コウジとアミ

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アミの好みのタイプ

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 翌日、僕はアミへ手紙を書くためにペンを持った。「何を書こうかな…。まずは、昨日のお礼を…。そして、心配かけたことの謝罪を…」出だしの文は書き終えた。その後で悩んでしまった。前回と同じだ。

 「悩んじゃうよな…、出来事いっぱいあるから…。何かアミちゃんが興味そそられることあるかな…」頭の中の記憶を掘り出していた。

 掘り出している時に迷子になった時の自分の姿が頭の中に流れた。

 「アミちゃんからしたらほんと子どもだよな…、俺。年の差ってのもあるから、年の離れた姉と弟みたいに見えたかもな…」自分でも何となくそう感じていた。

 僕は姉の部屋がある方向を見ていた。

 「姉か…。うちの姉ちゃんとはえらい違いだよな。優しくて気配りができて…。本当の弟みたいに可愛がってくれて…」そんなことを考えていると、何故か壁を隔てて何かを感じた。僕はすぐさま机に向かった。

 「アミちゃん、どういう人がタイプなんだろう…。当分結婚する気ないとは言ってたけど、好みのタイプとかはあるだろうし…。俺も気になる女の子のこと話したし、聞きたいな…」

 だが、書こうとした瞬間に何故か「なんか、俺と全く違うタイプの人が好みとか返ってきたらどうしよう…」という心配が募っていた。アミに好意を持っているわけではないのに。

 「何を心配してんだ俺は…。ただどんな人がタイプなのか聞きたいだけじゃん…」そう言い聞かせていたがなかなか書けなかった。僕の心は複雑だったみたいだ。

 1時間が経ち、僕は一度外へ出た。近くにある自動販売機でジュースを買い、部屋に戻った。椅子に座り、ペンを持った。そして、手紙の続きを書き始めた。

 正午になり、手紙を書き終えた。今回は早く書き終えることができた。
 
 「何て返ってくるかな…」期待と不安を胸に手紙をポストへ投函した。「ほんと、どんな人がタイプなんだろう…」無意識にそんなことを考えている自分がいた。「まあ、誰がタイプでも…。何考えてるんだ…」

 翌日、僕は学校で気になる女の子と話していた。その子は同じクラスで仲の良い女の子の1人だ。名前は飯田真希《いいだまき》。ロングヘアーでちょっと活発な女の子。落ち着いた印象のアミとは正反対の女の子だ。

 真希は僕へのボディタッチが多く、僕はその度にドキドキしていた。他の男子生徒とも話しているが、ボディタッチはしていない。僕に気を許しているからなのか、緊張して他の男子生徒にはできないのか。

 放課後「浩二、一緒に帰らない?」真希が誘ってくれた。「いいよ!」僕は真希と一緒に帰った。僕達のことを知らない人からすれば付き合っている男女に見えるかもしれない。歩いている時にふと真希の顔を見ると何故か緊張しているように見えた。「どうしたんだろう…、まさか…、いや、そんなこと…」そんなことを考えているうちに僕も緊張していた。

 歩いていると姉の姿が見えた。「姉ちゃんだ…。この状況見たら何て言うかな…。『彼女?』とか…」

 僕は無意識に姉から隠れた。すると、真希が「どうしたの浩二。誰かいたの?」「いや、あの…」僕は姉の姿が見えなくなるまで物陰に隠れた。

 姉の姿が見えなくなり、僕は物陰から出た。危なかった。なぜかドキドキしている自分がいた。

 「もしかして、2人でいるところ誰かに見られたくなかったの?別に気にせず堂々としてればいいんじゃない?『友達同士だよ』って」そのとおりである。アミもお兄さんと一緒にいる時、堂々としていた。そして、その男性が誰なのか話してくれた。僕もそうすればよかったと後悔してしまった。

 「ごめん。姉ちゃんがいて…。思わず隠れちゃった…」その言葉で真希は少し微笑んでいた。

 僕達は十字路で別れ、自宅へ向かった。歩いていると左後ろから視線を感じた。振り向きたかったが、振り向かず帰り道を歩いた。

 翌日以降も真希は普段通り僕に話し掛けてくれた。だが、何故か妙に意識している自分がいた。「俺、真希のこと好きなのかな…」

 金曜日、アミから返事が返ってきた。手紙を受け取り、部屋で開けた。

 「土曜日、ほんとに心配しちゃったよ。私を置いて何処か行っちゃうんだもん。大事な人が急にいなくなっちゃうみたいに…。なんて冗談はさておき、真希ちゃんっていうんだね、気になっている女の子。多分その子、浩二くんに好意持ってるよ。もしかしたら告白上手くいくかもよ。私の好きなタイプは一緒にいて落ち着く人かな。話さなくても沈黙が気にならない人というか。そういう感じの人。結婚を意識する時期になったらそういう人を探すかもね。まあ、だいぶ先の話だけど。なかなか会えないけどまた2人で食事とか行きたいね。姉と弟みたいに見えるから変に勘違いされないと思うよ。店長にも言われたの『ほんと、顔は似てないけど姉と弟だよな』って。予定が合えば誘いたいな。次はどこ行こうか?今度は私を置いて行かないでよ?それでは。  井川亜美子」

 「俺とは正反対だよな…」

 何故かそんなことを考え、勝手に凹んでいる自分がいた。何故なのかは僕にも分からなかった。

 だが、「大事な人」と「私を置いて行かないでよ?」の文字で何故か照れてる自分がいた。

 何故だろうか。

 僕はいろんな意味で捉えていたのかもしれない。
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