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エピローグ(一)
ドンドンドン、と慌てて扉を叩く人がいた。
二階でリュシアンの寝かしつけをしていた私は、物音に驚き、急いで階段を駆け下りた。
「何事ですか?」
「あぁ、ローズ様」
玄関に来てみると、十代半ばかと思われる少年が青ざめた顔で立っていた。細かい装飾の施された、きちんとしたジャケットを羽織っている。
「お前が、イヴァン・フェリクスの妻か?」
「そうですけど……」
グレーの髪、くすんだ黄土色の瞳を持つ彼の顔をじっと見つめてみたが、私には見覚えがない。
「フェリクスが魔力を制御させたって、本当か?」
「えっ!?」
どこで情報を仕入れたのだろう。
「そうですが……でも、ずいぶん前のことで」
思い出すと顔から火が吹き出しそうになるから、あまり思い出したくはない。
イヴァンが魔力を制御したのは学生を卒業する頃で、関わりのある多くの人間は制御できるイヴァンしか知らないはずだ。
それ以前の友人たちは、そもそもイヴァンが魔法使いであることを知っているのすら稀だ。外見が様変わりしているし、貴族と平民では関わりが少ない。
少年は腕を組んで、まじまじと私を見つめている。
「ていうことはつまり、ヤッたんだよな」
「……まぁ……」
ストレート過ぎる。
隣に執事もいるのに、顔が見れない。
「なんでぼくは……」
よく見れば、少年は拳を握りしめぷるぷる震えていた。もしかして彼も魔力保持者なのか。
「ど、どうしたのですか? お話なら伺いますよ。私に協力できることがあれば」
うつむく少年の目には涙が浮かんでいる。
執事は何かに気がついて、執務室で書類仕事をしているイヴァンに向かって咄嗟に声を上げた。
「坊ちゃま! 聞こえますか! 今すぐ球体結界をお張りください!」
「え?」
「うわあああああん!!」
少年は急に泣き出した。
私たちの周りを円描くように半透明な球状の結界が張られ、同時に結界の中にある花瓶や薪がからパチパチと火花が上がりだした。
「何これっ!?」
「せ、性行為、したのにー! 頑張ってやったのに!! 魔力が、収まらないよぉー!!」
二階でリュシアンの寝かしつけをしていた私は、物音に驚き、急いで階段を駆け下りた。
「何事ですか?」
「あぁ、ローズ様」
玄関に来てみると、十代半ばかと思われる少年が青ざめた顔で立っていた。細かい装飾の施された、きちんとしたジャケットを羽織っている。
「お前が、イヴァン・フェリクスの妻か?」
「そうですけど……」
グレーの髪、くすんだ黄土色の瞳を持つ彼の顔をじっと見つめてみたが、私には見覚えがない。
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「えっ!?」
どこで情報を仕入れたのだろう。
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思い出すと顔から火が吹き出しそうになるから、あまり思い出したくはない。
イヴァンが魔力を制御したのは学生を卒業する頃で、関わりのある多くの人間は制御できるイヴァンしか知らないはずだ。
それ以前の友人たちは、そもそもイヴァンが魔法使いであることを知っているのすら稀だ。外見が様変わりしているし、貴族と平民では関わりが少ない。
少年は腕を組んで、まじまじと私を見つめている。
「ていうことはつまり、ヤッたんだよな」
「……まぁ……」
ストレート過ぎる。
隣に執事もいるのに、顔が見れない。
「なんでぼくは……」
よく見れば、少年は拳を握りしめぷるぷる震えていた。もしかして彼も魔力保持者なのか。
「ど、どうしたのですか? お話なら伺いますよ。私に協力できることがあれば」
うつむく少年の目には涙が浮かんでいる。
執事は何かに気がついて、執務室で書類仕事をしているイヴァンに向かって咄嗟に声を上げた。
「坊ちゃま! 聞こえますか! 今すぐ球体結界をお張りください!」
「え?」
「うわあああああん!!」
少年は急に泣き出した。
私たちの周りを円描くように半透明な球状の結界が張られ、同時に結界の中にある花瓶や薪がからパチパチと火花が上がりだした。
「何これっ!?」
「せ、性行為、したのにー! 頑張ってやったのに!! 魔力が、収まらないよぉー!!」
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