不思議な国の妖怪少女〜君と僕たちの物語

かな

文字の大きさ
1 / 2

プロローグ

しおりを挟む
あなたたちの世界での常識は、この世界では不必要。必要なのは、どんな事が起こっても、決して弱気になる事の無い、強い覚悟。

大きな物が小さくても、小さなものが大きくても、はたまた、目の前に突然、巨大化した虫が現れても……

決して怯まない、とても強い覚悟。

それさえあれば、この世界に見捨てられる事は無いだろう。ただ、一度でもその世界に入ってしまうと、決して出る事は許されない。

この世界から出るには、この世界を作り出したを殺すか、この世界から逃げだす自殺以外に、方法は無い。



_____________________________

学校が終わり、馴染みの友達と別れてあとは家に帰るだけ。一人暮らしの俺は家に帰る時間なんて考えなくてもいいから、すこし近くのゲームセンターで遊んでから帰る事にした。

空も暗くなった頃、俺はゲームセンターを出てすこし人通りの少ない路地を歩いていた。この道は俺がよく使う道で、多くの人が使う大通りよりも断然この道を使ったほうが家に着くのが早いのだ。

この時間のこの道を通る人など普段はいないはずなのだが、今日は珍しく、何処となく不思議な雰囲気をした少女と小さな子猫がいた。その子は見た感じでは、俺よりも幼く見える。それに子猫と戯れているところを見る限り、野良猫についてきてこの道に来てしまったと言うところだろう。

どうやら子猫が俺に気づいた様で「にゃ~♪」と呼び掛けてきた。子猫の鳴き声につられて少女もこちらを見てきた。少女がこちらに振り向いた瞬間、俺は感じた事をふと口に出してしまった。

「目の色が違う」
「お兄さんどうしたの?もしかして子猫ちゃんと遊びたいの?」
「え、あ、あぁ。お兄さんも撫でていい?」

幸い少女には声が聞こえなかった様で、上手くごまかせた。こんなご時世、目の色が違うという理由で、この子が学校などでいじめられているかもしれない。そんな子にいきなり目の色が違うなどと言っては可哀想だ。

「子猫ちゃん。お兄さんも一緒に遊びたいって、どう?」

少女は子猫にそう呼びかけると、子猫は嬉しそうに鳴いた。すると少女は子猫の言葉が分かるかの様に子猫と会話した後「3人で一緒に遊ぼ!」と元気に声を掛けてきた。

その後、俺は少女達と共に、時間を忘れるほど遊んでいた。すっかり外が暗くなってしまった頃に俺はふと思った事を少女に問いかけた。

「そういえば、もう夜遅くになるけど君は家に帰らなくてもいいの?」
「ん~。今から帰るとまたお兄ちゃんに怒られちゃう……。私怒られたく無い。でもお家に帰りたい。あっでも!お兄さんも一緒に付いてきてくれるなら、私がんばれる!」

どうやらこの子にはお兄さんがいる様だ。家に帰ると待っていてくれる人がいるというのが、とても素晴らしいことだと一人暮らしをし始めてからようやく気付いた。悲しくも俺には、家で待つ人がいないからすぐに家に帰らなくても良い。この子を家まで送ってから俺は家に帰ることにした。

「よし分かった。もう暗いし攫われたらもっと大変だ。俺が家までついて行ってやる。」
「お兄さんありがとう!それじゃあ案内するね♪」

俺はその子に案内されるがまま、自分の家とは正反対の方向へと歩いて行った。少女の通る道は先ほどの様な細い道ばかり。そして細い道を通り抜けて、着いた場所は・・・え、森?

「私のお家はこの奥だよ~♪」

仕方なく、言われるがままについて行くと次は大きな木の前に出た。少女はここが家だというが、どう考えても俺の知っている家では無い。ツリーハウス?と思い木の高い位置を見てもそんな物は見当たらない。

「お兄さんごめんね。ちょっと目を閉じててね」

俺はそう言われて目を閉じたら何者かに手を触れられた。この場にいるのは俺と少女だけだ。つまり俺の手を握ったのは少女だ。しばらくすると少女は手に力を込めて「えいっ!」と叫んだ。

すると、なぜか宙に浮く様な感覚に見舞われ、俺は慌てて目を開こうとするが、なぜか目は開かない。俺は得体の知れない恐怖のせいか、いつの間にか少女の手を強く握り返していた。


_________________________

これは不思議な物語。でもこれは単なるおとぎ話では無く、本当にあった出来事さ。いつか君も、きっとこの世界に訪れる。その時に君は、この物語が本当の事だと気付くだろう。

忘れないでね?あなたたちの世界での常識は、この世界では不必要。必要なのは、どんな事が起こっても、決して弱気になる事の無い、強い覚悟。

それさえあれば、この世界に見捨てられる事は無いだろう。ただ、一度でもその世界に入ってしまうと、決して出る事は許されない。

この世界から出るには、この世界を作り出したを殺すか、この世界から逃げだす自殺以外に、方法は無い。

貴方はこの世界をどう生きる?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...