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勇者の姿の魔王編
フィリアの願い
しおりを挟む勇者(魔王)「なぁフィリアよ、ここがイリの村か?ずいぶんと荒れているが…」
フィリア「おかしいですね…屋根がなく、家の壁まで壊されて、村の人々もいないだなんて…」
勇者(魔王)「うむぅ…とりあえず何があったのか調べてみるとするか」
フィリア「あ、勇者様ー!こっちにたくさんの人の気配がしますよ!」
勇者(魔王)「おぉ!よくやった!ではさっそく」
フィリア「あ!ちょっと待ってください!」
勇者(魔王)「おっ?どうかしたのか?」
フィリア「魔物です。魔物がいます。一匹…二匹…三匹です!」
勇者(魔王)「なんだ三匹か、種族は何かわかるか?」
フィリア「すみません。そこまでは…」
勇者(魔王)「まぁ良い、とりあえず行くか?」
フィリア「行く?って!あっちょっと待ってくださいよー!相手は三匹でどんな魔物かもわからないんですよ!?」
勇者(魔王)「魔物なんぞ普通に寄っていけば何にも怪しまれまい」
フィリア「えぇーーさすがに勇者様でもそれは……仕方ありません。勇者様を信じますよ!」
勇者(魔王)「おう!任せておけ!」
強くドアが開いた。
ドーーーーーーン!
魔物「な、何者だ!」
勇者(魔王)「おうおう、どうした?なーんだ、オークではないか。相も変わらずごっつい顔だなぁ?」
オーク1「あぁ!何!?」
オーク2「な、なぁ、あの喋り方にあのセリフ!」
オーク3「ま、ま、間違いない!魔王様だ!また一晩中ゴブリン共と酒を飲まされる!に、逃げろーー!」
勇者(魔王)「お、おいおい何故逃げるんだ、あぁ行ってしまったな
フィリアよ、もう入ってきても良いぞ?」
フィリア「あ、あの~勇者様?今、いったい何をなされたんですか?」
勇者(魔王)「少しだけ話をして分かる相手だったらいいなと思い、話しかけに行っただけなんだが…。
まぁフィリアよ、ドアの前でずっと立ってても仕方がない。こっちに来てここに捕まっている人たちを救うぞ」
フィリア「(いつもの勇者様なら容赦なく切り掛かっているのに……)」
ガチャ、ガチャ
村の住民「助かったよ!ありがとう!
その姿…もしかして君は勇者かい?もしそうなら長老様に……」
勇者(魔王)「ん?我はいかにも勇者だが何か用でもあるのか?」
村の住民「ほ、本当ですか!?言い伝えは本当だったんだ!後で村の広場まで来てください!では!」
勇者(魔王)「ん?言い伝え?」
フィリアよ「勇者様、ここの村には昔からこのような言い伝えがあるようなのです」
「闇を払いし者現れし時、悪を払うべし術を教えよ、さすれば世界の闇は晴らされるであろう」
フィリア「きっと、ここの村の人々は勇者様がこの村に来た事を知った今、言い伝えに基づき勇者様に「闇を払いし力」つまり、魔王を倒すために必要な術を教えてくれるのではないでしょうか?」
勇者(魔王)「ふむぅ、なるほど…つまり、魔王を倒すのがより楽になるという事だな?」
フィリア「ふふっ今のような気楽な勇者様も私は好きですよ。
ですが勇者様の事です。
きっと何か深い悩みでもあるのでしょう…このフィリアも勇者様の力になれる事でしたらなんでも致します!
なので…どうか……私から離れないで…欲しいです…もう…大切な勇者様を守れないだなんて嫌ですから…」
勇者(魔王)「お、おいフィリアよ。私はここから居なくなりもしないし、ましては、あんな魔王なんかに負ける気も全く無い!
だからな、安心しろ。
お前の過去に何があったのか聞かない。だから今の自分を、今の時間を、今の勇者である私との時間を、楽しもうではないか、なぁフィリアよ」
フィリア「全く勇者様ったら、もう!分かりました!約束です!魔王との戦いで必ず勝ってください!」
勇者(魔王)「おう!任せておけ!
お前の笑顔、大好きだぞ」
フィリア「もう!勇者様っ!」
勇者(魔王)「ガハハハ、村の者たちが呼んでいる!我々も行こうではないか」
フィリア「はいっ!勇者様!」
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