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終章「英雄、ガンプ・プファイト」
第三十一話:英雄ガンプ・プファイト
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無惨にも大部分が廃墟と化した王都。
仮の王宮として建てられた大きな天幕の中央で、ガンプは豪奢なふかふかのソファーにどっしりとくつろいでいた。
「意外につまんねーな、英雄というやつも」
ガンプが飲んでいる酒や料理は良いものである。
先の国王ガイアスが同盟諸国と結んだ条約により、王国の受けた多大な被害のぶんだけ援助物資が運び込まれている。
とりあえず食う飯には困らないし、資材も輸入できているため。
そんなに時間がかからず王都は復興できることになるだろう。
しかし、人的被害ばかりはすぐには回復できない。
避難した住人や逃げ出した人々がまた戻って再建を続けているわけだが、王都の人口は十分の一となってしまった。
復興する王都も、将来の成長を見越して建てることにはなっているが、規模は三分の一となる予定である。
前のような活況をもたらすには、長い年月がかかるはずだ。
「王女にこんな格好でお酌させておいて、つまんないとは何事です。英雄ガンプ様」
お酌は、王女であるエリザベートがやっていた。
しかも、ひらひらのスカートを履かせて、その下には例の黄色い際どいエッチな下着を穿かせている。
もちろん、呪いはすでに解いてあるのでただのエッチな下着だが、ちらちら見えるむっちりとした白い尻に食い込むような紐パンは、酒の肴くらいにはなる。
ガンプはその桃尻をつるりと撫でて、鼻で笑って答える。
「前のような立派な王都なら、もっと良かったんだろうがな。街に出ても、酒場のねーちゃんにモテモテだっただろうし」
そんなことをうそぶいているガンプ。
そこに、入ってきたマッド爺さんが言う。
「ガンプ、お前さんはそんなこといって、ほんとは楽しんでおるじゃろ」
マッド爺さんは、姫様のエッチな格好に鼻の下を伸ばしながら羨ましそうにジロジロと見ている。
「なんだマッド爺さん。一緒に酒でも飲むか」
マッド爺さんの言う、楽しんでいるだろうというのは図星だった。
王都の街にいるほとんどの住人は、ガンプに自分たちが助けられたことを知っていた。
だから、街を歩けばどこでも英雄ガンプ様と褒めそやされる。
そうなることを渇望していたガンプなのだ、嬉しくないわけがない。
「ワシも一緒にいっぱいやりたいところじゃがなあ。こう見えて、ワシも忙しいんじゃよ」
魔術師ギルドを再建したマッド爺さんは、新しい筆頭王宮魔術師となったのだ。
王都の再建には魔術師の協力が欠かせない。
それで、マッド爺さんの仕事も山積している。
魔術師ギルドの窓際で暇を持て余していた以前と比べて、みんなに頼られてマッド爺さんも嬉しそうだ。
軍務大臣には、唯一生き残った騎士団長のアインがついてこちらもバリバリと仕事している。
王都の破壊は、良いことももたらした。
汚泥のように濁っていた、上層部が拭き払われたのだ。
然るべき者が然るべき地位を手に入れて、新しく生まれ変わるハイラント王国は風通しの良い国になろうとしている。
「マッド師も言ってやってくださいよ。ガンプ様は、私より酒場の女の方がいいって言うんですよ」
マッド爺さんも混ぜっ返すように言う。
「そうじゃぞガンプ。姫様をそでにしたらもったいないぞ。ワシが代わって欲しいくらいじゃ」
「エリザベートに不満があるとは言ってねえよ」
金髪碧眼の超がつくほどの美形であるエリザベート姫は、これ以上ないぐらい最高の女だ。
「だったら、何が不満なのです」
だけど、なんか怖いんだよなぁ。
いい女過ぎて、本当に手を出していいものかこの期に及んでまだガンプは躊躇している。
「エリザベート。お前はなんで、そんなに従順になった」
すでに呪いを解除したエッチな下着を身に着けてお酌をしろなんて冗談のつもりで言ったのに。
それをこなして、酔ったふりをしておっぱいをモミモミされても何も言わないのは却って怖い。
酒に毒でも入ってるのかと思えばなにもないし(ガンプは、解毒魔法を極めてるので毒を入れれば無臭でもわかる)。
俺を陰謀でハメて殺そうとしていたお前はどこに行ったと、ガンプは本気で困惑しているのだ。
「心から負けを認めたと言ったじゃないですか。私は、陰謀を張り巡らせても虚言を吐いたことは一度もありません」
「もしかして、俺を身体で繋ぎとめようとしてるってことか」
「その通りですわ。あなたは、この国を救った英雄です。しかも、私よりもずっと優秀だわ」
そう真っ直ぐな瞳で言われてしまうと、ガンプも恥ずかしい気持ちになる。
「まだ俺に利用価値があると認めてるってことか」
「私は王族です。国のために必要なことをしているだけ。この国に、あなたが必要だと思ったからそうしているのです」
その言葉は虚言ではない。
エリザベート姫は、かなりの金を使ってガンプがいかに英雄であったかということを広めようとしている。
それはつまり、ガンプと結婚して国王としようとしているということだ。
いかに国王にふさわしい男かと、国民に認めさせようとしている。
一時期のガンプは、それが夢であった。
しかし、裏切られてしまったことでひねくれてしまったガンプは、その好意がどうしても素直に受けられない。
いや、それは好意ですらないことだと知ってしまっている。
美姫の誘惑。
それが夢のように甘いものではなく、シビアな政治の話だと知ってしまっている。
「王族として、国のためにか……」
シルクのような喉越しの高級ワインをかたむけながら、ガンプはニヒルにつぶやく。
「あなたは嫌いなお父様だって、国の為を思って動いていました」
「ガイアス王が、冗談言っちゃいけない」
あいつは最期まで、自分のことしか考えてない男だったじゃないか。
「お父様がこうして同盟諸国と有利な条約を結んでいたから、わたくしたちは今食べることに困らずに生活できてるんですよ」
亡くなった国王ガイアスが結んでいた条約によって、食料や物資が大量に運び込まれている。
それがなければ、タンプも国民も明日食うものに困っていたということも事実だ
「全く俺にはついていけない世界だな。だから、エリザベート。女王には、お前がなればいい」
「わたくしが、ですか?」
「お前のような王族に、俺は成れる気がしないし成るつもりもない」
ガンプは、どうしても感情にブラされる。
いい女が欲しい、いい暮らしをしたい、そんな下世話な欲望。
そして、復讐のような動機でしか動けない男だ。
「そうですか……」
「エリザベート。お前はどう思ってるんだ」
「わたくしは負けた女ですから、ガンプ様が考えていらっしゃることには逆らえません。ただ、嘘でもこんなわたくしを女王にふさわしいと言ってくださることは嬉しく思います」
「嘘じゃねーよ。俺だって、無駄な虚言は吐かない。お世辞も言わない」
本気でそう思っているのだ。
自ら勇者パーティーに加わって戦ったエリザベートの豪胆さ。
近衛騎士団を壊滅させながら、未だに騎士たちの忠誠を集めているカリスマ。
確かに、エリザベートは大きな失敗を繰り返した。
しかし、最後の土壇場でガンプを勇者パーティーに戻して魔王を封印させることに成功している。
魔王を倒したあとも、ガンプを英雄として歓待して気分良く贅沢させている。
その選択は、まったくのところ正解だった。
用済みだとばかりにガンプを殺そうとしていれば、こんな国を滅ぼすのは造作もない。
ガンプが相反すれば、マッド爺さんだって黙っちゃいない。
何をどう勘違いしたのか、ガンプを本当の英雄だと信じ込み大変感謝しているらしい騎士団長のアインの忠節も怪しくなるだろう。
エリザベートは失敗を取り戻すように、正しい道筋を歩み始めている。
今回の挫折こそが、エリザベート姫を成長させるキッカケになった。
あと少し経験を積めば、ガンプよりもよほど良い女王になるだろう。
人の才能を見る目だけで最強の勇者パーティーを育てたガンプがそう言うのだから、これは確実にそうなる。
「ガンプ様にそう言っていただけるのを、エリザは嬉しく思います」
「俺は、こんな廃墟になった国の王などまっぴらごめんだからな。美味いところだけいただきたいもんだ」
エリザベート姫が抱かせてくれるというなら断る必要はない。
ガンプは、よりかかってくるエリザベート姫をそのまま抱き寄せて、ベッドに押し倒す。
「おいおい、ワシがまだいるのにおっぱじめんでくれよ」
マッド爺さんがそう言っても、盛り上がってしまったガンプはとまらない。
エリザベート姫もまんざらでもないように愛撫を受けて、頬を赤くしている。
やれやれと、マッド爺さんは外に出て人払いを命じるのだった。
仮の王宮として建てられた大きな天幕の中央で、ガンプは豪奢なふかふかのソファーにどっしりとくつろいでいた。
「意外につまんねーな、英雄というやつも」
ガンプが飲んでいる酒や料理は良いものである。
先の国王ガイアスが同盟諸国と結んだ条約により、王国の受けた多大な被害のぶんだけ援助物資が運び込まれている。
とりあえず食う飯には困らないし、資材も輸入できているため。
そんなに時間がかからず王都は復興できることになるだろう。
しかし、人的被害ばかりはすぐには回復できない。
避難した住人や逃げ出した人々がまた戻って再建を続けているわけだが、王都の人口は十分の一となってしまった。
復興する王都も、将来の成長を見越して建てることにはなっているが、規模は三分の一となる予定である。
前のような活況をもたらすには、長い年月がかかるはずだ。
「王女にこんな格好でお酌させておいて、つまんないとは何事です。英雄ガンプ様」
お酌は、王女であるエリザベートがやっていた。
しかも、ひらひらのスカートを履かせて、その下には例の黄色い際どいエッチな下着を穿かせている。
もちろん、呪いはすでに解いてあるのでただのエッチな下着だが、ちらちら見えるむっちりとした白い尻に食い込むような紐パンは、酒の肴くらいにはなる。
ガンプはその桃尻をつるりと撫でて、鼻で笑って答える。
「前のような立派な王都なら、もっと良かったんだろうがな。街に出ても、酒場のねーちゃんにモテモテだっただろうし」
そんなことをうそぶいているガンプ。
そこに、入ってきたマッド爺さんが言う。
「ガンプ、お前さんはそんなこといって、ほんとは楽しんでおるじゃろ」
マッド爺さんは、姫様のエッチな格好に鼻の下を伸ばしながら羨ましそうにジロジロと見ている。
「なんだマッド爺さん。一緒に酒でも飲むか」
マッド爺さんの言う、楽しんでいるだろうというのは図星だった。
王都の街にいるほとんどの住人は、ガンプに自分たちが助けられたことを知っていた。
だから、街を歩けばどこでも英雄ガンプ様と褒めそやされる。
そうなることを渇望していたガンプなのだ、嬉しくないわけがない。
「ワシも一緒にいっぱいやりたいところじゃがなあ。こう見えて、ワシも忙しいんじゃよ」
魔術師ギルドを再建したマッド爺さんは、新しい筆頭王宮魔術師となったのだ。
王都の再建には魔術師の協力が欠かせない。
それで、マッド爺さんの仕事も山積している。
魔術師ギルドの窓際で暇を持て余していた以前と比べて、みんなに頼られてマッド爺さんも嬉しそうだ。
軍務大臣には、唯一生き残った騎士団長のアインがついてこちらもバリバリと仕事している。
王都の破壊は、良いことももたらした。
汚泥のように濁っていた、上層部が拭き払われたのだ。
然るべき者が然るべき地位を手に入れて、新しく生まれ変わるハイラント王国は風通しの良い国になろうとしている。
「マッド師も言ってやってくださいよ。ガンプ様は、私より酒場の女の方がいいって言うんですよ」
マッド爺さんも混ぜっ返すように言う。
「そうじゃぞガンプ。姫様をそでにしたらもったいないぞ。ワシが代わって欲しいくらいじゃ」
「エリザベートに不満があるとは言ってねえよ」
金髪碧眼の超がつくほどの美形であるエリザベート姫は、これ以上ないぐらい最高の女だ。
「だったら、何が不満なのです」
だけど、なんか怖いんだよなぁ。
いい女過ぎて、本当に手を出していいものかこの期に及んでまだガンプは躊躇している。
「エリザベート。お前はなんで、そんなに従順になった」
すでに呪いを解除したエッチな下着を身に着けてお酌をしろなんて冗談のつもりで言ったのに。
それをこなして、酔ったふりをしておっぱいをモミモミされても何も言わないのは却って怖い。
酒に毒でも入ってるのかと思えばなにもないし(ガンプは、解毒魔法を極めてるので毒を入れれば無臭でもわかる)。
俺を陰謀でハメて殺そうとしていたお前はどこに行ったと、ガンプは本気で困惑しているのだ。
「心から負けを認めたと言ったじゃないですか。私は、陰謀を張り巡らせても虚言を吐いたことは一度もありません」
「もしかして、俺を身体で繋ぎとめようとしてるってことか」
「その通りですわ。あなたは、この国を救った英雄です。しかも、私よりもずっと優秀だわ」
そう真っ直ぐな瞳で言われてしまうと、ガンプも恥ずかしい気持ちになる。
「まだ俺に利用価値があると認めてるってことか」
「私は王族です。国のために必要なことをしているだけ。この国に、あなたが必要だと思ったからそうしているのです」
その言葉は虚言ではない。
エリザベート姫は、かなりの金を使ってガンプがいかに英雄であったかということを広めようとしている。
それはつまり、ガンプと結婚して国王としようとしているということだ。
いかに国王にふさわしい男かと、国民に認めさせようとしている。
一時期のガンプは、それが夢であった。
しかし、裏切られてしまったことでひねくれてしまったガンプは、その好意がどうしても素直に受けられない。
いや、それは好意ですらないことだと知ってしまっている。
美姫の誘惑。
それが夢のように甘いものではなく、シビアな政治の話だと知ってしまっている。
「王族として、国のためにか……」
シルクのような喉越しの高級ワインをかたむけながら、ガンプはニヒルにつぶやく。
「あなたは嫌いなお父様だって、国の為を思って動いていました」
「ガイアス王が、冗談言っちゃいけない」
あいつは最期まで、自分のことしか考えてない男だったじゃないか。
「お父様がこうして同盟諸国と有利な条約を結んでいたから、わたくしたちは今食べることに困らずに生活できてるんですよ」
亡くなった国王ガイアスが結んでいた条約によって、食料や物資が大量に運び込まれている。
それがなければ、タンプも国民も明日食うものに困っていたということも事実だ
「全く俺にはついていけない世界だな。だから、エリザベート。女王には、お前がなればいい」
「わたくしが、ですか?」
「お前のような王族に、俺は成れる気がしないし成るつもりもない」
ガンプは、どうしても感情にブラされる。
いい女が欲しい、いい暮らしをしたい、そんな下世話な欲望。
そして、復讐のような動機でしか動けない男だ。
「そうですか……」
「エリザベート。お前はどう思ってるんだ」
「わたくしは負けた女ですから、ガンプ様が考えていらっしゃることには逆らえません。ただ、嘘でもこんなわたくしを女王にふさわしいと言ってくださることは嬉しく思います」
「嘘じゃねーよ。俺だって、無駄な虚言は吐かない。お世辞も言わない」
本気でそう思っているのだ。
自ら勇者パーティーに加わって戦ったエリザベートの豪胆さ。
近衛騎士団を壊滅させながら、未だに騎士たちの忠誠を集めているカリスマ。
確かに、エリザベートは大きな失敗を繰り返した。
しかし、最後の土壇場でガンプを勇者パーティーに戻して魔王を封印させることに成功している。
魔王を倒したあとも、ガンプを英雄として歓待して気分良く贅沢させている。
その選択は、まったくのところ正解だった。
用済みだとばかりにガンプを殺そうとしていれば、こんな国を滅ぼすのは造作もない。
ガンプが相反すれば、マッド爺さんだって黙っちゃいない。
何をどう勘違いしたのか、ガンプを本当の英雄だと信じ込み大変感謝しているらしい騎士団長のアインの忠節も怪しくなるだろう。
エリザベートは失敗を取り戻すように、正しい道筋を歩み始めている。
今回の挫折こそが、エリザベート姫を成長させるキッカケになった。
あと少し経験を積めば、ガンプよりもよほど良い女王になるだろう。
人の才能を見る目だけで最強の勇者パーティーを育てたガンプがそう言うのだから、これは確実にそうなる。
「ガンプ様にそう言っていただけるのを、エリザは嬉しく思います」
「俺は、こんな廃墟になった国の王などまっぴらごめんだからな。美味いところだけいただきたいもんだ」
エリザベート姫が抱かせてくれるというなら断る必要はない。
ガンプは、よりかかってくるエリザベート姫をそのまま抱き寄せて、ベッドに押し倒す。
「おいおい、ワシがまだいるのにおっぱじめんでくれよ」
マッド爺さんがそう言っても、盛り上がってしまったガンプはとまらない。
エリザベート姫もまんざらでもないように愛撫を受けて、頬を赤くしている。
やれやれと、マッド爺さんは外に出て人払いを命じるのだった。
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※小説家になろうにも掲載しています。
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