お母さん、私のなまえ覚えてる?

LIN

文字の大きさ
7 / 10
それぞれの思い

お姉さんの思い

しおりを挟む
私はいつものようにお店で仕事をしていた。

ある日、女の子が化粧品コーナーで俯いたままずっと立っているのに気が付いた。

(何か探しているのかな?)

私は暫くその子を観察していた。ニキビだらけの女の子を見て昔の自分を思い出して、他人事のように思えなかったんだ。

帰ろうとしたその子に話しかけたら、メイクに興味があるみたいだった。まずはニキビを治してからの方がいいと思って、私が昔使っていた化粧水を勧めた。


その子が帰ったあと、私は考えていた。

(あれくらいの歳の子だと、普通お母さんと一緒に来るよね…?それか友達と一緒に来ると思うんだけど…)

寂しそうに俯いて、話しかけた私に嬉しそうに笑ったあの子が気になっていたんだ。


力になってあげたいと思って読み終えた雑誌をあげたら、あの子は雑誌を抱きしめて帰って行った。それがなんだか可愛く思えた。


私のあげた雑誌を持って、あの子は同じ様にメイクがしたいと恥ずかしそうに言っていた。

子供のお小遣いでも買える値段のアイシャドウを選んだ。


次に来たあの子はアイメイクをしていた。少しだけ歪だったけど、きっと何回も練習したんだろう。その日は化粧水と、同じアイシャドウを買って帰っていた。

どんどん痩せて肌も綺麗になっていくのに、あの子はいつも寂しそうに一人で来ていた。気になるけど、私にはお店に来たあの子に話しかけてあげることしか出来ない。


そんなある日、あの子が友達を連れてお店まで来てくれた。

高校の友達だと言ったあの子は、初めて見るすごく嬉しそうな笑顔だった。

それから毎回その友達とお店に来るようになって、アイシャドウだけじゃなくて他の化粧品も買うようになっていった。

(友達が出来て良かったね)

最初の頃とは比べ物にならない位に明るくなったあの子を見て、私は嬉しかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

妹の初恋は私の婚約者

あんど もあ
ファンタジー
卒業パーティーで、第一王子から婚約破棄を宣言されたカミーユ。王子が選んだのは、カミーユの妹ジョフロアだった。だが、ジョフロアには王子との婚約が許されない秘密があった。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

美人な姉と『じゃない方』の私

LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。 そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。 みんな姉を好きになる… どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…? 私なんか、姉には遠く及ばない…

処理中です...