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偶然②
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その週の土曜日、僕は電車で街に出た。アミに出す手紙を買うついでに街を歩きたかったからだ。文具店で手紙を買い、鞄へ入れた。
「手紙は買ったし…。どこ行こうかな…」とりあえず歩くことにした。
だが、歩いたはいいが、何か寂しい感じがした。何故だろうか。僕にも分からなかった。そんな気持ちの中、街を進んでいった。
しばらく歩いていると、右手にパン屋が見えた。「そういえばお腹空いたな。パン買っていこ」僕はパン屋へ入った。
「いらっしゃいませ」女性従業員のやさしい声が聞こえた。僕はトングとトレーを持ち、商品を見ていた。
「あ、これ美味しそう…」僕はメロンパンをトングで取り、トレーへ置いた。出来立てのメロンパンで、おいしそうな匂いが漂っていた。「あとはどれにしよう…」僕は再び商品を見ていた。
5分後、メロンパンとクリームパン、カレーパンを購入して店を出た。「そうだ、あそこの公園のベンチで食べよう」僕は近くの公園のベンチに座った。この日は比較的涼しく過ごしやすかった。「もう秋なんだなあ…」僕は季節を感じながら景色を眺めていた。
僕は袋に入ったカレーパンを取り出した。カリッとした食感とルーのほどよい辛さが口の中に広がった。「美味しい…」気付くとカレーパンを食べ終わっていた。
「あれ、もう食べちゃったんだ…-。もっとゆっくり味わえばよかった…」
カレーパンを食べ終わり、僕は空を眺めた。「いい天気だなあ…」
空を眺めているとふと、アミとの文通のことを思い出した。
「アミちゃん、優しいな…。書いた話題に触れてくれて…。そういえば、アミちゃんって何が好きなんだろう…。食べ物とか趣味とか…。好きな人とかいるのかな…」あれこれ考えているうちに10分以上経った。
僕はパンを鞄に入れ、公園を出た。「どこ行こうかな…」
公園を出てしばらく歩いていると、見覚えのある女性が歩いているのが見えた。男性と一緒だった。「あの人、どこかで見たような…」僕はこっそり跡をつけた。
しばらく歩いていると、2人は映画館に入った。「そういえばあの小説、映画化されたんだっけ…」その映画は大ヒットとなり、現在も上映中であった。
「誰だったんだろうあの女の人…。何処かで見たことあるんだよな…」一向に思い出せなかった。
僕は映画館から離れ、ショッピングモールを訪れた。ショッピングモール内にはアパレルショップや書店、CDショップなど多くのテナントが入っていた。僕はとりあえず店内を歩いた。
「お店いっぱいある…。あ、書店…。ちょっと寄っていこう」
書店へ入り、小説コーナーへ足を運んだ。僕は映画化された小説を見つけた。「これ、これ…」僕はその小説を手に取り、読み始めた。その小説は刑事もので、1人の刑事が難事件に立ち向かうというストーリーだ。僕は夢中になり、ページをめくった。
読んでいると、ちらっと視線を感じた。知り合いのような…。僕は目を配ったが、既に誰もいなかった。「誰だったんだろう…。もしかして、さっきの女性…」
僕は本を棚に戻し、その人を探し始めた。探しながら歩いていると、外で見た格好の女性が歩いていた。僕は気付かれないようにつけた。
残り数メートルまで来た。すると、女性は男性とそこで別れた。女性は男性に手を振った。どうやら男性はこのショッピングモールで働いているようだ。エスカレーターで1階まで降り、外へ出た。恐らく、関係者入り口へ向かったのだろう。
女性は立ち止まったまま動かず、周りを見渡していた。「誰か探しているのかな…」
すると次の瞬間、女性が振り向き、僕と目が合った。
帽子を被っていて顔がよく分からない。だが、髪型に見覚えがあった。ショートカット…。もしかして…。
女性は帽子を取った。
アミだった。
「浩二くん、私達の跡つけてきたんでしょ」「えっ…」
バレていた。
「気になっちゃった?あの男の人」僕はその問いにうまく返すことができなかった。
「あの人、私のお兄ちゃんなの。3つ上の。映画化された小説あるじゃない。私その小説好きで映画観たかったの。私が映画観に行くって言ったらお兄ちゃんもその映画観たかったみたいで。お兄ちゃん昼過ぎから仕事で、お互いの時間が合ったから一緒に観に行ったの」「そうなんだ…。お兄さんだったんだ…」何故かほっとしている自分がいた。
「お兄ちゃんと書店の前歩いてたら『あれ…』と思って…」
あの時の視線はアミからの視線だった。
それを聞いて僕はその場で下を向いた。
「どうしたの?もしかして恋人だと思っちゃったの?」「…。うん」
そう返すのに少し間が空いてしまった。
「ごめんね。勘違いさせちゃって。私、当分結婚する気ないから。今は曲作りの方が大事だから」やさしい表情でアミは返した。
「よかった…」
無意識に小さい声で呟いている自分がいた。好意は持っていない。だが無意識に出てしまった。アミはその声が聞こえたのかやさしい表情を見せた。
「浩二くん、何か食べる?御馳走するよ」「えっ…、でもなんか悪いし…」「いいの、いいの。こっちも悪いことしちゃったから。何食べたい?」「…。ハンバーガー…」「ハンバーガーでいいの!?もっとほら、ステーキとかお寿司とか!」「…。ハンバーガー…」
そんな会話をしながらレストラン街を歩いた。
その光景はまるで姉と弟のようだった。
「手紙は買ったし…。どこ行こうかな…」とりあえず歩くことにした。
だが、歩いたはいいが、何か寂しい感じがした。何故だろうか。僕にも分からなかった。そんな気持ちの中、街を進んでいった。
しばらく歩いていると、右手にパン屋が見えた。「そういえばお腹空いたな。パン買っていこ」僕はパン屋へ入った。
「いらっしゃいませ」女性従業員のやさしい声が聞こえた。僕はトングとトレーを持ち、商品を見ていた。
「あ、これ美味しそう…」僕はメロンパンをトングで取り、トレーへ置いた。出来立てのメロンパンで、おいしそうな匂いが漂っていた。「あとはどれにしよう…」僕は再び商品を見ていた。
5分後、メロンパンとクリームパン、カレーパンを購入して店を出た。「そうだ、あそこの公園のベンチで食べよう」僕は近くの公園のベンチに座った。この日は比較的涼しく過ごしやすかった。「もう秋なんだなあ…」僕は季節を感じながら景色を眺めていた。
僕は袋に入ったカレーパンを取り出した。カリッとした食感とルーのほどよい辛さが口の中に広がった。「美味しい…」気付くとカレーパンを食べ終わっていた。
「あれ、もう食べちゃったんだ…-。もっとゆっくり味わえばよかった…」
カレーパンを食べ終わり、僕は空を眺めた。「いい天気だなあ…」
空を眺めているとふと、アミとの文通のことを思い出した。
「アミちゃん、優しいな…。書いた話題に触れてくれて…。そういえば、アミちゃんって何が好きなんだろう…。食べ物とか趣味とか…。好きな人とかいるのかな…」あれこれ考えているうちに10分以上経った。
僕はパンを鞄に入れ、公園を出た。「どこ行こうかな…」
公園を出てしばらく歩いていると、見覚えのある女性が歩いているのが見えた。男性と一緒だった。「あの人、どこかで見たような…」僕はこっそり跡をつけた。
しばらく歩いていると、2人は映画館に入った。「そういえばあの小説、映画化されたんだっけ…」その映画は大ヒットとなり、現在も上映中であった。
「誰だったんだろうあの女の人…。何処かで見たことあるんだよな…」一向に思い出せなかった。
僕は映画館から離れ、ショッピングモールを訪れた。ショッピングモール内にはアパレルショップや書店、CDショップなど多くのテナントが入っていた。僕はとりあえず店内を歩いた。
「お店いっぱいある…。あ、書店…。ちょっと寄っていこう」
書店へ入り、小説コーナーへ足を運んだ。僕は映画化された小説を見つけた。「これ、これ…」僕はその小説を手に取り、読み始めた。その小説は刑事もので、1人の刑事が難事件に立ち向かうというストーリーだ。僕は夢中になり、ページをめくった。
読んでいると、ちらっと視線を感じた。知り合いのような…。僕は目を配ったが、既に誰もいなかった。「誰だったんだろう…。もしかして、さっきの女性…」
僕は本を棚に戻し、その人を探し始めた。探しながら歩いていると、外で見た格好の女性が歩いていた。僕は気付かれないようにつけた。
残り数メートルまで来た。すると、女性は男性とそこで別れた。女性は男性に手を振った。どうやら男性はこのショッピングモールで働いているようだ。エスカレーターで1階まで降り、外へ出た。恐らく、関係者入り口へ向かったのだろう。
女性は立ち止まったまま動かず、周りを見渡していた。「誰か探しているのかな…」
すると次の瞬間、女性が振り向き、僕と目が合った。
帽子を被っていて顔がよく分からない。だが、髪型に見覚えがあった。ショートカット…。もしかして…。
女性は帽子を取った。
アミだった。
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バレていた。
「気になっちゃった?あの男の人」僕はその問いにうまく返すことができなかった。
「あの人、私のお兄ちゃんなの。3つ上の。映画化された小説あるじゃない。私その小説好きで映画観たかったの。私が映画観に行くって言ったらお兄ちゃんもその映画観たかったみたいで。お兄ちゃん昼過ぎから仕事で、お互いの時間が合ったから一緒に観に行ったの」「そうなんだ…。お兄さんだったんだ…」何故かほっとしている自分がいた。
「お兄ちゃんと書店の前歩いてたら『あれ…』と思って…」
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「どうしたの?もしかして恋人だと思っちゃったの?」「…。うん」
そう返すのに少し間が空いてしまった。
「ごめんね。勘違いさせちゃって。私、当分結婚する気ないから。今は曲作りの方が大事だから」やさしい表情でアミは返した。
「よかった…」
無意識に小さい声で呟いている自分がいた。好意は持っていない。だが無意識に出てしまった。アミはその声が聞こえたのかやさしい表情を見せた。
「浩二くん、何か食べる?御馳走するよ」「えっ…、でもなんか悪いし…」「いいの、いいの。こっちも悪いことしちゃったから。何食べたい?」「…。ハンバーガー…」「ハンバーガーでいいの!?もっとほら、ステーキとかお寿司とか!」「…。ハンバーガー…」
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その光景はまるで姉と弟のようだった。
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