拝啓、愛しの侯爵様~行き遅れ令嬢ですが、運命の人は案外近くにいたようです~

藤原ライラ

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番外編:花の女神と祝福の庭

15.悪くなかったよ

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「なあ、キャロと何の話してたんだよ」
「ん? お前の話だよ」

 一体どんなことを吹き込まれているか気が気でない。寮でずっと同室だったユーインは僕の見栄も恥も知り尽くしている。

「にしても、ぼくはクリスがあんなことするとは思ってなかったけどね」
「は?」

「あ、やっぱり覚えてないんだ。酒飲むと記憶なくなるのは昔からだよなー」
「おい、ユーイン。おれ一体何したの」

「さあね。気になるならキャロラインさんに聞けば?」

 それが素直に聞けるようなら、僕は今こんなところでこんなことをしていない。

 目を遣れば、チェス盤はどこかに避けられたようで、同じテーブルでオースティン卿とグレッグが腕相撲を始めていた。

「何やってんだよ、あのおっさん」

 人に散々言ったくせに、自分もジャケットを脱いで腕まくりをしている。

 果たして腕相撲は紳士の振る舞いのうちに入るのだろうか。あと、いい歳したおっさんにはあいつの相手はちょっと荷が重い気がする。

 顔は落ち着いたものだが、その目は向かい合うグレッグと同じぐらいの熱量を宿していた。

「まあ情熱的な求婚で大体式もしまった後だし、いいんじゃないの」
「求婚……」

 どうやら僕はとんでもないことをしてしまったらしい。

「でも相手が成人してるのに、ここまで結婚が申し込めない意味がぼくには理解し難いけどね」

 さすがは王女様が成人したらすぐに求婚すべく囲い込んでいるやつは言うことが違う。けれど僕には僕で、思うことがある。

「お前にも多分、そのうち分かるよ」

 一番好きな人に、一番見せたくない自分を見せること。虚飾や意地を取り払ったありのまま自分を見せることの難しさのようなものが。

「かもね」

 ユーインは妙に得意げに笑ってそう言った。

「でも案外悪くなかったよ、クリス」
「うるせえよ」

 乱暴に肩を叩いてくる彼からたまらず顔を背けたら、今度はキャロラインと目が合った。

 そのまま彼女はにこりと笑って手を振る。僕の選んだミントグリーンのドレスを着たキャロラインは、髪にあしらった花も相まって本当に女神か何かのようだった。

 少しだけ迷って、僕はそれに手を振り返す。

「行くか」
「そうだね」

 そして僕は、キャロラインに向けて歩き始めた。
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感想 6

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みんなの感想(6件)

mananyan
2025.10.27 mananyan

番外編、ありがとうございます。
推しのアラン様の、さすが大人だね〜ってだけでは無い、可愛い様子が垣間見れて楽しいですw

解除
ahmama
2025.03.11 ahmama

4歳差は、若いときは大きいけど惚れた弱みで気にならなくなるものです。結婚しても色々あるのでしょうね。社交界とか、まだまだ続けてくださいね。楽しみにしています。

2025.03.11 藤原ライラ

お読みいただきありがとうございます!

そうなんですよね。大人になるとそこまで大きなあれではないのかなとは思うんですけども。
結婚してからも二人はわちゃわちゃしていそうな感じがします。楽しんでいただけて嬉しいです。

感想ありがとうございました。

解除
turarin
2025.03.09 turarin

じれじれの2人。
だから、クリスだってば!
と思いながら…
そして、想いが通じ合った時のときめき…遥か遠くに置いてきちゃった胸キュンを休日に味わいました。
ありがとうございました。
何か、若返ったかなワタシ?(笑)

2025.03.09 藤原ライラ

お読みいただきありがとうございます!

どこからどう考えてもそうなんですけども、本人だけは気づいていないんですよねw
貴重なお休みに拙作を楽しんでいただけて嬉しいです。

感想ありがとうございました。

解除

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