレットさんの家で朝食をいただき、ハマーを冷やかしてから家に帰ってみたら、ドアの鍵が開いていたのだ。
その時点では、鍵をかけ忘れたのかもしれない、と楽観視していたのだが。
「見つからない?」
俺は首を傾げた。
「はい……。私、確かにいつもの棚に置いておいたのに……」
マイセルが不安そうに俺を見上げる。
マイセルが見つからない、と言っているのは、彼女の財布だ。白い、なめした革製のもので、結婚してしばらくしてからプレゼントしたんだ。ちなみに同じようなものをリトリィも持っている。
ちょっとお高めだったんだけど、二人が俺のために、仕事道具を収めるための革製の鞄を買ってくれたから、俺も二人のために買ったんだ。
それが、見当たらないのだという。
「寝室は見たのか?」
「うん……私、この前、いつも通りに置いたはずなのに……」
ぞわぞわと嫌な予感がしてきて、俺たちは家の中を色々と確かめることにした。リトリィはキッチン周りを、マイセルはリビング周りを、そして俺は、仕事部屋を。
そして、叫んでしまった。
「な、無い! 引き出しが無い!?」
仕事机の下に収められている、筆記用具や資料、書きかけの図面や描き無くなっていたのである。
「昨日はマレットさんの家に泊まっていたからな。その間にやられたのか……」
「せっかく、ムラタさんが買ってくれたお財布、大事にしてたのに……」
顔をくしゃくしゃにしてしゃくりあげているマイセルを前に、俺は歯ぎしりをしてしまった。マイセルをこんなに悲しませるなんて、犯人の野郎、絶対に許さん。
窓は破られていなかった。しかし、キッチンのかまどに足跡が付いていたから、おそらく換気口から侵入したんだろう。
リトリィの財布は、彼女がいつも持ち歩いているポーチの中に入れていたから無事だった。あとは俺だ。大工道具はともかくとして、建築士として仕事に使う一切合切を、引き出しごと盗まれたのだ。うちで鍵がかかるものといったらそれしかないから、きっと金目のものが入っていると思ったんだろう。
ほかにも、燻製肉の塊や鍋、包丁、皿など、キッチンにあったものもいくつか盗られているようだった。
ちなみに、キッチン奥のパントリーの、今では大量の超精力野菜の奥に埋もれるようになってしまった、ナリクァンさんから頂いた現金が入った壷は無事だった。リトリィが買い貯めた大量のクノーブが、夜の性活以外にも役に立ったと言える。
それにしても、苦労してこじ開けたら、万年筆やらインクやら三角定規やら紙の束やらしか入っていないと知ったら、泥棒野郎はどう考えるだろう。諦めて放置するだろうか。それとも腹立ちまぎれに、川にでも放り込むとか火をつけるとかしないだろうか。
苦労して作ったコンパスとか特注で作ってもらった先の細い鉛筆や万年筆などといった、お金で計れない価値のある道具類をすべて紛失したのが、なにより痛い。
「くそっ……イベントってのは、ほんとにまとめてやってくるものだな」
仕方がない。とりあえず警吏の詰め所に駆け込んで話をすると、これまた高圧的な態度のおっさんが、じつにまったく馬鹿にしたように言った。
「万年筆や定規や絵図面を盗まれた? 現金でも貴金属でもなく? ……まったく、無駄なものを盗んだ間抜けな泥棒がいたもんだ、いらぬ手間ばかり増やしおって。あんたも、そんな小道具が盗まれたくらいでいちいち話を持ち込むんじゃない」
被害者のはずの俺がなじられる。
理不尽極まりない扱いに、俺は憤慨するよりも呆然となったまま、いつのまにか家に戻ってきていた。
そして、家で椅子に座っているうちにふつふつと怒りが湧き上がってきた。
……やっぱりこの街の警吏は腐っていた。頼りにならない。
頼りにならないどころか、「届けは受理するが、現金や貴金属が盗まれたわけでもないのだからいちいち来るな」とまで言われてしまった。
やっぱり警吏なんかより、巡回衛士を探して訴えた方がよかったと、後悔する。彼らは警吏と違って騎士階級、街を守るという意識も警吏よりずっと高いと聞いている。なのに俺は、日本にいたときの感覚で、つい交番に駆け込む勢いで警吏の詰め所に走ってしまったのだ。
何やってんだ俺は、ちくしょう!
リトリィが奴隷商人に囚われたときだって、それ以前にこの街に来たばかりの時だって、警吏が頼りにならない――というより信用に足らない連中だってのは、分かっていたはずなのに!
溺れる者は藁をもつかむというが、しかしあまりにもむだな行動だったと気づかされた。すぐに俺は、奴のことを思い浮かべたからだ。
奴とは誰か。
決まっている。ギルド長だ。今回の件の報復のために、俺の家から仕事道具を盗み出させたに決まっている。でなきゃ、あんなにピンポイントに俺の仕事道具を盗めるものか。
ついでに言えば、警吏のヤツらが賄賂ですぐに転ぶってのは、この街に来たときに悪ガキどもに濡れ衣を着せられかけたときに十分に思い知らされた。あの面倒くさそうな態度。どうせギルド長の息がかかっているんだろう。
「本当に、そうでしょうか? だって、大工道具はまったく手を付けられていないんですよ?」
リトリィが、ためらいつつも俺をいさめるように言った。
「そりゃ、俺が建築士だからだろう。現に引き出しごと、俺の仕事道具のすべてを盗み出しているからな!」
「あなた、落ち着いてください。マイセルちゃんのお財布もとられていますし、燻製肉の塊もなくなっています。それに、包丁とおなべ、お皿も何枚か。これで本当に、あなたのお仕事のじゃまをしようとしたかどうかというのは……」
「そんなの偽装に決まってる! くそっ、ギルド長といい、警吏の連中といい……この街の連中はみんなみんな、本当に腐ってやがる!」
「あなた……ムラタさん! おちついてください」
「落ち着いていられるか! この街の連中はどいつもこいつも、俺たちを――」
パンっ!
「おねがいです。あなた、おちついてください。マイセルちゃんがおびえています」
リトリィの、透明な青紫の瞳が、揺れていた。
でも、まっすぐ俺を見据えていた。
俺は、軽い衝撃を受けた左の頬を押さえる。
――俺は、ひっぱたかれたのだとようやく気付いた。
リトリィに。
「たいせつなものをとられて、訴えても軽んじられて、おさまらない気持ちは分かります。でもお願いです、落ち着いてください。あなたがそんなになってしまったら、わたしたちはどうすればいいんですか?」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、それでも凛とした姿で、彼女は言った。
――言わせてしまった。
俺が情けなく、取り乱すものだから。
今の今まで泣きじゃくっていたはずのマイセルが、たしかに、おびえた様子で俺を見上げているのを見て、胸が痛くなった。
俺は、彼女たちの夫なんだ。別に男だから女を守らなきゃならないっていうわけじゃないけど、彼女たちは俺という人間を信用して、俺と共に生きると決めてくれたんだ。それなのに、二人を不安がらせてどうするんだよ、俺は!
「……ごめん。取り乱してしまって。泥棒に入られるってのにも初めてで動揺してたけど、警吏の連中の態度にも腹が立ってな……」
「わかります。わたしも、あなたのためにってマイセルちゃんと相談して奮発したお肉、まるごと無くなっちゃってとっても悲しいですから」
あんなに大きなのを買ったのに、とものすごく悲しそうなリトリィ。だがそれを見て、肉なんてまた買い直せばいいのにと、自分とは次元の違う悩みのような気がして、思わず吹き出してしまった。
「どうして笑うんですか?」
戸惑うリトリィに、俺はハッとする。
盗作疑惑を突きつけられた挙句、仕事を数カ月干された俺だ。それを思えば、道具なんてまた作ればいいし、図面だって今すぐ必要なものがあるわけでもない。やり直しなんていくらでも効くのだと、自分に言い聞かせる。
「そう、だな……。肉は……もう食われたか売られたかしたかもしれないが、財布ならもしかしたら中身だけ抜き取られてその辺に捨てられているかもしれないし、キャビネットのほうだって、金目のものがないと分かればどこかに適当に捨てられているかもしれない。まずは探そう」
本当は三人で手分けして探したかったし、ふたりもそう言ってくれたのだが、俺は結局、三人でひと固まりになって探した。これまで三人でバラけて、そして何があったかと言えば、家族がバラバラになる事件ばかりだ。今度もそうならないとは限らない。効率が悪いとは思いつつ、川辺や裏路地など、捨てられていそうな場所を探して回った。
けれど、何の手がかりもなかった。
何も見つからなかった。財布も、図面の一枚も。
じょじょに薄暗くなってきたころ、俺たちは徒労感と共に、足を引きずるようにし家に帰った。
俺も、リトリィも、マイセルも、お互いに一言もないまま、のろのろと夕食の準備を始めた。
その時だった、ドアが叩かれたのは。
「おおい、リトリィ。いるんだろう?」
聞き覚えのある声。
「……フラフィー兄さま?」
リトリィのつぶやきに、ドアの向こうが反応した。
「おっ、聞こえたかモーナ、やっぱりいるぞ。今の声は間違いなくリトリィだ。たぶん例の『おやつのおじちゃん』もいるはずだ。いやあ、帰る前にもう一度寄ってよかったぜ!」
リトリィが弾かれるようにしてドアに駆け寄ると、そこには。
「おう、久しぶりだな!」
巨大なリュックを背負っている、真っ黒に日焼けしたスキンヘッドの男――忘れもしない、あの山の鍛冶屋兄弟のうち、リトリィの兄であるフラフィーと、亜麻色の髪に、同じ色のふわもこなロップイヤー風の耳を頭の上に垂らしている女性と、同じ耳をもつ少女が、そこに立っていた。
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