醒め遣らぬ

三人目－小夜－

水面に映し出された黄色は
醜く歪んでいた。

まるでわたしね。


13歳だったわたしは
たった一人の大好きな姉を自殺に追いやった。

中学に入って、現れたわたしの王子さまは
お姉ちゃんのことが好きだった。

仕方ないと思った。お姉ちゃんだから許せた


それなのに。


お姉ちゃんの王子さまは
お姉ちゃんが恋してはいけない人だった。

お姉ちゃんの恋人は、学校の先生だった


許せなかった。


その黄色は、わたしをめちゃくちゃにした。


わたしの王子さまの心を奪っておいて。
お姉ちゃんは
いけないことをしている。


絶対に許さない。


気がつくと、辺り一面にあの花が咲いていた。
「ムーンプリンセス」

バラの花には、棘がある。


お姉ちゃんと先生の写真をばらまいた。
先生は学校を辞めた。
お姉ちゃんは首を吊った。


－純粋で、無邪気すぎるが故に－


♪今宵ノ夢ハ誰ノ夢 忌々シイ紅ニ染マッテ燃エタ彼岸花ノ夢