ラスボス『終焉の支配者』 はこの国に手を差し伸べます!

栗花落 月

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魔獣の巣窟

第八夜 おまけ

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ラファエル様を公爵家の人々に引き渡した。

その夜…

俺は大きな木に寄りかかりながら、ぼんやりと夜空を眺めていた。

星々は冷たく、遠く、まるでこの地上の出来事とは無関係であるかのように輝いている。

もう寝ようと目を瞑った時、ふとラファエル様に口移しで水を飲ませたことが頭をよぎった。

あの時は、必死で自分が何をしたのかよくわかってなかったけど、

俺はラファエル様に口移しで水を飲ませたんだっ///

「くちうつっし…」

そう言いながら無意識に自分の唇を触っていた。

「なんで、あんなことをしてしまったんだろうっ」

安心して冷静さを取り戻すと、急にあの瞬間が鮮明に蘇り、恥ずかしさが込み上げてきた。胸の奥で渦巻く感情に戸惑い、どうしようもない気持ちになった。

あの行為は助けるためにやったことで、決してやましい気持ちなんて一切ない!
そうだ、一切ない!
それに初めは暗くて、誰だかわからなかったし! 
そんな気持ちを抱くわけがない!
そうだ!そうだ!

俺は自己説得を繰り返した。

でも、誰だかわからない人にあんなことをしてしまうなんて… 
俺はかなりやばい人なのか?

「あーーーーー」

俺は、両手で頬を押さえ、叫んだ。

隣で丸まって寝ていたねこちゃんは、突然の声に驚いて顔を上げ、キョロキョロと周りを見回した。

「ごめん、ねこちゃん」

俺は申し訳なさそうに一言声をかけた。ねこちゃんは安心したように目を細めると、再び丸くなって眠りに落ちていった。

そもそも貴崎栄一はWeb小説の読みすぎなんだ!

Web小説でのああいう場面って、みんな結構口移しで何かを飲ませてるから、俺もそれしかない!
って思ってしまったんだ。

よく考えたら、他にも方法は色々ある。

例えば、首の後ろをグッと抑えて、無理やり飲ませるとか!

・・・。

現実ならそうしているかもしれないけど、Web小説でそんな描写が出てきたら、俺は読むのを辞めるかも。場合によるけど。

何はともあれ、ラファエル様は水を飲んで元気になった。それが何よりも嬉しい。それに、公爵夫人ももしかしたらあの果実で病気が治るかもしれない。

この先、俺が終焉の支配者にならない限り、ラファエル様と会うこともない。

いや、そうならないといけない!

だって俺は、終焉の支配者になんかなりたくない。

俺は…

深く青い星空を眺めながら、眠りについた。
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