勇者パーティーを追放された魔法剣士は卑怯な手段でエッチに復讐する!

ヤラナイカー

文字の大きさ
5 / 42
第一章「裏切られたガンプ」

第五話:魔王討伐、しかし……。

しおりを挟む
 エリザベート姫が参加した勇者パーティーが魔王を撃破した!
 その報告が、王都中を駆け巡る。

 近々、凱旋パレードもあるらしい。
 被害のほども知らず、国民は呑気なものだ。

「近衛騎士団は、壊滅したようだな」

 見る人が見れば、モニターの映像を見たら被害のほどは察せられる。
 しかし、近衛騎士団が守りの要であるハイラント王国でそんなことが知られたら大変なことになるので、隠蔽されたのだろう。

 戦死した騎士団員の家族などにはいずれ知られるため、ずっとは隠しきれない。
 いずれ、噂が広がり騒ぎになることだろう。

 しかも、あの魔王の倒し方は……。
 いや、今更王国がどうなろうと知った事か。

 女勇者セイラが言ったとおりだ。
 もうガンプには関係ない、むしろざまあみろだ!

「あの時、俺の実力を評価しておけばと、後悔してる頃かな」

 上が愚かな決定をした結果、何も知らない民が巻き込まれるのはちょっと可哀想だけどな。
 まあ、それよりも俺はこれからの人生を生きるために、ケリを付けてやる!

「さあ、王都に戻ってこいよセイラ。たっぷりと歓迎してやるぞ」

 ガンプに時間を与えれば与えるほど、歓迎の準備は入念になっていくのだ。

     ※※※

 魔王討伐!
 積年の問題を解決した勇者パーティーであったが、その被害は目を覆うものであった。

 魔王城の玉座に突入し、体力を温存していた勇者パーティーが死力を尽くし。
 最後に、女勇者セイラ・カルマが魔王ゾーラの首を叩き斬ったまでは良かった。

 しかし、そこで気力が尽きた近衛騎士団はほうほうの体で魔界から逃げ帰る。
 根性論はある程度までは通用するが、どこまでも根性だけで人は生きられない。

 行きはよいよい帰りは怖い、とはよく言ったものだ。
 馬に与える餌もないし、そもそも人間が食えないのだから馬などみんな潰して肉として食い尽くした。

 馬車もなし、補給もなし、回復もなしの退路である。
 馬のない騎士など哀れなものだ。

「俺はもうダメだ……置いていってくれ」
「バラス、しっかりしろ! 一緒に家に帰るっていっただろ!」

 女騎士ヴァルキリアが言うように弱き者はみんな死んだ。
 そして、魔王城攻略の戦を戦い抜いた強き者ですら、死に絶えた。

 重層騎士・軽装騎士合わせて三千騎。
 補助兵、歩兵、回復術師、後方支援など合わせて二万人。

 王都に戻った時、残っている騎士はたかだか十数騎。
 補助兵は千人程度。

 もちろん近衛騎士団の団長も副団長も戦死しており、唯一残った入団して間もない若い将校が指揮しているという有様であった。
 壊滅、全滅を超えた、近衛騎士団の消滅。

「隠蔽しなさい! 絶対に表に出しちゃダメよ!」

 王都に戻った時も、あまりの状況の酷さから国民にバレないために裏門からそっと入ったくらいだ。
 騎士団が命に変えても守ろうとしたエリザベート姫のドレスですら泥だらけで、裾がズタズタに擦りむけてひどい有様だった。

 当面、国民には華々しい映像だけ見せておけばいいのかもしれないが……。
 みんなが押し黙っているので、これは自分の責任かと女勇者セイラは言うべきことを言う。

「いつまでも被害を隠して置くのは無理かと思います」
「なんでよ!」

「戦死した者には家族もいます。これだけの数の被害を完璧に隠すのは無理です」
「じゃあできる限りごまかしなさい! 王宮にはそれ用のスタッフもいるんだから、なんとかなるでしょ」

 なんとかできるものだろうか。
 意気消沈したエリザベート姫は、ねぎらいの言葉もなく軍を解散させた。

 姫を休ませようと女勇者セイラも退出しようとしたのだが、勇者パーティーは残るようにと言われた。
 一人になりたくないのだろうか。

 それとも、セイラにすがりたいのだろうか。

「そうか……」

 消滅した騎士団を出せない以上、パレードをさせるなら勇者パーティーしかない。
 まあ、セイラたちにとってそれは好都合かもしれない。

 今後もエリザベート姫の治世のために必要な存在となるなら。
 自分たちは、魔法剣士ガンプのように切り捨てられることはないだろう。

「わたくしは、父王の後継者となれる立派な姫になりたかったのです」

 弱々しい声で、エリザベート姫は言う。
 金髪碧眼の高貴な姫である。

 先程の態度はどうかと思うが、弱っているところを見ると守ってあげたいという気にさせられる。
 しかし、それに乗せられた近衛騎士団はみんな死んでしまった。

 そう考えると、この姫の美貌も魔物だなと女勇者セイラは恐ろしく思う。
 女騎士ヴァルキリアは言う。

「姫様は、立派な行いをなさいました! 見事、魔王を倒されたのですから!」

 ほんとにヴァルキリアは考えなしだ。

「どこが見事ですか、これほどの被害を出してしまって……」

 エリザベート姫は、失敗を反省できるだけヴァルキリアよりはマシかもしれない。
 セイラが横を見ると、言葉少なな聖女プリシラもため息をついている。

 プリシラも、聖女として回復魔法も蘇生魔法も使えるのに、目の前で倒れていく人々を救うことができなかったことに相当落ち込んでいるらしい。
 魔王との戦いがあったから、魔力を温存しなければならないためしかたがなかった。

「本当に、いたましい被害でした。せめて、戦死者の冥福を祈るしかありません」

 時間が経って死体が腐ってしまえば、蘇生魔法はもう使えない。
 そうでなくても、埋葬もせず放っておくと魔界の瘴気でアンデッド化してしまうため、死体をバラバラにして埋めるなどの処理するしかなかった。

 仲間であったものの遺体を解体するなど、思い出したくもない陰鬱な作業だった。
 エリザベート姫も、落ち込んだ調子で言う。

「どうして、こうなってしまったのでしょう……」

 ふと思いついたように聖女プリシラが言う。

「もしかしたら、ガンプの作戦に従っていたらこうはなってなかったのかもしれません」

 みんな、何を言い出すのかと目をむく。
 エリザベート姫が激高して言う。

「何をいいだすのですか! あのような下劣な男がいたからといって、何が変わるというのです!」
「そうでしょうか」

 聖女プリシラは、なにか抗弁しようとしたが、女勇者セイラは冷めた様子で言う。

「一番あの男を嫌っていたのはプリシラじゃないか」
「そうです。今でも嫌いですけど、ガンプがいるときはこんないたましいことは起こっていなかったなと思って」

 みんなで切り捨てておいて、いまさら何を言っているのか。
 エリザベート姫は顔を真赤にして言う。

「聖女プリシラ! ありがたいご意見に感謝します。身内からすらそんな意見が出てくるとは……ここは、報道の力によってガンプをさらに叩いておく必要があるようですね!」

 女勇者セイラは、むしろエリザベート姫のことを心配して言う。

「そんな死人に鞭打つようなことをして大丈夫でしょうか」
「大丈夫でしょう。そもそも評判の悪かった男です。さらに悪辣だったところをあげつらい、そういう意見を封殺しておく必要があります」

 そう言われては、反論することはできない。
 セイラにとってガンプは師匠であったことは事実なのだ。

 今のエリザベート姫の精神状態では変に刺激しない方がいい。
 万が一にも、セイラがガンプをかばっていると思われては困る。

 女騎士ヴァルキリアは、エリザベート姫に追従して言った。

「あの男の悪いところなら、いくらでもありますからね!」
「ええ、その時にはあなたがたもぜひ協力していただきますよ」

 近衛騎士団が消滅した今の状況で、こんなことをしている場合でもないはずなのだが……。
 こうして次は、作戦の失敗をごまかすために、次の配信ではガンプの悪いところを強調しておくという方針が決定したのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

処理中です...