シンママの私と、元地味眼鏡くん

吉野葉月

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六話※

 イヴァンは机と椅子の間に着ていた制服のジャケットを広げた。おそるおそる寝転べば、固いはずの床はジャケットを介し、羽毛布団のようにふんわり柔らかくなっていた。

「このジャケット、こんなにふわふわだったかしら」

「……寒がりだから特注だよ」

 彼はネクタイを緩め、私のシャツのボタンも外していく。開かれたシャツから素肌があらわになり、緊張と不安で心臓が速く打ちつける。

「夢かな……」

「?」

 イヴァンは自分のシャツも脱ぎ捨てて、上半身裸になった。
 私は息を呑んだ。
 彼に突出した運動の才能はないと思っていたのに、引き締まった男らしい肉体をしていたから。

 日が落ちて教室の中は薄暗さを増してきた。彼は眼鏡を外すと、机の上に置いた。

「見えるの?」

「……夜目が効くんだ」

 イヴァンは前髪をかき上げ、私の身体にそっと触れる。初めての男の人の手は、少しカサついていてひんやりとしていた。

「痛かったら言ってね」

「……うん」

 彼は頬に軽くキスすると私の上にまたがって、大きな手で感触を確かめるように乳房を揉み出した。

「わ……」

 さっきまで話していたクラスメイトの男の子が、見慣れた教室で私と裸で睦事をしているという事実は、なんとも不埒に思えた。その相手が不良たちでなく、真面目で無口なイヴァンだということが、さらに私を興奮させる。

「あっ」

 イヴァンは胸の頂に喰らいついて、舌で先端を転がした。熱い舌が、私の尖りを高めていく。

「……」

 彼は何も言わないまま、もうひとつのふくらみも指で弄り始めた。痛みとは違う繊細な刺激が、彼の手によってもたらされる。

 こんなこと、どこで覚えたのだろう。
 子どもが欲しいとは言ったけれど、私は口づけからその先を知らない。全てを彼に委ねるしかできない。

 イヴァンは唇を胸から離し、なぞるように下へと動かした。下着を下ろすと、閉じている私の脚を両手で大きく開かせた。

「だめっ! 見ないで!」

 恥ずかしさのあまり手で覆い隠したが、彼はひとまとめに手首で掴んで、股の間を覗き込んだ。

「あぁぁ……」

 誰にも見せたことがない秘密の場所が、ばっちり見られている。私は羞恥のあまり目を伏せた。

「もっとよく見せて」

「やだ……汚いし」

「汚くないよ」

 イヴァンは薄い下生えをかき分けると、真ん中に人差し指を突っ込んだ。

「きゃあっ」

 ほんの少しだけ差し入れて、中で掻くように動かした。自分の中で、彼の指が動いているのが如実に分かって、私は顔が真っ赤になった。

「な、なに……? やめて」

「子ども、欲しいんだよね。大きい声出しちゃだめだよ」

 イヴァンは私の脚の間から顔を出して、熱を帯びた目で見上げた。

「……っ」

 私はどうすることもできなくて、目の前の彼にただ従う。膣の中に入れる指を増やしてかき混ぜると、私の身体の内側から淫らな水音が聞こえてくる。

「ひっ……あっ……」

 恥ずかしいところからどんどん蜜があふれ、彼の指が快感を与えていく。私は快感から逃れようと、無意識に身体を動かしていた。
 後頭部がガンッと机の脚に当たった。

「!!」

 大きな音がして、私イヴァンも動きを止めた。
 けれども、ひとけのない校舎には少しの音でも大きく響いてしまうのだ。
 
「おい、まだ誰か残ってんのか」
 
 廊下を見回りする先生の足音が、だんだんこちらへ近づいて来た。
 
「しっ」
 
 イヴァンは私の口元を唇で塞いだ。

「……」

「……」

 彼と目が合う。
 澄んだ黒い瞳は宇宙のようで、吸い込まれそうに美しい。

「いないのか?」

 先生は廊下から何度か呼びかけていたが、やがて階段を下って行ってしまった。
 耳を澄まして足音が完全に聞こえなくなるのを待って、イヴァンはベルトをカチャカチャと緩めた。
 
「時間がないね」

 トラウザーズを下げた彼の下半身には、見たこともない形状のモノがそそり立っていいた。
 清らかなイメージのイヴァンには似つかわしい、赤黒くて卑猥なもの。

「……」

 私はつばを飲み込んだ。
 これをどのように工夫すると子どもができるのか、詳しくは知らない。勉強ばかりしていてそっちの知識には疎い。イヴァンも同じだと思っていたのに、多分、この様子だと知っているのだ。
 怒張した性器にそっと手を伸ばすと、ビクンと震えて固さを増した。イヴァンは堪えたように呻き声を上げると、私の手を再び取って床へ押さえつけた。

「どうするの?」

「……挿れる」

 ボソッと呟くと、私の濡れそぼった膣口に硬い彼自身を当てがった。

「何を……っ!?」

 言おうとした私の身体に、ずしりと重い熱杭が刺さった。

「……っ!!」

 私の身体の内側に何かが、ギチギチに詰め込まれようとしている。

「い、痛い」

「我慢しよ」

 指とは比べものにならない太さの男根が、隙間をこじ開けるように奥へ進む。あまりの圧迫感に、自然と涙が溢れ出す。

「……んんっ」

「息を吐いて、ローズ」

 彼の言葉に従うと、一瞬の隙を突いて、熱い槍は私の最奥を貫いた。

「あぁーーっ!」

 イヴァンはすぐに入り口近くまで引き抜いて、また中へと挿入する。

「あっ、あっ」

 内側が、忌々しい肉棒によって擦られる。苦しくてしんどいのに、衝撃で声が溢れ出す。

「あぁっ……!」

 強い突きで他のことが考えられなくなってしまう。
 思考がどんどん奪われる。

「ひっ……うっ……やめ……あっ」

「見つかるよ、ローズ」

 イヴァンはまたしても私の唇を塞いだ。口内に、彼の舌が侵入する。やっとの思いで息をしている私の声を、口で奪う。

「んっ……!」

「静かにしようね」


 上では舌が、下半身では男性器が、私の身体を蹂躙する。繰り返し与えられる甘い刺激に、腰が砕けてしまいそう。
 逃れたくて腰が引けてしまう私を、イヴァンは見逃さない。

「逃げないよ」

 机の上からネクタイを取ると、私の両手を机の脚に結びつけた。
 武器を持てない私の身体は、完全に彼のものになったみたい。縛られた私に、彼は容赦なく抽挿を繰り返す。

「こ、こんなことも必要なの……?」

「……」

「みんなこんなことしてるの?」

「……」

 彼が口数少ないのはいつものことだけど、今日の彼はいつもとはどこか違う。

「僕の……趣味? ……いや、何としてでも、君の願いを叶えたいから……」

 イヴァンは息を切らしながら、腰を揺らし続ける。

「願い……」

「君の役に……立ちたい……」

 彼にはいつも勉強を教えてもらっている。充分役に立っていると思う。

「立ってるよ。イヴァンはすごい人だよ」

「……勉強、だけじゃなくて……っ!」

「あ……っ!」

「出るっ」

 突如、イヴァンは腰の動きを速めた。
 激しく突かれると身体の中が燃えるように熱くて、中が爛れしまいそう。

「と、とにかく、時間がないから出すよ、いいね」

「う、うん」

「後戻りはできないからね……!」

「ん……!」

「……」

 イヴァンは言葉を話すことをやめ、最奥に熱を放った。ドクドクと飛沫が注がれる。

「……できるかな」

「できるよ」

 イヴァンは眼鏡をかけ直し、息を整えながら何故か堂々と言い切った。

「ローズに似たら可愛いんだろうな……」

 額の汗が、私の胸元にぽたりと落ちる。役目を終えたものを抜いて、私の身体も清拭してくれた。

「考えたくないけど、もし万が一僕の性質を継いでしまったら、慌てないで欲しいんだ」

「性質?」

「僕はこの症状に、散々苦しめられてきたから……」

 イヴァンは胸を抑えながら、気まずそうに言った。
 
「もし重大な発作が起こったら、ゆっくりぎゅっと抱きしめてあげて欲しい。発作の強さは心拍数と関係があるから、落ち着けば治まる。いいかい、慌てないで対応すれば大丈夫だからね」

「……?」

 イヴァンは珍しく饒舌だ。よほど心配な持病があるらしい。

「何それ、大丈夫なの?」

「大丈夫。命には関わらない」

 私に服を着せ終わると、そのまま前から抱きしめた。汗の入り混じった彼の香りがする。背中に回された手のひらが、シャツをぎゅっと握りしめた。

「また会おうね」

 午後十時。
 静まり返った校門を手を繋いで二人でくぐった。

 恋人同士みたいな、最初で最後の夜だった。 
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