婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai

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また呼び出し!?


 あれから1週間、冒険者ギルドに行ってロドリグさんのお店に行ってを繰り返して過ごしている。

 ソビェスさんには大分負担をかけているがアイテムボックスの中の魔物はかなり少なくなったし、ロドリグさんのところでは倉庫に大森林で採取した木や金属などの素材を出し、詳細な家の見取り図が完成し、今は壁紙や細工などの細かい部分のデザインを相談して決めているところだ。
 魔物の解体が全て終わって、家についての詳細が全て決まって建築に入れる状態になったらまた大森林に帰ろうと思っている。
 次に町に来るのがいつになるのかはわからないけど、次にきた時には家が完成していて住める状態になっていればいいんだけれど。
 一応次に町に来る時には大森林で家具を作っていっぱい持ってこよう。

「ソビェスさん、今回の滞在での解体はこれで最後です!」

 私はアイテムボックスに入っている魔物を全て出した。

「おぉぉ! これで最後かっ! やっと、やっとっ!」

 涙を流して小躍りしそうなほど喜ぶソビェスさんに魔物を託し倉庫を出ると、ナディアさんに呼び止められる。

「リアさん! ちょっといいですか?」

「ナディアさん! どうしたんですか?」

「実は領主様からリアさんが来たら屋敷にくるように伝えてと連絡があって」

 え? なんでだろう。領主様に呼ばれるなんてこの前の皇妃様の件しか思い浮かばない。

「ナディアさんありがとう! とりあえず行ってみますね!」

 冒険者ギルドを出てその足で辺境伯邸へと向かう。

「Aランク冒険者のリアと申します。領主様に呼ばれて参りました」

 領主邸の門番さんは領主様に話を聞いていたのか、私がノアとネージュを連れているから間違いないと思ったのか、すぐにメイドを呼んで通してくれる。

「こちらでお待ちください」

 豪華な客室に通されソファに座る。本来冒険者に使うような客室じゃないけど、きっと皇妃様のことがあったからここを用意してくれたのだと思う。

 美味しいお茶とお菓子をいただいてしばらく待っていると、「いや、待たせてすまないね」と領主様が1人でスタスタと部屋に入ってくる。
 後ろからお付きの人が急いで追いかけてきているが全く気にしていない。
 貴族らしくないといえばそうなんだけど、こういう畏まっていないところが領主様は良いわよね。

「単刀直入に言うが、また帝都へ向かってもらいたい」

 え!? なんで!?
 この前行ったばかりだし、むしろ今は大森林に帰る途中で町に寄っただけなのだけれど……。

「まさか……、また皇妃様に何か!?」

 きっちり治したつもりだったのだけど、他に帝都に呼ばれる理由が思いつかない。

「いや、皇妃様は問題ないと思う。詳しい内容は聞いていないが、この間のように差し迫ったような感じではなかった」

 ほっ……、よかった。

 でもだったら尚更帝都に呼ばれる理由がわからないが、とにかく行ってみるしかないだろう。

 領主様から手紙を受け取り領主邸を後にした。







「ということで、また帝都に向かうから」

 それを聞いたノアとネージュは驚きで口を大きく開けた後、ピーピーと騒ぎ始める。

「久しぶりの大森林がっ!!!」

「あぁぁっ! 狩り三昧がっ!!!」

 よほどショックだったのだろう。ガックリと肩を落とし、頭もしょんぼりと下がっている。

「くっ! こうなったら帝都に魔法を一発……」

「脅しをかけて……」

 聞こえてるわよ!?

 今回はそんなに重大じゃないと聞いているからすぐに帰って来れるはず、帰ってきたら目一杯狩りを楽しめばいいと慰めるが、それでも文句が止まらない。

 「もうっ! 王宮から連絡が来たんだから仕方ないでしょ! どうにもできないのにそんなに文句を言うなら今日はお肉は抜きねっ!」

 お肉抜き。
 その一言を聞いた瞬間にあれだけブツブツと文句を言っていた2匹の口がピッタリと閉じる。

「も、もう言わないっ!」

「俺ももう文句言わない! だから肉だけはっ!」

 うるうるとした瞳で見つめられ、仕方ないなぁ、とため息をつく。

「よし、すぐに帝都に向かおう!」

「そうだ! さっさと終わらせよう!」

 さっきと打って変わり今にも飛び立ちそうな2匹を止めにかかる。

「まって! 家のこととか、解体頼んでる魔物とか、宿とか、話してから行かないと!」

 そう言うと、じゃあ今すぐ済まそうと2匹に追い立てられて歩き出す。

 家についてはもうほとんど決め終わっているので細かいところはロドリグさんに任せることにし、また街を離れると伝える。
 解体を頼んでる魔物についてはソビェスさんに今回は肉も買取に出すと伝える。何日も受け取れなかったら肉が傷んでしまうからね。
 宿には急だが今日部屋を出ることを伝えた。

「よしっ! これでもう出発できるな!」

 門を出て、さぁ乗れ! と伏せるノアに跨ると途端に駆け出し空へ舞い上がる。

「ちょっ! 待っ……!」

 どうやら帝都に向かうのが避けられないなら、最速で終わらせて帰ってこようという考えになったようだ。
 そのおかげで帝都にはあっという間に着いたのだが、スピード出し過ぎ! と怒られたノアはお肉抜きの刑になるのだった。
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